「終わってみれば、安保法制、原発再稼働、戦後70年談話などの重要課題を一つずつ処理していく時間稼ぎのために辺野古を利用したとしか思えない内容である」(8日付沖縄タイムス社説)
7日“決裂”した安倍政権と翁長知事の「1カ月集中協議」の総括です。この通りです。そしてこうなることは目に見えていました。いまさら、という論説ですが、驚いたのはその「集中協議」に対する翁長氏のコメントです。
7日の「協議」後の記者会見で、「集中協議」の評価を聞かれた翁長氏はこう答えました。
「それは良かったんじゃないか。一致できないところもよく分かった。言葉だけの話というのもよく分かったし。その意味から言うと、いい意味でも悪い意味でも、話し合いをしたということは良かったと思う」(8日付琉球新報「一問一答」)
「1カ月集中協議」なるものの実態が今や天下周知となったにもかかわらず、「良かった」とは・・・。開いた口がふさがりません。安倍首相の戦略にすすんで乗り、「政権、危機回避に成功」(佐藤学沖国大教授、8日付沖縄タイムス)に手を貸した自らの政治責任にほうかむりするものと言わねばなりません。
さらに驚くべきは、「知事としては工事が再開されれば埋め立て承認を取り消す」のかという質問に対する翁長氏の答えです。
「だからみんなすぐそれを聞くが、間違いなく私は沖縄県民の意思を体して、そしてまたこの第三者委員会、最大限尊重するということで今日まで来ているので、あらゆる手段を使って阻止させていただくということでご理解をいただきたいと思う」(同琉球新報)
この期に及んでまだ「取り消し」を明言しない。「最大限尊重」「あらゆる手段」・・・そんな虚言をいつまで聞かせるつもりでしょうか。
安倍政権にここまでコケにされながら、なお「取り消し」を明言しないのは、“敵前逃亡”に等しいと言わねばなりません。翁長氏は「取り消し」の即時言明を求める県内外の世論からいつまで逃げるつもりでしょうか。
翁長氏の新たな“逃げ道”づくりとして見過ごせないのが、「県民投票」と「県知事選」です。
「関係者によると県民投票は早ければ11月ごろの実施が検討されている。ただ条例制定が必要となるとして、来年以降にずれ込むとの見立てもある」(8日付琉球新報)
「県民投票は新基地建設阻止という知事の重要政策について『信を問う』性質もあり、県民投票が近づいてから取り消すべきだとの意見もある」(同琉球新報)
「県民投票」を口実に、来年まで「取り消し」を引き延ばすことまで検討されているというのです。冗談ではありません。
そもそも「県民投票」など必要ありません。「沖縄県民の83%が辺野古移設反対です」。これは「島ぐるみ会議」などが全国の新聞に掲載した意見広告です。これまでの世論調査や各種選挙で、民意はもうこれ以上ないほど明白なのです。その民意に立って、これまでたたかいを進めてきたのではありませんか。今は民意を確かめる段階ではなく、その民意通り、翁長氏に埋め立て承認撤回・取り消しを実行させる段階です。時計の針を逆に回させてはなりません。
さらに悪質なのが、「県民投票に併せて翁長知事が辞職し・・・自身の政治手法に対する信任を問うため、知事選を実施する案も浮上している」(同琉球新報)ことです。
知事就任から10カ月。メッキは剥げかけ、翁長氏に対する批判の声が徐々に表面化してきています。そこでこの際、もう一度知事選をやって、批判の声をかき消そう、これまでのすべてを「信任を得た」ということにしよう、どうせ対立候補など立てられるはずがない、共産党や社民党を含め「オール沖縄」が支持することは間違いない、選挙結果は火を見るより明らかだ・・・そんな思惑が透けて見えます。
翁長氏のあれやこれやの時間稼ぎ、棚上げ、責任回避、公約不履行、県民世論懐柔を、もうこれ以上許してはなりません。
安倍政権は来年度予算の概算要求で「沖縄県北部地域大型観光拠点推進調査費」の名目で1億2千万円を計上しました。米映画テーマパーク・USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の沖縄進出を後押しする予算です。
これに対し、地元の沖縄観光コンベンションビューローの平良朝敬会長は、「国の施設(USJが候補地としている海洋博公園―引用者)に進出する一企業を優遇するための予算計上はいかがなものか。地域に対しても十分な説明がない中での調査はおかしい」(8月26日付沖縄タイムス)と批判しています。
USJの沖縄進出は、辺野古新基地建設とリンクしています。「辺野古移設へ向け、沖縄側の理解を引き出す『切り札』として官邸が関与しているのではないかとの懸念も広がる」(7月19日付琉球新報社説)と言われていましたが、その懸念が現実になろうとしています。
しかしUSJの沖縄進出はけっして安倍政権の一方的な押しつけではありません。翁長雄志知事自身が積極的に誘致しているのです。
USJの最高経営責任者と会談(7月17日)した翁長氏は記者団に、「USJが沖縄に進出することを期待している」「進出にあたり、県の支援も必要になる。・・・支えられるものがあれば支えたい」(7月18日付琉球新報)と、USJへの全面協力を言明しています。
翁長氏の命を受けこの問題を担当している安慶田光男副知事は7月23日、官邸で和泉洋人首相補佐官と密かに会い、「USJの支援策」について協議しました。「具体的にわれわれ(県)が何を進めていけばいいのか、国がどれくらい協力できるのか意見交換した」(7月24日付沖縄タイムス)のです。
重大なのは、USJの進出をめぐるこうした政府と翁長県政の動きが、一貫して地元をはじめ県民には知らされず、秘密裏に進められていることです。「最有力候補地とされながら、関係者に具体的な説明はなく、報道やうわさ以外、何一つ情報が見えない」という本部町の當山清博観光協会会長は、「怖いのは地域をおきざりにして巨大計画が進むこと」(7月20日付沖縄タイムス)だと危惧します。
さらに問題は、「美ら海水族館」をはじめとする国営・海洋博公園の管理運営をUSJに移譲する動きが強まっていることです。
「同社(USJ)は、新パーク建設とともに、財団法人『沖縄美ら島財団』が運営する海洋博公園にもかかわりたい考えだ」(8月29日付朝日新聞)と報じられています。同財団の指定管理契約が2019年1月に切れることから、「政府は以降の管理をUSJに担わせることを検討している」(7月19日付琉球新報)といわれていましたが、その動きが進行しています。
これに対し、「美ら海水族館」の内田詮三名誉館長は「今まで水族館をつくりあげて、管理・運営してきたものからすると、管理は財団がやっていくのが筋だと思う」とし、財団関係者は「(USJの)沖縄進出については報道でしか知ることができない。沖縄経済に貢献しようと努めてきたのに、頭越しに進められることに驚いている」「これまで積み上げてきた研究の蓄積や公益につながる事業もなくなるのではないか」(7月18日付琉球新報)と、USJに管理運営が移ることに強い危機感を抱いています。
「大資本依存の観光危惧 県民の力でオリジナルの魅力を」と題する高校教員(宮城千恵さん)の投稿が先日の沖縄タイムスに載りました。「政府が主導するUSJ、私は危惧している」という宮城さんは、「大浦湾の埋め立て計画のように、USJの誘致も本土の大企業にどっさりと落ちるのだ。・・・沖縄がどんどん本土化している。・・・沖縄を心から愛する人々でアイデアを出し合い、一歩一歩自立の道を歩もう」(8月23日付「論壇」)と呼び掛けています。
安倍政権と翁長県政が密室の協議で進めているUSJの沖縄進出は、沖縄の自然と文化を米・日本本土の大企業に譲り渡すものにほかなりません。
「子供たちに残したいは、この『美ら海』です。軍事基地ではありません」
5日の中国新聞に載った辺野古新基地阻止の意見広告です。沖縄の「美ら海」は、軍事基地にしてはならないのと同時に、米・本土大企業の餌食にもしてはなりません。
安倍政権と翁長沖縄県知事の「1カ月集中協議」なるものは、24日の3回目(5回予定)を終え、その実態が支持率低下を恐れる安倍政権の時間稼ぎにすぎないことがますます明らかになっています。
そんな中で目につくのが、「翁長擁護」に終始している「県政与党」(日本共産党、社民党、生活の党、社大党、県民ネット)の思考停止と政治責任です。(写真中は訪米から帰国した翁長氏と県政与党の代表=6月6日付琉球新報)
★議事録もない密室の「協議」になぜ異議を唱えないのか
「集中協議」について、「協議に応じるのであれば、透明性の確保が必要だ」(新崎盛暉沖大名誉教授、12日付沖縄タイムス)というのはおそらくほとんどの県民・国民の声でしょう。ところが安倍政権と翁長氏はその声に背を向け、一貫して非公開の“密室協議”を繰り返しています。
さらに27日の琉球新報(写真右)によれば、「県と国の双方が現段階で議事録や議事概要を作成していないことが分かった」といいます。「双方とも非公開の協議後に幹部が記者に内容を説明していることを理由に挙げて」(同紙)いますが、そんなことが「理由」にならないことは明白です。前津栄健沖縄国際大教授が「議事録や議事概要を残さなければ検証ができない。・・・今回の対応は国民の知る権利や情報公開法・条例の精神、行政の説明責任に反している」(同紙)と指摘する通りです。
「翁長与党」の各党・会派は、なぜ沈黙しているのでしょうか。なぜ「協議の公開・議事録の作成」を公式に要求しないのでしょうか。
「翁長与党」は5月の訪米に関しては詳細な「報告書」を作成しています。渡久地修県議(共産党)は、「歴史的な訪米の記録として後世に残るよう作成した」(27日付沖縄タイムス)と誇示していますが、それならば安倍政権との「歴史的な」協議であるはずの「集中協議」も当然、少なくとも議事録に残すべきではないですか。
★参院選の「基本政策」になぜ「高江」「自衛隊」がないのか
「翁長与党」は来年7月の参院選を「オール沖縄」で臨むとして、21日、6項目の「基本政策」を発表しました。その全文(22日付琉球新報)をみると、「安保法案の廃案(廃止)」「日本国憲法の理念と9条を守(る)」「辺野古新基地建設断念を求める」などは盛り込まれています。
ところが重要な2つの課題、「高江ヘリパッド建設反対」と「石垣、宮古、与那国などへの自衛隊配備強化反対」がスッポリ抜け落ちているのです。これはいったいどういうわけでしょうか。「翁長与党」の眼中には「高江」も「八重山」もないのでしょうか。日米軍事同盟強化のガイドラインに基づく「島嶼防衛」を口実にした自衛隊配備強化は重視する必要がないとでもいうのでしょうか。
「高江」も「自衛隊」も、いずれも翁長知事が基本的に容認している問題です。県政与党は翁長氏と見解を異にする重要課題は、国政選挙の参院選政策からも除外したということでしょうか。
昨年11月の県知事選以来、県政与党は翁長氏の言動を丸のみし、その擁護に徹しています。それはまるで「翁長タブー」の様相です。しかし、いくら与党でも言うべきことは言わねばなりません。そして党の独自政策(例えば共産党における「日米安保廃棄」)は明確に主張しなければなりません。与党だからといって沈黙するのでは、安倍政権に対する自民党と変わるところがありません。
県政与党が責任を負うべきは、翁長氏ではなく、県民です。県政与党の各党・会派はいまこそ「翁長タブー」を踏み越えて、言うべきことを言わねばなりません。
「『最高のタイミングだっただろう』。菅義偉官房長官は4日、辺野古への移設作業の中断を発表した記者会見の後、周囲に誇らしげにそう語った」(5日付朝日新聞)
翁長知事が辺野古埋立工事の「1カ月中断」と引き換えに、「埋立承認取り消し」を公式に棚上げした(4日発表)ことは、安倍首相の戦略に完全に取り込まれ、窮地の安倍政権に助け舟を出した合したものであり、きわめて重大です。
まず厳しく批判されなければならないのは、徹底した秘密主義です。
「交渉は約2カ月前から政府、県の間で秘密裏に進められた。5月下旬、菅氏と当選同期で親しい下地幹郎氏(維新)の呼び掛けで菅氏、安慶田光男副知事、外務、防衛幹部の計5氏が都内で顔をそろえた。席上、下地氏が『普天間基地移設交渉プラン』と書かれた紙を菅氏へ差し出し、一時中断を切り出した。・・・関係者によると、7月4日、翁長雄志知事と菅氏が都内のホテルで会談した際に、工事を停止する時期や期間について協議。同31日、翁長氏と菅氏が首相官邸で会談し、8月10日からの一時停止で正式に合意したという」(5日付沖縄タイムス)
こうした経過は県民にはまったく知らされていませんでした。いいえ、県民だけではありません。翁長県政を支えるはずの与党議員たちにも、さらにはまさに辺野古の当事者である稲嶺進名護市長にさえ、いっさい秘密にされていたのです。
「国と県の合意について、稲嶺進名護市長は4日、『びっくりしている。経緯も全然分からない』と驚きを見せた。県から連絡はなかったという」(5日付沖縄タイムス)
こうした秘密主義と情実人事は翁長県政発足以来一貫したものです。それはたんに事実が知らされないというだけではありません。政府との協議で何が話し合われ、どういう「妥協」が図られようとしているのか、その重大問題から県民・国民が完全に排除されているということです。地方自治、民主主義に真っ向から反するものと言わねばなりません。
安倍政権がなぜこの時期に「1カ月の中断」を持ち出してきたかは、ほとんどすべてのメディアが指摘しているとおり、重要課題がひしめく中で「内閣支持率にさらなる悪影響が出る」(5日付毎日新聞社説)のを避けるためです。
それはただの「アリバイづくり」(5日付沖縄タイムス社説)ではありません。安保法制=戦争法案に対するかつてない国民批判の高まりの中で、大きな窮地に陥っている安倍政権の必死の延命策なのです。戦争法案を成立させるまでは「辺野古」でさらなる批判を浴びたくない。逆に言えば、いまがまさに「辺野古埋立承認撤回・取り消し」で安倍政権に決定的な痛打を浴びせる絶好のチャンスだということです。
それなのに、安倍首相の願いどおり、川内原発再稼働、戦争法案成立、さらに自民党総裁選告示まで、「撤回・取り消し」を棚上げしてやろうというのですから、菅氏が誇らしげに喜ぶはずです。安倍政権に助け舟を出した翁長氏の犯罪的役割は明白です。
見過ごせないのは、このシナリオが、すべてアメリカ政府認知の下で行われていたという事実です。沖縄タイムス平安名純代・米国特約記者の記事を引用します。
「米政府関係者らの受け止めも冷静で、事前に日本政府から通達済みであることをうかがわせる。
移設問題に関わる国務省高官は、『6月の終わりごろ、第三者委員会が7月15日ごろに(前知事の埋め立て承認について)「瑕疵あり」の報告書を出すと聞いた』と述べ、その際に『取り消しや撤回の判断を公言している現知事が望む形で協議に応じることで、審議中の安全保障関連法案への影響を抑える方法などが検討されていると聞いた』と話す。
ある国防総省筋は『工事を中断して協議することが、逆に辺野古移設を進める上でメリットとなると理解している』と述べ、辺野古移設を着実に実行するという前提で協議を始めることにより、翁長知事の取り消しを凍結できれば計画の安定化につながるとの見解を示した」(5日付沖縄タイムス)
米政府高官は“正直”です。ここに今回の「1カ月中断」の意味、狙いが端的に示されています。
翁長氏は4日の会見でさらに重大なことを言っています。またそもそも、「辺野古」で「協議」とはどういうことなのか。それらを次回検討します。
この1週間で、翁長雄志沖縄県知事の“正体”が浮き彫りになる言動が相次ぎました。
①「第三者委員会報告」の変質化
翁長氏は31日の菅官房長官との「会談」後、記者団から「第三者委員会からの検証結果を説明し、建設中止を求めたのか」と聞かれ、こう答えました。
「第三者委員会を踏まえ、対話していきたいと説明した。(検証結果の)意義などというところまでは言っていない」(1日付琉球新報「一問一答」)
「第三者委員会の検証結果」とは、仲井真前知事の「辺野古埋立承認」には「法的瑕疵」があったと第三者委員会(大城浩委員長)が翁長氏に提出(7月16日)した報告のことです。
「埋立承認」の取り消しを引き延ばし続けている翁長氏も、さすがに「法的瑕疵」があれば「取り消すことになる」(5月25日共同通信インタビュー)と言わざるをえなかった報告書です。辺野古新基地に反対する沖縄県民も待ち望んでいたものでした。
その報告書が出されて初めての菅氏との会談です。当然「承認取り消し」に言及してしかるべきでしょう。ところが、「取り消し」どころか、その「意義」にもふれず、「建設中止」も求めない。そうして報告を「踏まえ」て「対話」しようというのです。
第三者委員会の報告は、承認を「取り消す」ための根拠だったはず。いったいいつからそれは政府との「対話」のタタキ台・道具になったのでしょうか。
翁長氏の発言・姿勢は、第三者委員会報告の意味・性格を変質させ、換骨奪胎するものにほかなりません。
②政府「事前協議書」の受理
前知事の「埋立承認」に基づいて防衛局が提出(7月24日)した「事前協議書」を、翁長氏は正式に受理してしまいました(7月29日)。
受理した上で「取り下げ」を要求しましたが、「取り下げは法律に基づく手続きではなく、要請という『お願い』に当たる。仮に防衛局が取り下げない場合、協議に入らざるを得ないだろう」(7月30日付沖縄タイムス)といわれています。
政府は当然のように、「取り下げ」を拒否しています。「事前協議書」は受理すべきではありませんでした。遅くともその時点で「撤回・取り消し」を表明すべきだったのです。それをしないで受理したことは、「埋立承認」を事実上認め、その上で政府と「協議」するという土俵に上ってしまったことになるのです。
③全国知事会議の欠席
先月28、29両日、岡山で全国知事会議が行われました。そこでは「地方創生」などとともに、基地問題についても、「米軍基地の整理・縮小・返還を促進する」などとする国への「要望書」が採択されました。
ところがこの全国知事会議に翁長氏は2日とも欠席し、浦崎唯昭副知事を代理出席させたのです。
欠席して翁長氏は何をしていたか。「終日事務調整」です(写真右は琉球新報の動静欄)。翁長氏の欠席に正当な理由があったとは到底思えません。
29日夜、翁長氏は東京のシンポジウムに出席し、「日本の安全保障は日本全体で負担してほしい」(30日付琉球新報)などと述べています。普天間基地の「県外移設」も翁長氏の持論のはずです。そうであるなら、全国知事会議は絶好の場ではありませんか。翁長氏はなぜ知事会議に出席して、辺野古の現状を全国の知事に訴えなかったのでしょうか。なぜ「沖縄の基地は本土に引き取れ」と言わなかったのでしょうか。
翁長氏は9月に国連で演説する予定です。国連演説の意義は否定しませんが、主戦場はあくまでも日本です。国内でやるべきことをやらないで、国連で演説するのは本末転倒です。それは、埋立承認の「撤回・取り消し」を言明しないままアメリカを訪問した愚の二の舞いだと言わねばなりません。
以上3つのことは、すべて1本の糸でつながっています。それは翁長氏が埋立承認の「撤回・取り消し」を棚上げしたまま、安倍政権とたたかうことなく、水面下で「対話」(妥協)をすすめようとしていることです。
この糸を断ち切って、県民・国民の目の前で、ただちに、「承認撤回・取り消し」を実行させねばなりません。
※今日の「玉音放送原盤公開」をめぐる報道は目に余りますが、これについては4日に検討します。
辺野古新基地建設の本体工事着工へ向け、沖縄防衛局は24日、事前協議書(一部)を沖縄県に提出しました。「協議の開始は埋め立て工事着手に向けた手続きの最終段階を迎えたことを意味する」(25日付沖縄タイムス)ものです。
協議期間については、「具体的な時期は言及していないが同(防衛)省は『3週間をめど』として県に時期を提示している」(24日付琉球新報)といいます。工事強行はまさに目前です。(写真中は同日付の沖縄タイムスから。同紙は「24日に協議が始まった」としています)
翁長県政与党の各会派は、「政府の焦りと強引さの表れだ」「県民への挑戦だ」(25日付琉球新報)、「県民無視だ」(同沖縄タイムス)などと政府を批判しています。
しかし、事態はもはや安倍政権を批判するだけですむ段階ではありません。
安倍政権に「県民無視だ」「県民への挑戦だ」と言ってみても、カラスに「お前は黒い」と言うようなものです。違憲法案を平気で強行採決するような独裁政権を相手に、当たり前の批判をしているだけでは勝てません。怒りの矛先はどこへ向けるべきでしょうか。
協議書の提出に際し沖縄防衛局は、「前知事の埋め立て承認を強調し、『協議が整わない内容ではない』と強気の姿勢を示し」(同琉球新報)ました。協議書は仲井真前知事が埋め立てを承認した際の「留意事項」にもとづくものだからです。
県は一応受理を保留しています。「受理すれば前県政の承認を前提にした手続きを進めることになる」(同沖縄タイムス)からです。しかし県幹部は、「県が埋め立て承認の留意事項で『「事前協議すること』と条件を付けているから、不受理とすることは難しい。不受理としてしまえば、防衛局は、『県が事前協議をはねのけた』と言って、大手を振って本体工事に入ってしまう。部分的な協議でも協議に入らざるを得ないのではないか」(同琉球新報)と言っています。
協議書提出で政府・防衛省が攻勢に出て、県は進退窮まっている、かのような状況です。
しかし、実は防衛省の「強行姿勢」も、県の苦境も、1本の柱で支えられた舞台の上でのやりとりにすぎません。その柱を倒せば、形勢は一気に逆転します。
その柱とは、仲井真前知事の「埋め立て承認」であり、柱を倒すとは、それを「取り消し・撤回」することにほかなりません。
協議書の提出は、「承認取り消しの判断が出る前に、一つでも既成事実を積み重ねるのが狙い」(比嘉瑞己県議、同琉球新報)なのです。そして、「埋め立てに着手するとなると、翁長知事の承認取り消しの判断に影響を与えるのは確実」(県幹部、同沖縄タイムス)です。
つまり政府・防衛省は、翁長氏がいまだに承認の取り消し・撤回を行わないことをいいことに、「承認」に基づいた「合法的」手段で既成事実を積み重ね、取り消し・撤回を封じようとしているのです。
もやは一刻の猶予もなりません。翁長氏に直ちに埋め立て承認の取り消し・撤回を表明させねばなりません(取り消しと撤回は異なり、取り消しではなく撤回をこそ行うべきですが、これについては別途考えます)。
ところが当の翁長氏はどうか。シンガポールに出張中で、協議書提出については、「何も聞いていない。このような大事なことは情報が入らない中では話をできない」(同琉球新報)とノーコメントを決め込んだのです。
「何も聞いていない」?そんなバカな話はありません。防衛局から協議書を受け取った末吉土木建築部長はその場で直ちに翁長氏に電話したはずです。もしほんとうに何も報告していないとすれば、更迭に値しますが、そんなことはありえません。翁長氏がコメントから逃げたのです。
もういいかげんで「翁長タブー」から脱却しませんか。翁長氏が取り消し・撤回を棚上げして(公約違反)、安倍政権と秘密裏に協議を進めていることに目をつむるのは止めませんか。県政与党も、翁長氏を支持した県民も、琉球新報も、沖縄タイムスも。
安倍独裁政権とたたかうために、怒りの矛先は翁長知事にも向けるべきです。
「辺野古新基地」問題は、来週の「第三者委員会報告」で大きなヤマ場を迎えますが、その陰で、安倍政権(菅官房長官)と翁長知事の間で、水面下で、着々と進行している問題があります。USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の沖縄進出です。その動向は「辺野古」とも関連して目が離せません。
今月4日に行われた「菅・翁長会談」の内容は闇に包まれていますが、USJ進出・誘致問題が話題の1つになったとも見られています(写真右)。事実、翁長氏はUSJ誘致を一貫して切望し、菅氏はそれに応える形で異常なまでにUSJに肩入れしています。
「菅氏は4月に同社のグレン・ガンペル最高経営責任者(CEO)と首相官邸で会談し、USJの沖縄進出を全面的に支援すると明言するなど同事業に積極的にかかわってきた」(11日付沖縄タイムス)のです。
菅氏は今月中に沖縄を訪れ、USJ候補地を視察する予定です。その後、翁長氏との「会談」が行われる可能性もあります。
一方、17日にはUSJ役員が初めて沖縄を訪れて翁長氏に会い、候補地や事業規模などを説明する予定です。USJが第1候補地としているのは「美ら海水族館」がある国営海洋博公園ですが、その場合は建築基準の規制緩和や国営公園の運営管理の見直しが必要になります。「USJは国に国家戦略特区の活用で規制緩和する方法を求めており、県にも同様の要望をする方針」(9日付沖縄タイムス)です。まさに「辺野古」と同時進行です。
USJ進出・誘致の動きは一貫して水面下で進行し、状況が一切明らかにされていないことから、県民・関係者に不安が広がっています。
「国と県、USJによる環境整備が極秘で進められる中、海洋博公園での調査研究事業や県民の公園利用の行方について懸念が生じている」(6月27日付琉球新報)
県内の観光関係者の中からは、「官邸が一企業の便宜を主導することにも、政治的なにおいが強過ぎる」(同琉球新報)との声が出ています。
現在海洋博公園を管理運営しているのは、一般財団法人の「美ら島財団」(国と県が共同出資)。その権利がUSJに移ることは同財団にとって死活問題で、USJ誘致のためには同財団の説得・懐柔が不可欠です。
ところで、県議会などで翁長氏に代わって答弁している町田優知事公室長は、これまで政治分野での活動が乏しかったにもかかわらず、翁長氏が異例の抜擢をした人物ですが、町田氏こそこの「美ら島財団」の常務理事にほかなりません。USJ誘致の布石人事でないと言えるでしょうか。
USJは現在世界に6カ所あるユニバーサル・スタジオの1つですが、そもそも、「ユニバーサル・スタジオを経営する企業は謎のベールに包まれている」(中島恵氏『ユニバーサル・スタジオの国際展開戦略』)といわれています。
「ユニバーサル・スタジオを経営する企業は、①米MCA、②松下電器、③加シーグラム、④仏ビベンディ、⑤米GE、⑥米コムキャストと変わってきた」(同)からです。
その不明瞭さもあってか、これまでUS上海(2004年)、USソウル(2013年)が、進出計画を発表しながら、数年後に「中止」になっています。
さらに気になるのは、カジノです。USJ、US北京と並ぶアジアのもう1つのUS、USシンガポールはカジノが大き集客・収益力となっています。中島恵氏は、USシンガポールが「社会的批判が強いカジノを作るため、リゾートの床面積の95%以上を非ギャンブル施設にする必要が生じ、設立された」という経緯に触れ、こうしたことは「今後他国でも生じうる」(同著)と予測しています。
USJ進出・誘致は今後どう展開するのか。それは沖縄の環境や産業にどう影響するのか。菅氏はどう動くのか。「菅・翁長会談」で何が話し合われるのか。カジノはどうなるのか。それらの動きは「辺野古」とどう関連するのか・・・。
すべて水面下、「極秘で」進められているだけに、多くの疑問・疑念が払拭できません。
沖縄の翁長知事が急きょ、きょう4日夕、菅官房長官と会うことになりました。2日夜、翁長氏が記者会見で発表しました。
会談はいったい何のためでしょうか。会見の中で翁長氏は、「辺野古新基地阻止」のたたかいにとって見過ごすことができない重大な発言を行いました。
琉球新報や沖縄タイムスの報道、また琉球新報配信の動画によると、今回の会談は水面下でつづけられてきた折衝の結果、実現することになったもよう。「知事は会談について『初回は角を突き合わせるのではなく、基地抜きの話をする。基地は2回目以降だ』と述べた」「知事によると、4日は非公式の夕食会を開く方向で調整している」(3日付琉球新報)とのことです。
翁長氏は今後も継続的に菅氏と話し合い(おそらく非公開)を続けていく意向で、4日はその初回です。翁長氏と菅氏の継続的会談はどういう意味をもつのでしょうか。翁長氏は「埋め立て承認の取り消し、撤回への影響」を聞かれ、こう答えました。
「もともとスケジュールはない。第三者委員会の答申の内容を見た上で、(菅氏との)会談が引き続き回数を重ねていって意見交換をされていれば、(総合的に)判断しながらやる」(3日付沖縄タイムス)
これはきわめて重大な発言です。第三者委員会が「承認に瑕疵あり」との答申を出したとしても、継続的に行う菅氏との会談の内容によって、総合的に判断する。つまり必ずしも「承認取り消し」を行うとは限らない、少なくともすぐに「取り消す」ことはない、ということです。これは「承認取り消し」の棚上げにほかなりません。
翁長氏は同じく2日の会見で、「新基地は造らせない」と言ってきたことは変わらないのかとの質問にも、明言を避けました(動画から)。
「もともとスケジュールはない」とはよくも言ったものです。
そもそも知事選出馬の際、「まずはこの知事選に勝ち、承認そのものを私たち県民の力で取り消す」(2014年9月24日付沖縄タイムス)、「法的な瑕疵がなくても、その後の新たな事象で撤回する。県民がノーという意思を強く示すことが、新たな事象になる」(10月21日政策発表記者会見)=同22日付「しんぶん赤旗」)と公約したのはいったい誰だったのか。
それが当選すると、「第三者委員会」なるものを作って下駄をあずけ、答申待ちで時間を経過。今度はその答申が出ても取り消すかどうか分からないとは!
就任以後いっかんして「取り消し・撤回」を引き延ばしてきた翁長氏ですが、強まる県民世論の手前、訪米前の5月25日には共同通信との単独インタビューで、第三者委員会の提言が出れば「取り消すことになる」と明言しました(写真右)。今回の発言は、この言明にも反するものです。
そもそも、辺野古の大浦湾では連日政府のボーリング調査が強行されている重大局面で、官房長官に会っても「基地については話さない」とはどういうことでしょう。
さらに、百田尚樹や自民党議員による「報道圧力」、沖縄県民への侮辱発言が大きな問題になり、安倍政権の責任追及がおこなわれているその最中、沖縄県知事が官房長官と「角を突き合わせない」「非公式の夕食会」をおこなうとは、いったいどういうことでしょう。
4日夕には那覇市内で、百田・自民の暴言に対する抗議集会が行われます。県民が怒りのこぶしを突き上げているまさにそのとき、翁長知事は官房長官と夕食をともにしながら歓談しているのです。
あまりにも不幸な「戯画」だといわざるを得ません。
6月24、25両日、沖縄県議会で各党の代表質問が行われました。そこでは社民党や日本共産党の議員から、県政だけでなく国政の重要問題について翁長知事の「政治姿勢」を問う質問が相次ぎました。中でも最も注目されたのは、目下の最大焦点、戦争法案に対する質疑です。
ところが、翁長知事は、自分の「政治姿勢」が質問されているにもかかわらず、一連の重要問題について、みずから答弁することを避け、町田優知事公室長に答えさせました(写真は翁長氏と町田氏=県議会HPより)。しかもその内容は、戦争法案に反対しないどころか、事実上容認するにきわめて重大なものです。
戦争法案だけではありません。先の憲法審査会で長谷部恭男氏や小林節氏ら(写真)が法案を憲法違反と断じたことについての見解、県政関係では高江のヘリパッド建設、宮古・石垣の自衛隊増強など、いずれも重要問題について、翁長氏は答弁を避け、町田氏に答えさせました。
その内容を、県議会HPの中継録画から転記します。
★戦争法案について
「安全保障関連法案については、集団的自衛権の行使を含む具体的な議論が国会で行われており、さまざまな意見があるものと承知しております。在日米軍専用施設面積の約74%が集中し過重な基地負担を抱えている沖縄県として、我が国の安全保障政策の変更には重大な関心を持っており、政府は国政の場などにおいて十分議論したうえで、その影響などについて国民に丁寧に説明を行うべきであります」(24、25日)
★憲法審査会での3人の憲法学者の違憲見解について
「それぞれの憲法学者がそれぞれの立場で発言しているものであると承知しております」(25日)
★高江ヘリパッド建設について
「6カ所のヘリ着陸帯の移設については、当該地域の自然環境、地域住民の生活への影響をめぐって、さまざまな意見があるものと承知しており、今後地元の意見をうかがいつつ検討してまいりたいと考えております」(25日)
★宮古・石垣への自衛隊配備強化について
「自衛隊の配備については、地元の理解と協力が得られるよう、政府は丁寧に説明を行うべきであると考えております」(24日)
翁長氏はなぜ、こうした重要問題について自分で答弁しないのでしょうか。それが「県民の圧倒的支持」で当選した知事の態度でしょうか。
知事に質問したにもかかわらず答弁を回避された社民党や共産党の議員はそれでいいのですか?いくら「翁長与党」でも、見過ごしてならないことははっきり異議を唱えるべきではありませんか?
自ら答えない以上、町田室長の答弁が翁長氏の見解であると理解せざるをえません。その内容を見れば、翁長氏が戦争法案(わざわざ「安全保障関連法案」と言い換えていますが)については、「丁寧な説明を」(自民党でも言っています)というだけで、反対していないことは明らかです。憲法学者の「違憲見解」に賛意を示さないのもそのためでしょう。
高江のヘリパッド建設にも反対していません。宮古・石垣への自衛隊配備強化は、「理解と協力」が得られるよう「丁寧な説明」をせよとむしろ後押ししていると言えるでしょう。
沖縄が直面し、知事が県内外に見解を明らかにしなければならない重要課題は「辺野古」だけではありません。
戦後の重大な岐路に立っているいま、非戦・平和の先頭にたつべき沖縄の知事であれば、みずからの言葉で、戦争法案反対を明言すべきです。
23日の「沖縄慰霊の日」に翁長雄志知事が読み上げた「平和宣言」は、「ここ数年の平和宣言の中で、県民の意思を最も反映したものだった」(24日付琉球新報社説)などと「高く評価」されています。
たしかに、沖縄米軍基地の現状、経過にふれ、過重負担の不当性を指摘しました。しかし、その内容を冷静に分析すれば、とても「高く評価」できるものではありません。
逆に、今後の辺野古新基地建設阻止のたたかいにとっても見過ごすことができない問題が隠されています。
①「造らせない」から「困難」へ。「承認の取り消し・撤回」は一言もなし
「知事のあらゆる権限を行使して辺野古に新基地は造らせない」。これが知事選前後の翁長氏の常套句でした。ところが「宣言」では、「新基地を建設することは困難であります」。「造らせない」から「困難」へ。
「宣言」で「辺野古への移設作業の中止」を政府に求めたことが賛美されています。しかし、民意など歯牙にもかけない安倍政権に「中止」を求めてもムダだということはイヤというほど実証済みです。今必要なのは、政府に要求するのではなく、「造らせない」ための具体的な「知事権限」である「埋め立て承認の取り消し・撤回」を実行することです。それでこそ「平和」への宣言と言えるでしょう。しかし、「翁長宣言」はそれにはまったく触れませんでした。
②具体策では仲井真「宣言」よりも後退
「沖縄は今もなお米軍基地の過重な負担を強いられております。日米両政府に対し、一日も早い普天間飛行場の県外移設、そして日米地位協定の抜本的な見直しを強く求めます」
これも「平和宣言」の一節です。2年前の2013年6月23日、仲井真弘多知事(当時)が行った「平和宣言」です(公約違反後の昨年の「宣言」は比較の対象外)。
これに対し、翁長「宣言」には、「一日も早い普天間飛行場の県外移設」もなければ、「日米地位協定の抜本的な見直し」もありません(「県外移設」論の問題点はあらためて検討します)。これでどうして「ここ数年の平和宣言の中で・・・高く評価」できるのでしょうか。
琉球新報(24日付)によれば、「翁長知事は県議会2月定例会の答弁では平和宣言に・・・『県外移設』要求を掲げる考えを示していた。しかし知事は事務方と文言を練り上げる中で『県外移設』は盛り込まない判断に傾いた」といいます。なぜでしょうか。
「戦没者を追悼する場での政治的対立を際立たせる表現を避けつつ、辺野古移設作業の中止を求めることで沖縄の民意を示すことを選んだとみられる」(同琉球新報)といいます。おかしくありませんか。「政治的対立」を持ち込むなというのは政府・自民党の言い分です。安倍政権に対する「政治的対立」なしに「平和」を宣言することはできません。正真正銘の保守・自民党知事だった仲井真氏でさえ「宣言」したことを翁長氏はなぜあえて外したのでしょうか。
③「建白書」の片りんも見えない
しかし、ほんとうに比べるべきは、仲井真「宣言」ではなく、「建白書」(2013年1月28日)です。なぜなら翁長氏や翁長与党が標榜する「オール沖縄」の旗印(「一点共闘」の一致点)が「建白書」にほかならないからです。
「建白書」の具体的な要求は2点。「オスプレイの配備撤回」と「普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念」です。しかし、翁長「宣言」には、オスプレイの「オ」の字もなければ、閉鎖・撤去の「へ」の字もありません。
翁長氏は「建白書」を支持する圧倒的県民の支持で当選したのです。その知事が初めて行う「平和宣言」で、「建白書」の肝心の2つの要求にいずれも触れないということが許されてよいのでしょうか。
④「米軍基地問題は、我が国の安全保障の問題」の危険な本音
以上のような数々の問題点がありますが、私が最も重要だと考えるのは、翁長氏の次の表明です。
「沖縄の米軍基地問題は、我が国の安全保障の問題であり、国民全体で負担すべき重要な課題であります」。これは、普天間基地の「県外移設」=本土移設論と一体です。
これを言い換えれば、米軍基地は「日本の安全保障」にとって「重要」であり、沖縄に過重な負担を背負わせるのではなく、本土がもっと負担すべきだ、ということです。
これは米軍基地を「日本の安全保障」の「抑止力」だとする日米安保=軍事同盟容認論にほかなりません。「日米安保の必要性は十分理解している」という翁長氏の本音です。
沖縄県知事の「平和宣言」がこれでいいのでしょうか。
翁長氏の主張からは、沖縄の軍事基地を一掃するという要求・政策は生まれてきません。日米安保必要論に立つ限り、沖縄に(もちろん本土にも)米軍基地は残ります。それでは「戦争につながる基地建設には断固反対する」(照屋苗子県遺族連合会会長の式典あいさつ)という県民・国民の多くの声に応えることはできません。
「万国津梁の精神」で「沖縄を恒久平和の発信地」にすると言うなら、日米安保=軍事同盟を廃棄して、沖縄からすべての軍事基地を撤去すべきではないでしょうか。
「平和宣言」に限らず、翁長氏の演説や安倍首相ら政府との会談の特徴は、沖縄の歴史や現状で正論を強調しながら、肝心な具体論・具体策はほとんど口にしないことです。
その根源は、翁長氏が根本問題である日米安保=軍事同盟を一貫して容認・支持しているところにあります。
だから 「辺野古新基地反対」といいながら、嘉手納や浦添など沖縄の他の米軍基地や、本島・八重山の自衛隊配備・増強には反対しないのです。
日米安保=軍事同盟を容認する翁長氏の「辺野古移設反対」の本質・危険性が透けて見える「平和宣言」でした。