アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「オール沖縄会議」はなぜ「高江」にノータッチなのか

2016年08月02日 | 沖縄・辺野古・高江

    

 安倍政権による沖縄・高江のヘリパッド建設強行(写真左)は、「もはや日本は『法治国家』の名に値しない」(2日付琉球新報社説)ほどの暴挙であり、沖縄と「本土」の民主的世論を結集して建設を阻止することが急務です。

 そんななか、奇妙な事態が起こっています。沖縄の新基地建設を阻止するために結成されたはずの「オール沖縄会議」が、「高江」についてはノータッチで反対はしないというのです。いったいどういうことでしょうか。

 問題が露呈したのは、沖縄県議会で「ヘリパッド建設を強行に進めることに対し厳重に抗議するとともに、建設を直ちに中止するよう強く要請する」という「意見書」(7月21日)が翁長県政与党(社民党、共産党、社大党など)の賛成多数で採択される過程でした。

 「『県議会で反対決議を』という市民の声を受け、与党や経済界でつくる『オール沖縄会議』は緊急の会合を開催。ただ、結成の目的は辺野古阻止のため、オール沖縄会議としては高江には触れない結論に至った」(7月29日付沖縄タイムス)

 「オール沖縄会議」は「辺野古」のために結成したものだから、「高江」にはノータッチだ、というのです。こんなバカな話はありません。

 同会議は確かに「辺野古新基地建設阻止」を前面に掲げ、「翁長知事を支え」るとして発足したものです。しかし同時に、その「設立趣意書」(2015年12月14)にはこう明記されています。

 「オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖撤去、県内移設断念を求め政府に突きつけた2013年の『建白書』の精神を基軸に(する)」「新基地建設を阻止し、明るい未来の扉を開いていく

 高江ヘリパッドの主な目的はまさにオスプレイの訓練です。「オスプレイの配備撤回」を要求するなら、高江のヘリパッド建設に反対するのは当然です。そして言うまでもなく、高江ヘリパッドは米軍の「新基地」です。

 翁長知事は「オスプレイが訓練するというのもはっきりしているので、こうしたことの説明がないままに着工するべきではない」(7月23日付琉球新報)と言いながら態度を明確にしていません。というより、「SACO合意を着実に実施する」(同)としてSACO合意にあるヘリパッド建設を容認する姿勢を示しながら、市民や県政与党の手前、あいまいな態度に終始しているのです。

 「オール沖縄会議」が「建白書」の実現、「新基地建設阻止」を「設立趣意書」でうたいながら、高江にはノータッチだというのはなぜか。ヘリパッド建設を容認する翁長氏と歩調を合わせるためにほかなりません。これが「翁長知事の闘いを全面的に支えていく」(設立趣意書)ということでしょうか。

 同会議の共同代表である稲嶺進名護市長、高里鈴代基地・軍隊を許さない行動する女たちの会代表(もう1人の共同代表は呉屋守将金秀グループ会長)は、「高江には触れない」という「結論」に異論はないのでしょうか。

 同会議の意思決定は、いったいどこで、どのようなプロセスで、どのような議論を経ておこなわれるのでしょうか。「高江」について稲嶺氏や高里氏はどのような主張を行ったのでしょうか。
 
 「オール沖縄会議」は、辺野古、高江を含めあらゆる「新基地建設阻止」の立場に立つのか、それとも翁長氏と一蓮托生の「翁長後援会」に終始するのか。その立場がきびしく問われています。

 

この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 都知事選ー「政策・組織協定... | トップ | 「リオ五輪」に浮かれている... »