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石垣島名蔵湾でマングロープの植林

2024-05-22 04:31:02 | 石垣島


 八重山ライオンズクラブ(LC、前里和江会長)は20日、八重山地域の自然環境を保全するため、石垣市の名蔵湾でヤエヤマヒルギの植樹を行った。干潮時に大規模な干潟になる湾内の一部をマングローブ林に変え、豊かな自然環境を次世代に残すため、40年以上前から続けている。ーーー八重山日報 

 1972年に西表島の一部が国立公園に指定された。2007年に石垣島の一部が国立公園になった。そして今回、崎枝から、大崎までの名蔵湾が、国立公園に指定されることになった。国内最大規模の沈水カルスト地形や巨大なコモンシコロサンゴ群集、良好なサンゴ群集などが評価された。

 名蔵アンパルの湿地帯を取り囲むように、バンナ岳の斜面にはパイナップル畑や放牧地が広がり、それを受け止めるように、海岸線には水田が広がる。昔は出作りのための田小屋があった。名蔵に出作りの経験がある方が昨年まで、田んぼをやられていた。

 名蔵の田んぼのある場所では、マラリヤの感染があるために、暮らすことは難しかった。石垣島の自然と暮らしの折り合いの付け方の、奥の深さと、美しさと悲しさを感じさせる場所だ。収穫したお米は舟で、街の方に運ばれたという。

 残念なことに、この素晴らしい名蔵の田んぼに耕作放棄地が出てきた。水田が赤土の流出を軽減していると思われるが、海岸線の水田が無くなれば、名蔵湾の珊瑚礁も危ういことになる。水田は自然を育む農業である。水を浄化し、地下水を涵養する。国立公園になった名蔵湾は、水田が守っている事を忘れては成らない。

  名蔵湾は国立公園に編入された。名蔵アンパルはラムサール条約の日本で最初に指定された湿地帯である。ここで自然再生のために、マングローブを植林して行くことには、賛否両論がある。この名蔵湾沿いを走る道路は石垣島では意外に珍しい、海の見えるドライブロードになっている。

 マングローブ林になれば、海が見えなく成るという反対論があり、八重山毎日新聞紙上でも、賛否両論が掲載されてきた。賛成論は自然保護が第一だという考えである。そもそも、国立公園の中のラムサール条約指定地に道路を通すこと自体が問題と言うことになる。

 西表島でイリオモテヤマネコが発見されたときに、竹富町は人間とやまねことどっちが大事かという議論が、町長選挙でも争点になった。結局、西表島縦断道路や一周道路は出来なかったが、中途半端な舗装道路が整備されたために、イリオモテヤマネコの自動車事故がやまねこ保全の最大の難関になっている。

 道路に飛び出してくるような道路の設計なのだ。日本で最も貴重と言っても良いようなやまねこがいる島で、道路建設をする以上、やまねこが飛び出さないような安全な道路を作ることが当たり前だと思う。道路は人間のために必要である。しかし、やまねこにとって危険な道路を作り、一向に改善できないというこはどう考えても、おかしいことだ。

 名蔵湾も貴重な湿地を潰して、道路を作った。それは人間が大事だから当然のことで、この湿地を埋め立ててをして、田んぼにしてきたのは、江戸時代からのことである。当時は道路がないから、川を舟で渡り、海を舟で迂回して行き来をしていたという。

 石垣島の中心市街地から、川平に抜ける舗装道路が出来たことはそれ程前のことではない。当然アンパルの湿地を埋め立てて道路や大きな橋が出来たのだ。名蔵や川平や崎枝に暮らす人にしてみれば、生活道路であり無ければ成らない道路である。

 ただ、今の自然保護の現状から考えれば、もう少し違う道路の位置取りがあったのでは無いかと言うことは言える。海が見えるもう少し高い位置に道路を作れば、湿地を潰さないでも済んだ。そして道路からの眺めも良かったはずだ。今更後悔しているようなことでもない。

 人間よりやまねこが大事かと言う以上に、経済の活性化と言うことが、人の暮らしの基本になる。石垣島の経済が回して行くと言うことが最も重要なことだろう。直接的には観光産業である。石垣のこれからの経済は観光である。これについては、誰もが納得することだろう。

 経済などどうでも良いという人も3%はいるのだろうが、大多数の人が、経済を重要だと考えて、石垣島の場合広い意味での観光を中心に経済を考えると言うことになる。広い意味というのは、観光のための宿泊施設を作ると言うことに成れば、島の様々な業種が潤うというようなことだ。

 それは農業でも、漁業でも、観光に旨く関連できれば成り立つという所が在る。この観光という所で、具体的には賛否が分かれてくるのだ。ゴルフ場を作れば、観光客が来てくれると言う意見と、ゴルフ場が自然破壊になれば、未来の観光資源が失われるという意見が対立する。

 観光を背景に、名蔵湾のヒルギ植林を考えると、ヒルギを道路の海側に植えて、海が見えない道路になれば、観光資源が失われると考える人達と、同時にマングローブ林が出来ればそれが観光資源になると考える人達が、対立して考えているのだろう。

 マングローブ林が道路と共存するような形であれば問題ないのだが、実は名蔵湾には赤土の流出という問題がある。サトウキビ畑から大量の赤土が流れ出て、マングローブ林も珊瑚礁をも埋め尽くしている。その赤土の上にヒルギ植林は進められていることになる。

 確かに黄土色の海岸はあまり景観的に良くない。白い白い珊瑚礁と言うことにはならない。赤土が丸見えよりもマングローブ林の方が美しいだろう。マングローブ林になれば、石垣島に適合してきた生き物も増えることだろう。その意味ではマングローブ植林は良いと思う。

 ただ、石垣島で海が見える道路はここだけである。この道路を毎日往復しているものとしては、この道路から海が見えるのは楽しみなことだ。特に、西表島に沈む夕日の美しさは他にはないものだろう。多くの観光客が西表島に沈む夕日を眺めている。車を止めて呆然と眺めていることもある。

 ライオンズクラブがヒルギの植林をして、自然環境を守る活動をするのであれば、是非ゴルフ場の反対もして貰いたい。これは自然林を大量に切り払うことになる。ゴルフ場にはホテルや別荘地も出来て、大量の水を使うことになるらしい。

 そのゴルフリゾートで使う水は地下水を汲み上げるのだそうだ。海に近いのだから、海水が混ざり、名蔵アンパルの環境は激変するだろう。ゴルフという発想も、これからは古くなる。テレビのゴルフ放映も激減した。若い人はゴルフなどしない。

 宮古島でも、石垣島でも、自衛隊ミサイル基地は倒産したゴルフ場跡に出来たのでは無かったか。今度のゴルフ場も農振農用地からの転用である。本来出来ないことが行われた。そして、またゴルフ場が倒産すれば、今度は米軍基地になるのだろうか。

 
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