魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

末期症状

2018年01月16日 | 日記・エッセイ・コラム

セクハラ魔女狩り事件で声を上げた、カトリーヌ・ドヌーブが謝罪をしたらしい。
セクハラだけではないが、現代ネット社会の「単細胞ヒステリー」はついにここまで来た。どんな意見も抹殺する。ネット社会の拡散とともに心配してきたことだ。

ネットの炎上は、多様で広い思考を遮断する。これが「ネット認識」だ。
ネットでは、短い文字や一次的な画像を瞬時に受け入れてしまう。早く結論を出すことが「わかった」ことと誤解され、反応が無ければ無視されたことになり、「いいね」のような、無意味な返事を欲しがり出したがる。

ネット時代がコンサート会場なら、ネットの無い時代は図書館や学校だ。
ネット出現以前は、先ず、個々がそれぞれの方法で情報を手に入れ、吟味してから、意見を交換した。したがって、同じ事柄でも出合う方法と時間が違い、認識の幅が大きく、伝える方法も様々だったので、互いに自己修正しながら考えを理解し合い、高めていった。
しかし、ネット社会は、一つの音に同じ反応をするコンサート会場で、瞬時に反応する。ああでもないこうでもないは許されない。
昔、阪神ファンが甲子園球場で観戦していたら、熱狂的なファンに、「チャンと応援せんかい!応援の仕方が悪いから負けてきたやないか!」と怒鳴られた。それ以来、甲子園には行かないことにしたそうだ。

コンサート会場も大体こんなムードで、多様性は認められない。ネット炎上も瞬時に情報が拡散するネット上の「熱狂会場」で、今や世界中が、「一元熱狂」でなければ、はじき飛ばされてしまう。
事の内容は、不倫やナショナリズムだけではない。平和や福祉など、本来、誰もが求める理想に関して、狂気が覆っている。
日本人から見れば異常な反捕鯨や、今回のようなセクハラ騒動、あるいは、猿のデザインに対する反差別。これらは一見、正義に見えて、多角的な考察に欠けるヒステリーヘイトだ。韓国の旭日旗反応など、世界のほとんどの人は理解できないが、あの異常な光景は、内部にいると正義のカタルシスになっている。

これらの異常な世界に、素朴に異議を唱えた人が、一気に炎上、謝罪に追い込まれる今の時代。
明らかに末期的症状だ。世界は今、「ハイルヒトラー」の狂気が、何時、爆発してもおかしくない。