あるきメデス

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新宿・中井の「染の小道」と下落合の寺社や公園などを巡る(東京・新宿)

2019-02-26 21:21:35 | 江戸・東京を歩く
 2019年2月24日(日)

 好天で穏やかな日和の予報なので、一昨日から今日まで開催されている新宿区の中井駅
周辺での「染の小道」と呼ぶ催しを見に行くことにした。

 西武新宿線の中井駅に10時49分に着いた。駅前でこの催しのパンフレットをもらい、
10時55分にスタートする。


 中井駅周辺の落合や中井は染の町で、江戸時代から手描き友禅や小紋などの伝統が継続
され、昭和30年代までは妙正寺川と神田川沿いには300軒を超す染色関連業が集まり、
京都・金沢と並ぶ三大産地だったとか。その伝統を受け継いだ技術や文化が今でも息づい
ているという。

 「染の小道」は、街全体を染め物のギャラリーに見立てたイベントで、中井駅前の商店
街と妙正寺川の川面が3日間染め物に彩られる。

 その中で、駅の南側に線路と並行して流れる妙正寺川沿いは「川のギャラリー」と呼ぶ
「染の小道」の主会場のよう。
     
 駅前の寺斉橋を中心に、上流の栄橋から下流の大正橋周辺までの「川のギャラリー」で
は、6枚ずつの反物が流れの上にたくさん吊されている。

 「川のギャラリー」では、色とりどりの反物を川面に架け渡すことで、当時の街の記憶
を現代によみがえらせようと、江戸小紋や友禅染などの反物で着物には使うのが難しいス
トック品などを提供してもらい、展示用に手を加えてあるという。

 まずは上流に向かい、川面に架けられた反物群を眺めながら栄橋まで進む。
     





 橋沿いの細道にある各商店にも反物が下がり、出店では飲食物や小物などを販売し、着
物姿で訪れた人も多い。





 途中の店で甘酒を味わった。


 栄橋で来た方向を振り返り、同じ道を戻る途中では赤飯弁当を求め、寺斉橋に戻った。
     






 下流側も左岸沿いの細道を進んで、店をのぞいたり流れにかかる反物群を見下ろしなが
ら次の大正橋まで進む。


         


 ひととおり「川のギャラリー」を眺め、11時40分頃に川を離れた。


     


 ひとつ北側の細い通りは「ねこ路アートフェスタ」という催しで、小物の出店が並んで
いる。それらを眺めながら途中で北側の路へ回って折り返した。




     

 西武新宿線中井駅の東側、二つ目の踏切を渡るとその沿道でも出店が並んでいて、町中
がこの催しに参加していることが分かる。
     

 このあとは、北東側の下落合地区の寺社や公園などを回ることにして、中落合一丁目を
東北東に向かう。

 この通りのにも、「染の小道」協賛の出店がいくつか見られた。見晴坂(みはらしざか)
下を過ぎ、新目白通に出る直前の中落合公園ではしだれ梅が見頃になっていた。



 都道8号・新目白通りに入り東へ、交番のある交差点から北側を並行する細道を進み、
薬王院の前に出た。山門前に紅梅とピンクのしだれ梅が咲き競う。
    

         

 薬王院は、鎌倉時代に開山された真言宗豊山派の寺。東長谷寺とも牡丹寺とも呼ばれ、
ボタンの名所として知られるよう。


 山門を入ると境内は広くて植栽が豊富。境内にも何本もの白梅、紅梅があり、何れも見
頃になっている。



 奥の台地斜面中腹に大きな本堂が懸崖造りの上に立ち、境内や背後には松などの常緑樹
が多く、新宿区とは思えぬたたずまい。


 ボタンは、本堂下の斜面に広がるがまだ枯れ枝のまま。総本山の奈良・長谷寺から移植
した100株が、約40種・1000株まで増え、4月中旬から下旬にかけてが見頃のよ
うなので、その頃また訪れたい。


 本堂左手の階段を上がると6地蔵が並び、その周辺も紅梅白梅が花を競う。階段上の水
子地蔵堂まで上がり、もう一度梅の花や多彩な植栽などを眺めながら引き返した。




 山門近くには俳人・富安風生の牡丹を詠んだ自筆の句碑があるが、達筆で判読しがたい。
20分ほど境内を巡り山門を出た。


 境内東側に接して新宿区立「落合野鳥の森公園」があり、公園内で見られる野鳥12の
紹介パネルがあった。


 東に少し、七曲坂の上り口の交差点際に、江戸時代と思われる古い石仏3基が残されて
いた。


 南東側は下落合氷川神社。境内に咲き出した濃いピンクの花はヒカンザクラのよう。
    
 境内社の横には白梅が見頃で、反対側には大きな日露戦役記念碑が立っていた。
        

 神社の東側の変則六差路を東北東へ300mほど進み、おとめ山通りを北に上がり、通
りの両側にある「おとめ山公園」に12時51分に入る。

 「おとめ」とは、乙女ではなく御留のこと。江戸時代、この辺りは将軍家の狩猟地で、
立ち入り禁止の意味の御留山から起こったものといわれているよう。

 明治になり、御留山周辺は近衛家の所有になったが、大正初期には西側を相馬(福島県)
中村藩主だった相馬家が取得し、相馬家は敷地内に池と泉を中心の回遊式庭園を築造し、
その一部が現在の公園に残っているよう。

 その後敷地は分譲され、戦後は大蔵省が所有していたが荒れ果てていたのを、地元の人
が陳情して公園として整備されることになり、新宿区立おとめ山公園として開園し、さら
に隣接地を取得して拡張したという。


 西側入口近くの説明板を見たあと東側の公園に回り、弁天池とも呼ぶ「下の池」の周囲
を一巡し、池の上部斜面の「谷戸のもり」と呼ぶ草地や、下部の「水辺のもり」と呼ぶ草
地なども眺めた。


     
 西側の公園に再入し、雑木林の間の遊歩道を上がって南側の見晴台へ。木々が茂り展望
はあまり利かないが、東方に高田馬場駅に近いBIG BOXが、北東の樹間には池袋のサンシ
ャインシティらしいビル↓が望まれた。
     

 西北側、林間広場際に東屋(あずまや)があったので入り、「染の小道」で求めた赤飯
弁当で昼食にした。

 東屋の前には、「おとめ山賛歌」の歌詞のパネルがある。

 食事を終え、林間を北に少し下って谷間を東に回ると「おとめ山公園の湧水」の説明パ
ネル上がり、そばからわずかながら湧水が流れ出ている。

     
 流れに沿って遊歩道を東に進んで「上の池」際へ。池の中で1羽のサギが餌を探してい
た。
    

     
 「上の池」は「中の池」に続き、その横を進んで13時40分に公園を出た。

 公園の南側には東山稲荷神社があるので、南側から住宅の間を回って境内に上がる。神
社は、清和天皇の皇孫、源経基(みなもとのつねもと)が延長5(927)年に京都の稲
荷山から勧請(かんじょう)遷宮したという古社のよう。

 以後、経基をはじめ源家一門の守り神として厚く信仰され、のちには庶民の信仰も厚く
なり、「知恵と勇気」を授かる福徳の神として江戸市中から関東一円に増えていったとか。

 おとめ山公園の東側を北に上がり、目白ヶ丘教会の横を通過して下落合三丁目へ。住宅
地を西進して長い生け垣の家の前を進むと「中村彝(なかむらつね)アトリエ記念館」が
あった(入館無料)。

 中村彝は、国重要文化財の「エロシェンコ氏の像」など数々の名画を残し、37歳で亡
くなった洋画家。大正5(1916)年にここにアトリエを構え、創作活動を行ったとこ
ろのよう。

 増改築を経たアトリエを建築当初の姿に復元して一般公開し、中村の生涯や画業を映画
や解説パネルで紹介しているという。

 中村彝のことは、私も臼井吉見の大河小説「安曇野」で、新宿中村屋での生活のことな
どを読んでおり、中村屋創業者・相馬愛三の信州・安曇野の生家を訪ねたこともあり、興
味ある人物だったが作品を観たことはなかった。


 最初に管理棟↑に入り、「自画像」や「少女」↓、「老母の像」などの作品や、中村屋サ
ロンでの写真などを観覧する。
        




 そのあとアトリエ棟に回り、居間で生涯を紹介する15分のビデオ映像を観て、アトリ
エに飾られた作品や調度品などを一覧した。


 最後に庭に回り、満開の白梅やキンモクセイの古木などを眺め、40分近く滞在して
14時39分に記念館を出た。

 住宅地を西進して突き当たりを南へ下る。落合中の西側の交差点近くに標高35.7m
の三角点があるはずだが、その辺りは斜面上にテニスコートがあり、道路側はネットで入
れず、三角点の有無は確認できない。

 交差点際には、元禄3(1690)年銘の庚申塔が残されていた。

     
 折り返すように北西に向かって上がり、下落合四丁目の下落合公園横を進む。目白通に
出て西へ、次の交差点を北に入る。

 山手通りに合するところに天祖神社があった。社殿はコンクリート造りのシンプルなも
の。境内のヒカンザクラが咲き出していた。



 すぐ北側で、目白通を跨道橋で越えて西側に回り、少し南に戻って折り返して北へ。


 富士見台小や椎名町公園↑の横を通過して、西武池袋線の椎名町駅に15時15分に着
いた。


(天気 晴、距離 5㎞、地図 東京西部(1/2.5万)、染の小道“路のギャラリー”
 マップ、おとめ山公園周辺案内図、新宿観光マップ 落合、歩行地 新宿区、豊島区、
 歩数 11,900)




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