あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

四国遍路道ある記(前編)・徳島その1

2006-09-06 23:26:27 | 初めての四国遍路
 今夜から、NHK教育TV「趣味悠々」の新番組として、「四国八十八
ヶ所 はじめてのお遍路」が始まりました。
   

 私も、2年前の2004年2~3月と、11~12月の2回に分けて、
歩いての四国遍路を初めて経験しました。

 遍路の動機はというと、特に宗教心とか悩みがあったわけではなく、
自分の今までのウオーキング経験を生かして、少し長い距離を続けて
歩いてみたいという、単純な動機でした。

 それまでの長距離ウオーキングというと、中山道や熊野古道伊勢路
を1週間ほど歩いただけでした。

 1か月近い日数を、いつもより重い荷を背負って歩けるかどうか、多少
の心配もありましたが、いろいろな面で歩く環境が整っているという、
四国を歩くことにしたのです。

 2回にわたって歩いた結果を、それぞれ1冊ずつの記録にまとめました。
それが「四国遍路道ある記」です。

 TV番組の開始を機に、私の「はじめてのお遍路」のレポートを、この
冊子をもとにご紹介します。

 四国遍路にご興味をもたれ、「趣味悠々」をご覧になりたいという方に、
少しでもご参考になれば幸いです。

 なお、地名(市町村名)は、歩いた当時のものです。


 =四国遍路道ある記(前編)・徳島その1=   

 かねてから念願の四国八十八か所の歩き旅。シーズンには早いが、
それだけにどこも空いていて、まだ汗をかかずに歩けるのではないか
と考え、この時期にした。

 今回は、43番札所明石寺に3月15~17日頃到着の目標である。

 第1日 2004年2月20日(金) 快晴 <1番霊山寺~5番地蔵寺>
 =予想外の暖かさ=
 
 前日、30数年前職場が一緒だった岡山市のIさん宅に泊まり、瀬戸
大橋経由、徳島県鳴門市の1番札所霊山寺まで自動車で送ってもらう。


 Iさんはすでに3年前、四国八十八か所を一人で歩いており、出発前、
何回かメールして、アドバイスをしてもらった。

 正午近く、霊山寺前に着き、門前の店で徳島うどんの昼食。通販で
予め購入しておいた白衣(びゃくえ)を着て山谷袋(さんやぶくろ)を掛け、
菅笠をかぶる。

 格好だけは遍路姿だが、要領はよく分からない。

 まず最初にすべき口すすぎと手を洗う手水舎が見あたらない。大師
堂は工事中で、反対側のお堂が仮の大師堂になっていた。

 Iさんに教えてもらいながら、本堂と大師堂に参拝し読経したが、
どこかぎごちない。

 納経所で納経帳に御朱印をもらい、遍路用品販売所で歩き遍路の
名簿に記帳、Iさんに分かれて、いよいよ一人での歩き遍路が始まる。

 天気はよく気温18℃、うららかな陽気で出発には最高の天候だ。

 歩き出すと少し風があり、菅笠があおられる。板東谷川を越え、ミカン
やピラカンサの実る里道を2.7km進んで2番極楽寺に着いた。

 本堂、大師堂へは数十段の石段を上がる。境内にみごとな大杉が
立っていた。

 弘法大師が植えたといわれる樹齢千年以上の巨木で、長寿杉と
呼ばれている。

 「四国のみち」と記された山すその道を西へ。そちこちの白梅、紅梅、
しだれ梅などが見ごろ。

 へんろ道の道標に従い、田のあぜ道を進んで3番金泉寺に入る。

 山門は、塗りかえて間もないのか朱が色鮮やか。本堂裏手にも朱塗り
の二層塔があった。


 住宅地を経て板野の町並みに入る。狭い通りだが車は少ない。JR高徳
線を越えると家並みも少なくなった。

 岡の宮の岡上神社前を通過、県天然記念物で根回り24.5m、高さ35m
というみごとな大楠があり、数本に分かれた太い幹に圧倒される。

 へんろ道は木陰が少なく日差しが暑い。徳島自動車道をくぐり、田の
あぜに残るへんろ道を進む。

 夏みかんの実る台地下の土の道は歩きやすい。もう一度、徳島自動車
道をくぐり、北側の山懐に向かって進むと、4番大日寺があった。

 朱塗りの山門上が鐘楼になっている。本堂と大師堂を結ぶ木造の回廊
内に、西国三十三カ所の木彫千手観音像が並んでいた。

 幅広い車道を南へ。徳島自動車道近くに、へんろ用の新しい東屋が
あった。

 こういう設備が、へんろ道の各地にあるとよいのだが…。

 自動車道をくぐり、火の見やぐら横の細道を進んで、五百羅漢堂の
横に出た。5番地蔵寺の奥の院である。

 羅漢さんの参拝は省略して南側に下り、梅の咲く参道を回って本堂
と大師堂で読経をする。

 参道で、病身の家族のためにたびたび参拝に来るという近在の奥様
が話しかけてきた。歩き遍路と見てのことだが、にわか遍路にはどう
慰めてよいか分からず、ただ聞いてあげるだけであった。

 本堂前に樹齢800年という大イチョウがある。庫裡(くり)は改築中、
庫裡の前に水琴窟(すいきんくつ)があり、耳を澄ますと澄んだ音が
聞こえた。

 初日の予定はここまで。地名も「羅漢」の町並みを抜け、へんろ道を
西に向かう。入り日が菅笠下の顔に差し込みまぶしい。

 17時過ぎ、宿泊地の民宿寿食堂に入る。この日の宿泊者は私だけ
だった。まず入浴して汗を流す。夕食は18時から。

 そのあと洗濯をして第1日を終える。おだやかな日よりで普通の
ウオーク気分、お遍路をしているという感じは少ない。

 出発前に計ったザックの荷物は7.5㎏強だった。

 ほかにロウソク、線香、納札、納経帳、小銭などを入れた山谷袋、
カントリーウオークで愛用の地図ケース、それにデジカメ、携帯電話
などを入れたウエストポーチを着け、確かに普段より重いが、平地
だったこともあり、とても重くてたまらぬという感じではなかった。

〈コースタイム〉1番霊山寺12:00~30ー2番極楽寺12:45~13:08ー
3番金泉寺13:38~14:05ー4番大日寺15:13~37ー5番地蔵寺16:04
~25ー民宿寿食堂17:07

(距離 14.2㎞、歩行地 徳島県鳴門市、板野町、上板町、
 歩数 28,700)





 

 

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