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セルトレー播種機

2008-04-08 05:24:30 | 稲作
安藤工房の制作の素晴しい、美術品のような「種蒔機」でセルトレーに播種している。この機械がないと、1枚の288穴のセルトレーに播種するのに、20分かかる。100枚とすれば、10人で蒔いたとしても3時間半はかかる。播種の作業には、土を振るって、セルトレーに入れる人、それを撒きよい深さに、土を抑える人。セルに上手く種が入っているかを補足する人。蒔いたセルトレーに、覆土する人。水を与えて、積み上げる人。全体の流れで言うと、種蒔き以外の作業に倍の人員が必要。播種機が無ければ不可能。3つの播種機を使うと、10人は居ないとならない。逆に言うと、10人なら、3台の播種機で回る。播種機が作業のペースの鍵になるので、播種機では、1枚2分。10分の一の時間になる。つまり、10人力。そこで、100枚のセルトレーに手播きするには、2時間30分の作業と成った。これは、グループ田んぼでは許容範囲で、良い速度といえる。

舟原では、2反5畝の田んぼに、200枚のセルトレーを用意するので、頑張って5時間の作業となる。午前中種蒔きをして、食事をして、午後は苗代に並べる。不織布のパオパオをかける。これで夕方までの良い時間配分になる。午後は、次のグループの新永塚田んぼが種蒔きをして、4時くらいから、田んぼに並べる。これで何とか、2グループがうまく納まる。何度も播種の流れをシュミレーションしていたが、実際にやってみると、何箇所か違っていた。人が一直線に配置できないので、流れ作業が上手く導線が出来ない。作業が終わったセルトレーを運ぶ役を誰がやるか。作業を中断して運ぶのでは、時間ロスが出てくる。種蒔きは若い人が良い。目が悪い、老眼の人には、どうもこの作業はまずい。種の数が見にくいという事では、種に色をつけるというのはどうか。種の陰干し、三つの播種機ごとの配置も大切だ。当然、種補足係りにも流れのなかで、配置されなくてはいけない。

舟原田んぼは数が多いので、合理的に流れを作らないと困難な事になる。途中で飲むお茶の準備も魔法瓶にしておこう。グループで田んぼをやってゆくと言う事は、この辺のノウハウが一番に重要。大豆の会もだんだん洗練されてきたが、田んぼのほうも、かなり合理性が出てきた。試行錯誤もそろそろ、完成形に近づいている。農の会で蓄積したものは、市民が農業に取り組み際の、良い事例に成ると考えている。農家がやっている農業とは、全く異なる流れを作らないとならない。苗代でも書いたようにアレコレ細かい調整がいる。当然田植えをやるとしても同じような、細やかな準備が必要となる。日常の管理だって、どんな約束で、誰がやるのか。この辺も、実はグループで作業を進める。大切なノウハウだろう。草を出してしまえば、大変な労働になる。どうやって除草剤を使わないで、草を減らすか。この技術も重要。秋の稲刈りから、お米になるまでは、作業が天気に追われる上に、集中する。この辺のスケジュール配分も大切。一番農家の人と違うのは、田んぼを市民がやりたくなる気持ちを、充分知った上で、作業の中で生かす事。

この素晴しい播種機が出来上がったところが、農の会力量だと思う。多種多様な職種の人が、存在する。それぞれの人が、それぞれの能力が生かされる集合体が、農の会だと思う。安藤さんは一流の創作家具作家だ。その人が、田んぼの事も熟知している。会ではセルトレーの苗作りの可能性を探って、試行錯誤してきた。そして、播種機の試作品をつくった。一応は出来たが、当然機能的に不十分なものだった。それを見てくれた、安藤さんが、改良を加えて、製作してくれたのだ。この連携が素晴しい。たぶん他の会では真似の出来ない、連携だと思う。これは、安藤さんのように、優れた技能者だけが、ありがたいという意味でない。旗を振ってくれる人がいてこそ、良い作業になる。グループ田んぼの素晴しさは、誰にも出来る役割がある、という田んぼの多様性。誰もが生かされる、自分が役に立つ、こういう気持ちこそ。一番継続してゆく支えだと思う。
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2 コメント

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Unknown (&O)
2008-04-08 11:44:20
 笹村さん発案の播種機を見て感動しました。

 この発明はすばらしい!・・・だけど仕上がりがいまひとつ!・・・もし僕が作ったとしたら?・・・見てしまったのが運の尽き、もうすっかりササムラマジックに絡め獲られていた僕でした。

 笹村さんのスケッチを僕が清書したのかな?
 命名は「S&O式播種機288」というのはどうですか?

 農の会の様々な作業に、農業以外の自前の力で貢献できるというのはとても嬉しいものです。
 良い機会をお与えくださって感謝です。
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親子田んぼでも (笹村 出)
2008-04-09 06:32:19
親子田んぼの人達も、喜んでいました。
昨年、セルトレーを提案して、
一年間、播種法を心配していました。
手で蒔ける、強く言われる人もいたのですが。
将来性と、一般化を考えると、200枚蒔けないと、
グループ田んぼの実用にはなりません。
「学校田での利用」これを考えると、
この器具はきわめて有用と思われます。
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