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作物を満作にすることの意味

2024-05-20 06:02:59 | 楽観農園
 作物は人間が作り出したものがほとんどである。自然界にある野生の植物とは違う性質のものと考えなければ成らない。例えば今日本で栽培されている稲であれば、原種と言われる野生稲が、中国の長江の河岸に自生しているものが発見されている。その後もう一カ所、ラオス、カンボジア国境地帯の標高の高い地域が指摘されている。

 その稲が何千年も自家採種で栽培される中で、自然に選抜されて居るはずだ。そして、より人間にとって都合の良い品種を作り出そうと、ここ100年間の品種改良で、全く野生種とは違うような性格のものになっていると考えられる。野生の稲と似てはいるが、100倍も多く実がなるのものになったのだ。

 この人工的に作られている栽培品種は2つの方向がある。一つは人間が美味しいと思えるものだ。作物も商品であるので、改良は売れるものになる。果物であれば、消費者が好むもの、甘くて、柔らかくて、簡単に食べれるように改良されている。

 もう一つの方向は、化学肥料や農薬への対応力である。作物は肥料を吸収する能力が高められる改良がある。野生種の稲であれば、それ程栄養のない土壌で実を付けなければならない。しかし、改良された稲は化学肥料を吸収する能力が高められていて、無肥料では十分には生育できないようになっている。

 多分稲の品種では50種類ぐらいは作ったと思うが、同じ作物とは思えないような、性格がある事を経験してきた。その中で、小田原で作ったもので自分の栽培に合っている品種はサトジマンであった。平成6年~平成16年 に育成されたものとある。2004年に出来た品種だから、20年前のものだ。今でも小田原で畝取りが出来ている。

 神奈川県の奨励品種には2005年には成った。奨励品種を栽培するようにしていた。それは、苗作りを失敗することがまだ多くて、奨励品種であれば、急遽購入も出来るという安心感があったからだ。2005年には作り始めているはずで、その後自家採種を続けてきた。

 食味も好きで一番好きなお米だ。長年このお米を食べてきたので、この味こそお米だと感じるようになったのかも知れない。味は個別性の強いもので、美味しいと言われるお米でも、べつに、と言うものも多い。自分にとって美味しいが一番で作り続ける。

 ところが、このサトジマンを石垣島でも作りたいと考えたが、作って見て、全く栽培が出来なかった。きちっとしたサトジマンの形に育たなかったのだ。葉が10枚くらい出たところで、小さな穂が出てしまい、この品種では十分な栽培はできないと実感した。

 同時に栽培した、ひとめぼれも栽培状態は悪かったが、サトジマンよりはまだ良かったと言える。そこで、ともかく沖縄県が奨励品種にしている「ひとめぼれ」「ミルキーサマー」「ゆがふもち」やってみようと言うことで栽培実験を続けている。その当面の目標はその稲の特徴を知ると言うことである。

 それは「ひとめぼれ」であれば、宮城県の古川農業試験場で行われた栽培の結果と較べてみて、同等の生育をするかである。例えば葉は15枚の品種である。背丈は81から82㎝の品種。ところが、石垣島で作ると、葉は12枚が最高で、70㎝程度で出穂してしまう。これでは良いお米は出来ないはずだ。

 有機農業で稲を栽培すると、小田原の経験では葉は標準通りで、背丈は10センチは高くなる。葉の出る速度はほぼ7日で一枚である。これは10年以上測定した結果である。ところが、石垣島では5日で一枚の葉が出てしまう。栽培期間自体が1ヶ月以上短くなる。

 もう一つの奨励品種の「ミルキーサマー」も昨年から作っているが、同様の悪い結果だった。そこでまず目標は「ミルキーサマー」が中央農業総合研究センター谷和原圃場と宮城県古川農業試 験場で作られている標準の作柄にすることを、第一目標にした。背丈が84㎝である。

 これも沖縄名護の農業センターの実証実験では72㎝ぐらいまでの株になっている。これを何とか84㎝、15枚の葉で栽培できないかを、目標にした。結論から言えば、多分不可能と言うことと考えて良いというのが、現状である。

 のぼたん農園で一番健全に育ったものは、40㎝角植えのもだった。育苗期間は12月3日播種で1月13日5葉期の田植えである。3番田んぼでは、1月6日田植えで4葉期の苗であった。この田んぼでは12枚しか葉が出なかった。この結果から見て、大苗栽培で行う方が良いと推測している。

 餅米品種の「ゆがふもち」では6葉期の田植えをした部分が、鹿児島県の農業開発育成データーとほぼ同じ株に育った。「ゆがふもち」を栽培した2番田んぼも40㎝角植えである。満作にするには、6葉期に近い株を、40㎝角植えにするということは、育成方法としては間違いがないようだ。

 ただこれでは収量は半分になる。何年か土壌をよくするどりょくをして、結果が良くなれば又別かも知れないが、今のところは土壌を良くする方向も見えているわけではない。腐食を増やすと言うことを目標にしているが、まだその方法を実践しては居ない。実践しないことは無いことにしている。農業では理屈や理論など、たいしたものではない。

 また、2番田んぼでも、6番田んぼでも、特に生育の良い部分は土壌が深い場所である。まだ作られて2年間という土壌なので、土壌が十分ではないと言うこともあり、どうしても耕土の浅い部分は良い生育にはならないようだ。やはり土壌を豊かにしなければ、有機農業では満作に出来ないと言うことも分る。

 稲を30㎝角で満作に育てることが最終目標になるが、ひこばえ農法を行う場合は、40㎝角も悪くないと考えている。ひこばえ農法では、2回目、3回目と、分ゲツ数が増えて行く。そのために粒張が悪くなってしまう。40㎝角で根の生育範囲を広げて、肥料を多くすれるようにすると言うことも一つの方向かも知れない。
 
 現在、1番田んぼでは台光という品種を栽培している。これは由来の分らない品種であるが、現在ひこばえを育てている。田植え栽培の一回目より、明らかに作柄が良くなっている。1月13日に一期作の稲刈りをして、6月が2回目のひこばえの収穫になる。ゆっくり生育して、背丈は140㎝になっている。インディカ種とジャポニカ種の交雑した株のようだ。

 餅米的な品種なのだが、種籾をいただいたときには、うるち米という話だったが、どこかで自然交雑したものかも知れない。予定では少なくとも3回は収穫してみるつもりだ。それでどこまで良い生育が維持されるか検討したい。もし、成績が良いようなら、ひこばえ用品種として栽培を続けたい。
 
 
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