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アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

沖縄県議選結果は「翁長信任」ではない

2016年06月06日 | 沖縄・翁長知事

     

 5日投開票された沖縄県議選の結果について、翁長雄志知事は、「大勝利だ。1年半の県政運営にご理解いただけた」(6日付琉球新報)と述べました。メディアでも「翁長県政への信任」(6日付朝日新聞社説)だという論調が少なくありません。この評価ははたして妥当でしょうか。

 まず事実を確認しておきましょう。
 選挙の結果、県政与野党の勢力は次のように変わりました。県政与党(共産、社民、社大など)23→27、県政野党(自民など)14→15、中立8→6(6日付沖縄タイムス。写真中はNHKで、無所属の分類などでタイムスと多少違います)
 県政与党が4議席増やしたのは確かですが、政党別にみると共産党、社大党が各1増やし、社民党は8から6に減らしています。一方、翁長野党も1議席増やしています。「県政与党が引き続き過半数を堅持した」(6日付沖縄タイムス社説)という指摘が相当で、「県政与党が地滑り的な大勝を収めた」(6日付琉球新報社説)は過大評価と言わざるをえません。

 重要なのは、県政与党の議席増・過半数確保が、けっして翁長知事への「信任」を意味するものではないということです。

 第1に、県議選は立候補した政党・個人の政策の是非を問うものであり、けっして知事の「公約」や「1年半の県政運営」の是非を問うものではないということです。この点は知事選と明確に違うところです。

 それが、首長と議員を別々に直接選挙する地方自治の「二元代表制」の基本的特徴です。議会選挙の結果で自分の「公約」や「県政運営」が理解・信任されたとする翁長氏の主張は、「二元代表制」の原則を踏まえない我田引水と言わざるをえません。

 第2に、選挙の結果「辺野古新基地反対」の「民意」があらためて確認されたことは間違いありませんが、今回問題になったのは、「辺野古」にとどまらず、基地問題全体だったことです。

 県議選の最大の特徴は、なんといっても告示の8日前に米軍属女性遺棄事件が起こったことでした。「最も注目された論点はやはり米軍基地問題だった」(6日付琉球新報社説)、「相次ぐ事件・事故の発生によって県民の怒りはかつてないほど高まっており、それが選挙結果に影響したものとみられる」(6日付沖縄タイムス社説)とみるのは当然でしょう。

 では、今回の事件で「県民の怒り」は、どこへ向いているでしょうか。
 琉球新報・沖縄テレビ合同の世論調査(3日付)では、「沖縄からの全基地撤去」が42・9%で「在沖米軍基地の整理縮小」(27・1%)を大きく上回っています。さらに、日米安保条約は「破棄すべきだ」(19・2%)と「平和友好条約に改めるべきだ」(42・3%)を合わせると、実に61・5%の県民が日米軍事同盟としての日米安保条約の廃棄を求めています。これが世論調査に表れた沖縄県民の「民意」です。

 ところが翁長氏は、「全基地撤去」にも「日米軍事同盟の廃棄」にも賛成ではありません。「日米地位協定の改定」と「基地の整理・縮小」止まりです。こうした翁長氏の持論・政策が、今回の選挙でどうして「信任された」と言えるでしょうか。

 逆に、「辺野古」を除けば、「全基地撤去」「日米軍事同盟の廃棄」を求める県民世論と「翁長県政」はかけ離れる一方ではないでしょうか。八重山への自衛隊配備・強化、高江ヘリパッドも同様です。

 県議選を終えたいま、次の指摘はきわめて重要です。

 「議会も首長もそれぞれ住民が選ぶ『二元代表制』だ。協働ではなく、対等に競争する関係でなければならない。…議会はそもそも住民の多様な意見を代表する機関だ。…知事を支えるのか反対するのかで争うのではなく、どのような沖縄県をつくるかという点で議論するべきだ。…立法院の伝統を引き継ぐ県議会が自覚的に県知事と対等な緊張関係を築き、積極的に政策形成することを期待したい」(仲地博沖縄大学長、3日付琉球新報)

 「知事と対等な緊張関係」。まさにこれこそ「県政与党」=「オール沖縄」会派に今最も求められているものではないでしょうか。
 議会の質問権を放棄する(2015年12月9日)などのなれあいが言語道断なのはもちろん、「オール沖縄」の名の下に、言うべきことを言わない、主張すべき政策を主張しないことが、いかに民主主義に反し、県民に背を向けるものであるかを、あらためて銘記すべきでしょう。
 


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沖縄県議選でなぜ「自衛隊配備・強化」が争点にならないのか

2016年06月04日 | 沖縄・翁長知事

    

 あす5日は沖縄県議選の投票日です。「米軍普天間飛行場の返還、名護市辺野古への新基地建設の是非、日米地位協定の改定など、施政権返還から44年たっても変わらない基地問題」(5月26日付琉球新報社説)が問われることは間違いありません。

 しかしその一方で、きわめて重大な問題が争点としてクローズアップされないまま投票日を迎えようとしています。与那国、宮古、石垣の「先島諸島への自衛隊配備・強化」です。

 例えば、告示日にあたり県内の8政党(自民、公明、社民、共産、社大、生活、民進、おおさか維新)は「アピール」を出しましたが、その中で「自衛隊配備」に触れた党は1つもありませんでした(5月27日付琉球新報掲載分)。

 政党だけではありません。告示にあたっての琉球新報の社説(26日付)も「自衛隊」には触れていません。沖縄タイムスの社説(30日付)には「自衛隊配備」はありますが、「宮古や八重山では自衛隊配備の問題が重要な論点となっている」と「宮古や八重山」に矮小化しており、かえって問題です。

 先島諸島への自衛隊配備・強化は、日米軍事同盟の新ガイドライン(防衛協力指針)に基づくものであり、戦争法体制を進める安倍政権によって事態は切迫しています。それは与那国への陸上自衛隊配備強行(3月28日)や宮古島、石垣島の現状を見れば明らかです。
 にもかかわらず、沖縄にとっても日本全体にとっても重大なこの問題が県議選の争点になっていないのはなぜでしょうか。

 ここに翁長雄志知事をかつぐ「オール沖縄」の重大な問題があると言わねばなりません。

 翁長氏は今回の県議選の争点について、こう述べました。
 「やはり21世紀ビジョン。その中の第1番目の基地問題、アジア経済戦略構想、子どもの貧困」(5月27日付琉球新報)

 「21世紀ビジョン」とは、仲井真前知事時代に決定された「県のビジョン」です。その「基本計画」(2012年5月)で「基地問題」は、「第4章 克服すべき沖縄の固有問題」の中で「基地問題の解決と駐留軍用地跡地利用」として取り上げられていますが、そこでは基地の「整理・縮小を求めていきます」としているだけで、全基地撤去はありません。さらに、「21世紀ビジョン」の中に「自衛隊問題」は一切ありません。

 そもそも翁長氏自身、自衛隊配備・強化に反対ではありません。最近も中谷防衛相との会談(3月27日)で、与那国への自衛隊配備について、「地域住民の安全管理に万全を期していただきたい」(3月29日付琉球新報)と言うだけで、配備を容認する姿勢を改めて示しました。

 こうした翁長氏を戴く「オール沖縄」の県議選候補らは、当然のことですが、自衛隊配備・強化についての政策(見解)はバラバラです。
 県議選に立候補している「オール沖縄」の翁長与党は37人。その中で、「先島諸島への自衛隊配備」について、「全面撤去」を主張する候補は「革新」を中心に25人(68%)、「縮小すべき」が5人(14%)、「どちらともいえない」が7人(19%)です(6月4日付琉球新報の一覧表から分析)。
 
 つまり、「オール沖縄」候補の3分の2は先島諸島への自衛隊配備に「反対」であるにもかかわらず、翁長氏に同調する残り3分の1に引っ張られる形で、「自衛隊配備・強化反対」を前面に掲げることができない。琉球新報や沖縄タイムスも争点化していない。それが今回の県議選の構図ではないでしょうか。

 永年沖縄で平和活動に尽力している村椿嘉信牧師はこう指摘します。

 「辺野古の代替施設建設の問題ばかりに注目が集まる中、沖縄の軍事要塞化が加速しているのに気づかないなら、辺野古の新基地建設は阻止できても、危険はさらに増すだけだろう。…日米安保条約は容認するという翁長雄志県知事を先頭とするオールオキナワのたたかいの中で、『日米安保反対』とか、『自衛隊基地反対』の声があげにくくなっている。普天間飛行場の『県内移設』に反対するたたかいと、日米の軍隊による沖縄の『軍事要塞化』に反対するたたかい、また東アジア各地の『反戦平和』のたたかいを、いかに結びつけていくかが、今、まさに求められているのではないか」(「靖国・天皇制問題情報センター通信」2016年5月号)

 まったく同感です。

☆当ブログは前タイトル「私の沖縄日記」から通算して、今回が801回になります。お読みいただいた皆様に厚くお礼申し上げます。これからも私なりの「アリの一穴」ならぬ「一言」をめざして書いていきます。今後ともよろしくお願いいたします。
 


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沖縄米軍属女性殺害④オバマ大統領に会って何を言うのか

2016年05月24日 | 沖縄・翁長知事

    

 翁長雄志知事が23日安倍首相と会談した際、「オバマ大統領に直接話をさせてほしい」と発言したことが注目されています。
 翁長氏はオバマ大統領に会って何を言うつもりなのでしょうか。

 問題は会うか会わないかではなく、会って何を主張・要求するのかです。
 ところが肝心のその中身について、翁長氏は何も語っていません。ただ「県民の生命と財産、将来の子や孫の安心安全を守るため」という抽象的な「理由」を述べただけです。
 これでは「日本政府がそれに応じる訳がないと分かってのことだろう」(佐藤学沖縄国際大教授、24日付琉球新報)とみるのが当然で、政治的パフォーマンスであることは見抜かれています。

 仮にオバマ氏と直接話ができたとしても、その場で的確な主張をしなければ、意味がないどころか、かえって事態を誤った方向へ収束させるだけです。
 翁長氏はいま、オバマ大統領に何を言うできでしょうか。

 それは今回の事件によって沖縄県内に広がっている県民の切実な声、「沖縄に暮らす人びとの真に安全な社会を実現するため、沖縄から全ての基地・軍隊の撤退を求める」(「女性16団体要求書」5月20日)、すなわち沖縄からの全基地撤去にほかなりません。

 ところが翁長氏は、安倍首相との会談で、「全基地撤去」については一言も触れませんでした。
  琉球新報は社説(24日付)で、安倍首相と会談した翁長氏に対し、「物足りなさを禁じ得ない」として、こう指摘しています。「大統領との面会要求のほかは地位協定見直しを含めた『実効性ある抜本的対策』を求めたくらいだが、それだけで基地に由来する凶悪事件を根絶できないのは明らかだ。やはり全基地閉鎖要求に踏み込んでほしかった

 首相との会談後の記者会見でも、翁長氏に対し、「全基地撤去の声が高まっている」と水が向けられました。翁長氏はこう答えました。

 「県民がそういう気持ちを持つのは(理解でき)、私も県民の一人として思う。ただ政治は結果でもあるので。こういったこと等を踏まえた上で、今私たちが新辺野古基地は造らせない、普天間基地は県外移設だと訴えている。全県的に基地は要らないということは、そういったことを踏まえた議論の中で、やるべきだろう」(24日付琉球新報)

 例によって明瞭ではありませんが、要は、自分は「全基地撤去(閉鎖)」という主張はしない、ということです。20日の記者会見となんら変わっていません(22日の当ブログ参照)。

 いま、この時に、オバマ大統領に対しても、安倍首相に対しても、「沖縄から全ての基地・軍隊の撤退を求める」という県民の痛切な要求を突きつけることができない人物に、沖縄県知事としての資格があるでしょうか。


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沖縄米軍属女性殺害②翁長氏は沖縄の知事にふさわしいか

2016年05月22日 | 沖縄・翁長知事

    

 「容疑者逮捕」から数時間後の19日午後8時すぎ、翁長雄志沖縄県知事が訪問先のアメリカから帰国しました。成田空港で会見した翁長氏に記者が質問しました。
 「(総統就任式の)台湾訪問日程に変更は」。翁長氏の答えはこうでした。

 「公式日程なのでここ(東京)から直接飛ぶ。数時間ですぐ沖縄に戻る。その間副知事をはじめ担当者と連絡を取ってしっかり調整したい」(20日付琉球新報)

 しかし実際に翁長氏が那覇へ戻ったのは翌20日午後8時すぎ。丸1日沖縄を留守にしたのです。
 この間、在沖米軍トップが県庁に「謝罪」に訪れるという重要な動きがありましたが、知事不在のため、安慶田副知事が応対せざるをえませんでした(写真中)。

 歴史的な重大事件です。沖縄県知事ならアメリカから帰国後直ちに那覇に戻り、陣頭指揮を執るのが当然ではないでしょうか。沖縄をしり目に台湾へ向かった翁長氏の責任は見過ごせません。現にそれによって在沖米軍トップに知事が直接抗議する重要な機会を逸してしまったのです。

 翁長氏はなぜ沖縄に戻らず台湾へ行ったのでしょうか?緊急重大事態に際し、「公式日程なので」が理由にならないことは言うまでもありません。翁長氏にとっては今回の事件より台湾総統就任式の方が重要だったということでしょうか。
 それとも、「(蔡英文台湾新総統は)安倍晋三首相とのパイプが知られ、昨年10月の訪日時に極秘会談したとされる」(21日付中国新聞=共同)という人脈と関係があるのでしょうか。

 いずれにしても、沖縄県知事として重要な1日を「不在」にした責任は免れません。

 「基地がある限りこのような事件はなくならない」。事件後、沖縄からすべての基地をなくする(全基地撤去)の声がかつてなく急速に広がっています。

 「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」(高里鈴代、糸数慶子共同代表)ら16団体は、20日県庁で記者会見し、「基地・軍隊は、人間の心と身体を深刻なまでに破壊しており、それはフェンスの内と外を問いません」として、3項目の「要求書」を発表しました(写真右)。
  被害者を取り巻く人びとへの謝罪とケアが丁寧に行われること
  真相が究明され、加害者への厳正な処罰が行われること
  沖縄に暮らす人びとの真に安全な社会を実現するため、沖縄から全ての基地・軍隊の撤退を求める
 要求の相手は、オバマ大統領、安倍首相、そして翁長知事です。

 しかし翁長氏は、台湾から帰国した直後の20日午後8時半ごろ、那覇空港での記者会見(写真左)で、「県政与党や市民団体から県内の全基地を撤去するよう求める声が強まっている。知事の受け止めは」と聞かれ、こう答えたのです。

 「そういう思いを持つというのは、私からしても理解できるところだが、この問題はご家族のこととかいろいろ視野に入れてやっていかなければならない部分もあると思う。全部(撤去)かということについては県民の思いを一つにするようなものの中で、見通しを立てながら頑張っていくべきだと思う」(21日付琉球新報)

 例によってのらりくらりと逃げていますが、要は「全基地撤去」とは言わない、賛成できないということです。それは「保守」に対する配慮であると同時に、「日米安保の重要性は誰よりも知っている」が持論の翁長氏の本音です。この点、翁長氏は知事になる前も、なってからも、そして今回の事件が起こっても、なにも変わっていないのです。

 基地・軍隊が起こす犯罪の根絶のため、沖縄からの全基地撤去こそが必要であり、その世論がかつてなく高まろうとしているとき、それに賛成しない、賛同できない人物が果たして沖縄県知事としてふさわしいと言えるのか、改めて考え直すべきではないでしょうか。

 次回(明日)は、今回の事件で問われる「本土に住む日本人」について考えます。


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理不尽な「伊波降ろし」、候補者選考の基準は「基本政策」

2016年03月08日 | 沖縄・翁長知事

  

 翁長雄志知事を支える「オール沖縄」の中から、宜野湾市長選の敗北を口実に、参院選の予定候補者に内定している伊波洋一氏(写真左=琉球新報より)を引きずり降ろそうとする動きが強まっています。きわめて理不尽な動きで、「オール沖縄」の実態を示すものとして注目されます。

 伊波降ろしの急先鋒は、翁長氏にきわめて近い呉屋守将・金秀グループ会長(写真中の左端)。呉屋氏は宜野湾市長選告示前の昨年12月27日すでに、「伊波洋一さん、もしこの市長選を落とすことがあれば、あなたは参院選を降りる覚悟をここで示すべきではないか」(1月26日付琉球新報)と詰め寄る異常な言動を行っていました。
 そしてさらに選挙後、「与党(県政―引用者)の一部や経済界から伊波氏への不満が表面化」(3月3日付沖縄タイムス)してきました。

 参院選候補者について、「選考委(参院沖縄選挙区・候補者選考委員会=座長・新里米吉県議―引用者)は、昨年9月に伊波氏に出馬を正式に要請し、受諾」(同沖縄タイムス)されています。すでに内定済みです。それを呉屋氏らが蒸し返したため、2月28日の選考委では伊波氏擁立の正式決定が先送りされました。

 宜野湾市長選の敗北を、伊波氏に押し付けるのはまったく筋違いです。
 敗北の責任を問うなら、真っ先に翁長氏の責任を問わねばなりません。
 「オール沖縄側の候補者選考から選挙戦まで、翁長雄志知事が前面に立った以上、翁長知事への審判と取られることは避けられない」(佐藤学沖国大教授、1月25日付沖縄タイムス)

 ところがここにきて、「市長選敗北」は伊波降ろしの口実ではないかと思われる動きが出ています。「(伊波氏擁立に―引用者)難色を示す経済界が懸念するのは、伊波氏で保革を超えた『オール沖縄』の枠組みを維持できるかどうかだ。市長選では、翁長県政が普天間飛行場の県外移設を訴える中で『無条件の閉鎖撤去』を前面に掲げるなど、主張の違いが分かりにくさを招いた」(4日付琉球新報)と報じられていることです。
 政策的に「革新色の強い伊波氏」(同)は「オール沖縄」の候補としてふさわしくない、というわけです。

 これはきわめて奇異な言い分です。なぜなら、選考委で伊波氏が内定したのは、事前に決定した「参院選基本政策」(2015年8月21日決定)に基づくものだからです。
 選考委が決定した「基本政策」はどのようなものでしょうか。6項目の「全文」(8月22日付琉球新報)を引用します。

 日本国憲法の理念と9条を守り、安保法案の廃案(廃止)を目指す。日米地位協定の全面改定に取り組む。
 米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、辺野古新基地建設断念を求める。オスプレイ配備を撤回させ、新たな基地は造らせない。基地返還の促進を求め跡地利用や基地従業員の雇用問題に取り組む。
 「21世紀ビジョン」「アジア経済戦略構想」の実現に協力し、観光産業、地場産業、農業・漁業および中小企業の振興を図る。くらしと経済を壊すTPPと消費税増税に反対する。
 社会保障制度の拡充を図り、くらし・医療・福祉の充実を目指す。雇用の安定・安心に向けて失業率の改善と若者の雇用創出に取り組み、不当な賃金格差是正と非正規雇用の改善を図るとともに公契約法の制定を目指す。
 子どもが主人公の教育を進め、30人以下学級等教育環境の整備に取り組む。子どもの貧困解消、子育て支援、男女平等社会の実現に取り組む。
 原発の新設と再稼働を許さず、再生可能エネルギーを推進する。自然環境の保全、回復に力を入れる。

 この「基本政策」は、選考委を構成する11団体で了承・決定されたものです。その中には呉屋氏の金秀グループも入っています。

 「基本政策」第2項は、「米軍普天間基地を閉鎖・撤去」です。「県外移設」とはどこにも書いてありません。むしろこれは「無条件閉鎖・撤去」を意味するととる方が自然でしょう。少なくとも翁長氏が主張する「県外移設」が選考委の「基本政策」にないことは確かです。

 選考委の候補者決定は、上記6項目の「基本政策」に基づいて、それを実行する意思がある人物を選ぶべきであるのは言うまでもありません。

☆以前書いた「天皇・皇后訪比」についての計4回のブログ(1月23日、2月1日、2日、4日)に、乗松聡子氏(「ピース・フィロソフィー・センター」代表)が質量ともに大幅に肉付けしてくださったものが、共著の形で英文オンラインジャーナル『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』に掲載されました。乗松さんに深く感謝し、お知らせいたします。
http://apjjf.org/2016/05/Kihara.html

 


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「暫定和解案」の危険と翁長知事の屈服

2016年03月01日 | 沖縄・翁長知事

   

 辺野古新基地建設をめぐる「代執行訴訟」は29日結審し、4月13日に判決の予定です。しかし、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)による「和解」工作は継続しており、「係争委訴訟」の判決が予定されている3月17日までまったく予断を許しません。

 翁長知事は「和解案」のうち「暫定案」は「前向きに検討する」(2月15日)として受け入れる方向です。一方、安倍政権は「暫定案も根本案も受け入れられない」とし、とくに「暫定案」については「絶対に乗れない」(防衛省幹部、1日付沖縄タイムス)としています。
 「暫定案」は沖縄県に有利で、翁長氏は前向き、国は否定的、という図式です。しかし、はたしてそうでしょうか。

 「暫定和解案」は実は安倍政権の窮地を救うものであり、逆に、辺野古新基地阻止にとってはきわめて危険な“毒まんじゅう”になる可能性が大きいと言わねばなりません。

 ① 「違法確認訴訟」で「埋立承認取り消し」が「違法」とされる危険性

 「暫定案」の中身は、①国は「代執行訴訟」を取り下げ、工事を停止する②国と県は「違法確認訴訟」などの判決まで協議する③別の訴訟の判決が出たら従う、の3点です。

 さらに29日の裁判後、多見谷裁判長は「和解後は地方自治法に基づく是正措置を速やかに実行するよう求める暫定案の修正案を提示」(1日付沖縄タイムス)しました。

 「地方自治法に基づく是正措置」とは、まず国が県に対し、「埋立承認取り消し」の取り消しを求める「是正指示」(地方自治法第245条の7)を行うことです。そして県がこれに従わない場合、「高等裁判所に・・・違法の確認を求める」(同第251条の7)ことができます。これが「違法確認訴訟」です。

 もともと、「多見谷裁判長は強権的な代執行手続きではなく・・・違法確認訴訟で翁長知事の埋め立て承認取り消しの違法性を争う道を探っていた」(1月30日付沖縄タイムス)のです。

 「代執行訴訟」では「国勝訴」にはしにくい、しかし「違法確認訴訟」なら「承認取り消し」は「違法」(「国勝訴)の判断を出しやすい。それが「暫定案」の最大の狙いです。

 そして国・県とも「違法確認訴訟」の判決には従うというのが「和解案」に内容です。翁長氏はすでに自ら「判決通り、(承認取り消しを)取り消す」(2月15日の反対尋問)と明言しています。「違法確認訴訟」で「違法」判決がでれば、その時点で翁長氏は「承認取り消し」を取り下げ、埋立工事が強行される危険性がきわめて高いのです。
 そうなれば、「暫定案」は「暫定」でなくなります。

 ② 「代執行訴訟」取り下げは安倍政権の救済

 「代執行訴訟」を取り下げることは国の譲歩だという見方がありますが、それは逆です。
 もともといきなり代執行訴訟を起こすのは地方自治法(第245条の8)に反しており、このままでは「国敗訴」は必至とみられています。それは安倍政権にとって大きなダメージです。

 それを救うのが「暫定和解案」です。「国には代執行訴訟における『敗訴判決』を回避する点で和解のメリットを有する」(新垣勉弁護士、2月4日付沖縄タイムス)のです。

 ③ 「工事停止」の期間を短縮

 翁長氏が「暫定和解案」を受け入れようとしている最大の口実は、判決までは工事が「停止」するということです。政府・防衛省が「暫定案」に難色を示しているのも、「工事停止」のためです。
 そこで多見谷裁判長は、この「工事停止」の期間を短縮することに乗り出しました。

 29日に多見谷裁判長が示した「修正案」は、「率直に言うと、手続きは迅速に進めるという部分」(松永和宏弁護士、1日付琉球新報)です。「それは国側への配慮か」との記者の質問に、松永氏は、「というふうに考えていいと思う」(同)と答えています。

 つまり、多見谷裁判長は、「暫定案」で一時的に「工事停止」となっても、その期間をできるだけ短くするために「国側への配慮」として「手続きは迅速に進める」ことを修正案として示したのです。

 これに対して翁長知事側はどう答えたか。「その点で私たちも協力はします」(松永氏、同)と答えたのです。ここにも翁長氏の安倍政権への妥協・屈服の姿が表れています。

 ④ 予断を許さない「根本案」

 29日の「和解協議」では「根本案については一切話題に出ていない」(松永氏、同)といいます。一方、多見谷裁判長は和解協議の中で、「根本案を先に検討するよう求めている」(2月23日付産経新聞)という報道もあります。

 およそ受け入れる可能性のない「根本案」を出しておけば、「暫定案」は受け入れやすい。「国寄り」といわれる「根本案」ではなく「県寄り」といわれる「暫定案」を、国が受け入れたとなるいと、いかにも柔軟な姿勢をみせたように映る。「根本案」は「暫定案」のためのおとりではないのか、という疑念がふくらみます。

 同時に、きわめて政治的な問題である「根本案」をめぐる協議は、公開の場ではなく、安倍政権と翁長知事の間で、極秘に水面下で進行している可能性もあります。

 安倍ファッショ政権との間で「和解」などありえません。「根本案」はもちろん、危険な「暫定案」もきっぱり拒否し、文字通り「あらゆる手法」を駆使して徹底的にたたかうこと。それこそが辺野古新基地を阻止する道です。


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「戦争(安保)法廃止」に賛成しない翁長知事

2016年02月27日 | 沖縄・翁長知事

  

 25日の沖縄県議会代表質問で、日本共産党の西銘純恵議員は、きわめて重要ないくつかの問題で翁長雄志知事の見解をただしました。
 ところが翁長氏はそれにまともに答えず、町田優知事公室長らに代わって答えさせました。こうした翁長氏の姿勢、そして町田氏らの答弁の内容は、けっして見過ごすことはできません。

 最も注目されたのは、目下の国政の最大課題といえる「戦争法(安保法制)」廃止についてです。「戦争法は廃止すべき」として「知事の見解をうかがう」とした西銘議員に対し、翁長氏は自ら答弁することを避けました。町田公室長の答弁はこうです。

 「十分な理解がえられていない法案を強引におしすすめる政府の姿勢は容認しがたい。沖縄の基地負担の強化につながることがあってはならない」

 これは半年前とまったく同じ答弁です。戦争法案採決のやり方には異議を唱え、沖縄の基地負担の強化には反対していますが、戦争法制自体には反対せず、もちろん「廃止」には賛成せず、結局戦争法を容認しているのです。これが翁長氏の立場です。

 戦争法を容認・賛成する翁長氏の立場は、「集団的自衛権を容認」する翁長氏の当然の帰結です。翁長氏は新聞のインタビューでこう明言しています。

 「ぼくは非武装中立では、やっていけないと思っている。集団的自衛権だって認める」(2012年11月24日付朝日新聞)

 集団的自衛権を容認し、戦争(安保)法を容認する翁長氏が、本気で「辺野古新基地」に反対できるでしょうか。

 西銘議員の質問に対する重大な答弁はこれだけではありません。主なものを挙げます。

★ 西銘議員「宮古、石垣、与那国への自衛隊配備強化に反対すべきだ」
  翁長知事(答えず)
  町田室長「自衛隊は島しょに大きく貢献している」「情報収集に努める」「政府は地元の理解を得られるよう丁寧に説明すべきだ」

★ 西銘議員「高江ヘリパッド建設は中止すべきだ」
  翁長知事(答えず)
  町田室長「さまざまな意見があり、情報収集に努めている。建白書に基づいてオスプレイ配備に反対する」

★ 西銘議員「嘉手納基地への外来機飛来を禁止すべきだ」
  翁長知事(答えず)
  町田室長「負担の増大にならなういよう日米両政府に粘り強く働きかけていく」

★ 西銘議員「消費税の10%増税は中止すべきだ」
  翁長知事(答えず)
  平敷昭人総務部長「消費税は安定財源確保のうえで重要な役割を果たしている」

★ 西銘議員「TPPの批准に反対すべきだ」
  翁長知事(答えず。だれも答えず)

 西銘議員が求めた重要課題での「反対・禁止」は、ことごとくかわされてしまったのです。
 この質疑であらためて分かるのは、「辺野古」以外で翁長氏と安倍政権・自民党との間に政策の違いはないということです。

 さらに、こうした翁長氏の政治姿勢は、解釈改憲や消費税増税、TPPへの反対を明記した翁長氏と革新会派との「知事選にのぞむ基本姿勢および組織協定」(2014年9月13日)に明確に反しているということです。

 こんな翁長氏を、共産党はなぜ「全面的に支える」ことができるのでしょう。
 戦争法はじめ重要な質問でことごとく答弁を回避され、公室長らの重大答弁を聞きながら、西銘議員はなぜ再質問で翁長氏自身の見解をたださなかったのでしょう。

 重要問題での不一致は見て見ぬふりをし、「辺野古反対」(翁長氏のそれははじめから疑問だらけですが)の1点だけで「翁長氏を全面的に支持」することがいかに重大な事態をもたらすか。「思考停止」はもう許されません。

 ※沖縄県議会の中継ビデオは、県議会のHPから見ることができます。関心と時間がある方は、翁長氏の実像をぜひご覧ください。


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議場で「天皇陛下万歳」の異常、それを問題にしない「翁長与党」の異常

2016年02月25日 | 沖縄・翁長知事

  

 23日の沖縄県議会(写真左)で、異常な光景が見られました。代表質問に立った新垣哲司議員(自民)が、「天皇陛下万歳」と叫んだのです(写真中。県議会中継ビデオより)。

 新垣氏は質問の最後約4分を「天皇・皇室」に充て、天皇がいかに「国民に寄り添っている」かを「東日本大震災の慰問」などを例にあげて強調したうえで、こう述べました。「日本は第1代の神武天皇から今上天皇まで125代続いている世界最古の王朝である」。その締めくくりが「天皇陛下、万歳」です。

 新垣哲司氏が県議会の議場で「天皇陛下万歳」と叫んだのは実はこれが初めてではありません。1999年7月6日、同じく代表質問でも同じことをやりました。これだけなら、時代錯誤の自民党議員の愚行、で片づけられるかもしれませんが、そうはいかない問題があります。それは、17年前の前回と今回とで、新垣氏の愚行に対する議会の対応が変わったことです。

 「当時(1999年)の野党は『議会の秩序が保てない』と反発し、丸1日議会が空転した。当時の議長が『このような行為は円滑な議会運営の面から慎んで』と注意したが、新垣氏は『万歳を唱えることが不適切とは思えず違反でもない』と反論。議長判断で議事が再開された」(24日付沖縄タイムス)

 今回はどうだったでしょうか。

 「今回の発言を受け、与党は代表者で対応を話し合ったが結論は出なかった。ベテラン議員の1人は『規則の想定外の行動なので扱いが微妙だ』と本音を明かした」(同)

 17年前の「野党」とは、稲嶺恵一県政野党の「革新」党派です。そして今回の「与党」とは翁長雄志県政与党の同じく「革新」党派と保守の一部です。つまり、日本共産党、社民党、社大党、県民ネットなど「革新」党派は、同じ新垣氏の異常な行動に対し、前回は「反発」して「丸1日議会が空転」したけれど、今回は問題にしなかった、というわけです。

 この違いは、いったいどこから生まれるのでしょうか。

 新垣氏の「天皇陛下万歳」を、「規則の想定外」として見逃すことはできません。なぜなら、「日本は神武天皇から今上天皇まで125代続いている世界最古の王朝」という発言は「天皇統治」の考えであり、明らかに日本国憲法の前文(国民主権)、第1条(象徴天皇制)に反しており、それを議場で公言することは第99条(公務員の憲法尊重擁護義務)違反だからです。

 まして質問内容とはなんの関係もない「万歳」パフォーマンスなどもってのほかです。それは「復帰後、新生沖縄県議会は、日本国憲法及び地方自治法に基づく議事機関として新たな一歩を踏み出し(た)」という「沖縄県議会基本条例」(2012年施行)の精神にも反すると言わねばなりません。

 「革新」会派にとって前回と今回の違いは何か。自民党県政の野党から「翁長県政」の与党になったことです。

 前回(17年前)の新垣氏の「万歳」は、「国歌・国旗法」の成立を前にして、同法成立時には、「(県議会の)議場に日の丸を掲揚すべきだ」という質問の中で、「その前祝として」(新垣氏)行ったものです。
 当時、翁長氏は新垣氏と同じ自民党の県会議員(稲嶺与党)でした。そして翁長氏は翌年(2000年)那覇市長に転身します。那覇市長となった翁長氏が早々にやったことは何だったか。市役所の庁舎に初めて「日の丸」を掲揚したことです。

 「翁長那覇市長は、国旗掲揚について『国歌国旗法の成立を受け、国はじめ県内でも掲揚が進められている。那覇市においてもできるだけ早い時期に設置すべく、条件整備したい』と述べ、1972年の復帰後初となる市庁舎への国旗掲揚を表明した」(2000年12月12日付琉球新報)

 前回新垣氏の「天皇陛下万歳」を問題にした「革新」党派が、「翁長県政」与党となった今回は問題にしなかったのは、「日の丸」、「国歌国旗」、「天皇制」に対する翁長氏のこうした基本的立場と、はたして無関係だと言い切れるでしょうか。関係ないというなら、なぜ今回は問題にしなかったのでしょうか。

 「翁長県政」の与党となったために、「議場の天皇陛下万歳」という異常を見逃すことになったとするなら、「オール沖縄」とはいったい何なのでしょうか。


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辺野古裁判重大局面 ④ 「移設」論から離れられない翁長氏の致命的欠陥

2016年02月19日 | 沖縄・翁長知事

 15日の「代執行訴訟第4回口頭弁論」(福岡高裁那覇支部)。翁長知事に対する国の「反対尋問」で、つぎのやりとりがありました。

 国側 現在、普天間飛行場の危険性除去について、現実的で実現可能な方法について、あなた自身の具体的な考えはあるか。

 知事 10年前に硫黄島にP3Cに乗って行った。向こうは住民がいない。自衛隊のタッチアンドゴーをやっている。沖縄の負担を受けてもらえないかと言ったことがある。努力はしたが、今の考えということは申し上げることはできない。

 国側 考えがあるけれども言えない。

 知事 県外移設という考えは持っている。具体的にはどこかと言われると、ないという話だ。

 軍用機に乗って普天間の移設先を探しに行った、というのも驚いた話ですが、この問答で国側が裁判官に印象づけようとしたのは、“翁長知事は「県外移設」といいながら、具体的な考えは持っていない”ということです。

 しかし翁長氏はこう答えるしかないでしょう。「具体的にはない」のは事実ですから。

 ここには翁長氏の致命的な弱点・欠陥が表れています。それは、日米政府と同じ「普天間移設」論の土俵に上っていることです。「県外移設」論は「普天間移設」論の一案にほかなりません。 

  日米政府の言い分は一貫して、普天間返還には代替の移設先が必要だ、本土でも探しているが見つからない、ということです。

 これに対して翁長氏の「県外移設」論は、「日本の安全保障は日本国民全体で考え、負担を分かち合う」(「代執行訴訟陳述書」)べきだとして、普天間基地の機能を本土へ移設すべきだというものです。

 日米政府と同じ「移設」論に立つ限り、「移設先」はどこにする?代案は?・・・という議論が繰り返されます。
 そもそも基地を本土へ移す「県外移設」論では基地被害を含め日米安保体制問題の抜本的な解決にはなりません。各種世論調査の結果が示しているように、それは沖縄県民多数の意見でもありません。

 普天間は「移設」ではなく、「無条件・閉鎖・撤去」です。日米政府と同じ「移設」論の土俵に乗ってはなりません。

 そもそも県民の願いが結実した「建白書」(2013年1月28日)は、「米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること」としており、「県外移設」論は排しているのです。

 翁長氏は「建白書の精神」に基づくと言いながら、「建白書」に反する「県外移設」論を繰り返しています。
 「反対尋問」の翌日に県議会で表明した「2016年度県政運営方針(所信表明)」(2月16日)でも、「県外移設を求めてまいります」と3回も繰り返しています。
 これは明らかな「建白書」違反であり、県政与党「オール沖縄」陣営の一致点でもありません。

 例えば「県外移設」に反対の日本共産党は、今回の口頭弁論後も機関紙「赤旗」の「主張(社説)」(17日付)で、「『移設』の不当性いよいよ明白」のタイトルのもと、「普天間基地は、『移設』条件なしのへ閉鎖・撤去こそ必要です」と、「建白書」に沿った主張を強調しています。

 そうであるなら、共産党はなぜ翁長氏の「建白書」違反の「県外移設」論に対して抗議しないのでしょうか。なぜ見て見ぬふりをしているのでしょうか。それは公党として、県政与党としての責任放棄ではありませんか。

 日米安保体制の必要性を繰り返し強調する翁長氏が自発的に「移設」論から脱却することはまず考えられません。そうである以上、「建白書」にもとづいて、翁長氏を「県外移設」ではなく「無条件閉鎖・撤去」の立場に立たせることが、県政与党の役割ではないでしょうか。

 23日から県議会で翁長氏の「県政方針」に対する代表質問が始まります。共産党はじめ県政与党の質疑が注目されます。


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辺野古裁判重大局面③ 「埋立承認撤回」の放棄は許されない

2016年02月18日 | 沖縄・翁長知事

  

 前回みたように、翁長知事は「反対尋問」(15日)で、「代執行訴訟」敗訴の場合、「埋立承認の取り消し」を自ら「取り消す」と言明しました。
 この発言を受けて、次のような問答がありました。(16日付琉球新報より)

 国側 これまで、あなたはたびたび記者会見で辺野古に基地は造らせないとか、今後ともあらゆる手法を用いて辺野古に代替施設を造らせないとの公約実現に向け不退転の決意で取り組むということも言っている。この発言との関係(「取り消し」を取り消すこととの関係-引用者)はどうなるのか。

 知事 私があらゆる手法を用いるというのはそれこそいろいろあると思う。私が去年行動した中で、仮にワシントンDC向こうのアメリカ政府が分かったと言えば、それもありとあらゆる手段になる。その意味からするといろんなやり方がある。

 さらに、「取り消し」を自ら取り消すと、仲井真前知事の「埋め立て承認」に「法的瑕疵」はなかったことになる、という個所での問答です。

 国側 仲井真さんの承認には瑕疵がないということがその場合、司法的に確定することになる。それが確定した場合はその判断を尊重してその後の行政判断をするということになるか

 知事 判決は大変重要なことなので、行政の長としては従う。だが、先ほど申し上げた一つの例、ワシントンDC、アメリカ政府が分かったとなる例などは考えている

 国側が繰り返し聞いているのは、今回の裁判で「敗訴」した場合、自ら「取り消し」を取り消す翁長氏は、そのあとどういう手段で「造らせない」つもりなのか、「あらゆる手法」として何を想定しているのか、ということです。
 それに対して翁長氏が答えていることはただ1つ、「アメリカ政府が分かったとなる」ことです。「いろいろある」とか「一つの例」などと言いながら、自ら答えているのは「アメリカ政府」以外にありません。国側がわざわざ「その後の行政判断」を聞いているのに、その答えも「アメリカ政府」です。
 これが翁長氏の「あらゆる手法」でしょうか。

 翁長氏の念頭からは肝心な「手法」が完全に欠落しています(意図的に欠落させている)。「あらゆる手法」の中でも最も重要な「手法」、それは「埋立承認の撤回」です。

 現在係争中の3つの訴訟は、いずれも翁長氏の「埋立承認の取り消し」に基づくものであり、その根拠となった「埋立承認の法的瑕疵」の有無が最大の争点となっています。

 しかし、もともと辺野古新基地を阻止する手段は、埋立承認の「取り消し」と「撤回」の2つあったのです。そして、翁長氏は知事選の出馬にあたって、こう公約していました。

 「取り消しは法的な瑕疵があればできると考えられます。・・・法的な瑕疵は十二分にあると思います。知事になれば、この過程を検証していきたい。
 撤回は、法的な瑕疵がなくても、その後の新たな事象で撤回するということですが、知事の埋め立て承認に対して、県民がノーという意思を強く示すことが、新たな事象になると思います」(2014年10月21日の政策発表記者会見。同22日付「しんぶん赤旗」)

 さらに、就任後の県議会(2014年12月17日)でも、翁長氏はこう答弁しました。

 「知事選で示された民意は埋め立て承認を撤回する事由になると思う」(2014年12月18日付琉球新報)

 「取り消し」と「撤回」は違うのです。

 県内の専門家らで構成される「撤回問題法的検討会」(新垣勉弁護士、仲地博沖縄大学長ら)も、翁長氏に提出した「意見書」(2015年5月1日)で次のように指摘していました。

 「新知事は、埋立承認が撤回により生じる国の不利益を考慮しても、撤回により生じる沖縄県の公益が高いと認められるときには、新たな公益判断に基づき、埋立承認を撤回することができる
 よって、新知事において、憲法で保障された地方自治の本旨及び公有水面埋立法が埋立承認の権限を知事に授権した趣旨を踏まえて、新たな公益判断を行い、前知事がなした埋立承認の撤回を行うよう、要請する

  仲井真前知事の埋立承認に対して「県民がノーという意思を強く示」したことによって知事になった翁長氏は、本来、就任後直ちに埋立承認を「撤回」すべきだったのです。

 「埋立承認取り消し」をめぐって争われている裁判で仮に裁判所が「国勝訴」の不当判決を行ったとしたら、翁長氏は直ちに「埋立承認撤回」を表明すべきです。しなければなりません。それこそが「あらゆる手法」の行使です。

 「選挙公約」にも「議会答弁」にも反して「埋立承認撤回」を暗黙のうちに放棄することは、絶対に許されません。

 


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