マスク禍

日本郵便が配達員のマスクを適宜外すと、わざわざ公示した。それも、熱中症に対する政府の意向を背景に・・・。
不要な時にマスクを外すのは、当たり前のことだ！

こんな事をわざわざ、ことわらなければならないほど、世情がマスク汚染されているという事だ。何が何でもマスクしていなければならないと、自己判断無く思い込み、そうでない人間を、自粛警察が「非国民発見！」と睨みつけ、時には「通報」する。
パンツをはかずに外出すれば、法的にも公然ワイセツになるが、それは人類の長い歴史から生まれた基準だ。
マスクは便宜上のツールであって、「しないよりした方が良いから、なるべくして下さい」の域を出ない。もし、口を開けず喋らず、絶対にクシャミをしないのであれば、不要だ。
それより、エレベーターのボタン、エスカレーターの手すり、ＡＴＭ、ドアノブ、商品、カゴ、お金などに触ることの方がよほど「危険」だが、それに触った人を「通報」することはない。

「ジョギングにマスクしてない人がいる！呼気が心配だ！」などと書き込んでいる人がいたが、屋外で風が吹く中、通り過ぎる瞬間にどれほどの危険があるのだろう。第一、それほど心配する本人は、マスクをしていないのだろうか。
屋内で密状態を防ぐため、窓を開けて下さいと推奨されているが（命令ではない）、窓を開けて外に出る空気は心配にならないのだろうか。

半世紀も昔だが、自動車事故のムチ打ち症が大変話題になった。アルバイトの先輩が運転する車の助手席に乗っていると、信号で止まりながら、「あっ！頭を守れ！」と言いながら、先輩は両手で頭を抱え込んでしまった。ミラーで後ろから接近する車が見えたのだろう。この人はどうも、しょっちゅう頭を抱え込みながら運転していたらしい。
幸い、その先輩との相乗りはその時限りで終わったが、情報に過剰反応し、自分自身の判断を失うと、その問題より、よほど危険を招く。

ニュースで、熱中症の心配を聞かれた、マスクの若い女性が、「できたら外したいです」と答えていた。可愛そうに、いかなる時も絶対にしていなければならないと思い込んでいるらしい。自分が苦しいのは勝手だが、自分の勘違いから、他人を睨むのは止めて欲しい。
政府は、これにももっと大声で、マスクの不要条件を告知すべきだと思うが、しないよりした方が良い事は、規制好きの日本人には、するなとは言いにくい。特にこの、覚悟の無いお為ごかし政権では。