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m's diary

タイル巡り♡タイル制作♡建築巡り♡町歩き

ベルギー&フィンランドの旅2024【アントワープの建築&タイル巡りその一】

2024-06-22 | ベルギー&フィンランドのタイルと建築の旅2024
ベルギー2日目。
前日が到着日で、初日に散策がここまではかどるとは思ってなかったのだが、
日が長いのと、自分の体力のおかげ?でかなりの行程をこなすことができたので、
2日目は、できれば行きたいと思っていたアントワープ行きを決行することに。
朝6時台の電車に乗ろうとがんばった。


ブリュッセル中央駅からアントワープまでは列車にて。


約50分であっという間に到着。
降りたのは、アントワープの一つ手前のAntwerpen-Bercherem駅。
こちらの駅に近い方にアール・ヌーヴォー建築が多いようだったので、
建築巡りをしながらアントワープの中心部へ向かうことにした。


駅を出ると、見えた歩道橋。
キュビズムっぽいデザインで黄土色のカラーも良い。


駅からすぐのところにチェックしていた通りがあった。
うおおぉ~魅力的な建物が連なっている。
が、なんと道路の下水道管?の工事中で、真ん中の道路は通行止めになっていて、人も渡れないようになってしまってた。


通常は、建物全体像を2、3軒見て写真を撮ったら、道路を渡って
細部を観察する、を繰り返していたが、それができず、
一旦道路の切れ目まで歩いて、道路を渡ってからまた引き返してくることに。
(後で写真の整理が大変に;)


道路の真ん中に工事途中の下水道管?!が並ぶレアな光景が・・


ブリュッセルでは、比較的間口の狭い京都の町屋のような家が連なる通りが
多かったが、アントワープのこの通りでは、豪華だったり、間口も広めな邸宅が立ち並ぶ。



モザイクで描かれているのは、柱頭?絵筆とパレット、楽器のようなもの?



1軒に見えて、玄関が二つ、左右対称のテラスハウス的な建物も多い。


細部のアール・ヌーヴォーの意匠が興味深い建物。


窓周りのレリーフのデザインが細やか



ひなぎくモチーフのレリーフがアシンメトリーにあしらわれてるところも良いなあ。


1904年、バスコート・ジョス設計により建築。
所々に黄色のタイルがアクセントに入ったタイル貼りの建物。
丸窓やアーチ窓が壁面を彩る。


二つのアーチ窓囲むレリーフ装飾のラインがとても優雅。


中は、レリーフタイルとモザイクタイルで装飾されていた。


モザイク部分は、鳥が羽ばたいているようにも見える。



1898年、ホフマン・ジュール設計により建築。


バルコニーには、ステンドグラスの入った庇、庇の奥にはモザイクタイルで女性の顔や花が描かれているよう。
石造りのバルコニーのフェンスはわかめを思わせるようなアイアンワークが個性的だった。


玄関扉庇の持ち送りやフェンスのラインのうねりも最高。


玄関ポーチの庇を支える持ち送りが、チューリップが踊ってるかのような
ラインが楽しいお家。


玄関が4つある、4棟が連なる豪華なテラスハウス。


左右対称で両端の2棟には八角の塔付き。



真紅でまとめられた玄関周りがかわいい。



道路の切れ目がきて、やっと向こうに渡れると思ったら・・
四つ角は、道路が掘り起こされて大変なことに・・
大廻りさせられて、やっと渡れた。



花や葉が複雑に絡み合うデザインの扉の面格子。


その扉の鍵穴周りが、こんなチューリップに。
遊び心のあるデザインがいいなあ。


窓下に貼られたタイル。



1903年建築。
 両サイドの3階窓上部分には組み絵タイルが貼られていたお家。


時間がテーマで、右手は月、


左手は、太陽がモチーフに描かれている。
こちらは所々タイルがはがれているのが痛々しかった。



中央のバルコニーのある窓。
窓を丸く囲むアール・ヌーヴォーのレリーフ装飾。


色ガラスの入ったアーチ窓のある家。





壁面に部分的にタイルがあしらわれていたお家も。
こちらもひなぎくがモチーフかな?
目の届く高さにこれほど多くのタイルが貼られてたのを見たのは
初めてかも?



玄関ポーチへの階段手摺が複雑なラインを描く。


1905年、建築家ジョセフ・ベッケルマンスが母親の為に建てた家とのことで、モザイクタイルのパネルが全部で12パネルも入れられている。


ベースの水色のモザイクにひなぎくモチーフの白いモザイクタイルが、
とても可愛い。



ひなぎくがさまざまなデザインで散りばめられている。




建物は三棟続きのようになっていて、左手の棟には、こんな組み絵タイルも。


女性と鳥などが描かれたアール・ヌーヴォーぽいラインのタイル絵。



右手の棟。


こちらの棟は、湖?に浮かぶ白鳥のモザイクタイル、素敵だった。











扉に付くドアノブ、郵便受け、装飾の金物細工のデザインも楽しい。




1904年、デ・ヴィールト・ジャックにより建てられたナポレオンハウスと呼ばれる家。


モザイクタイルで、ナポレオンと大砲、ひなぎくが描かれている。


2階の台形の出窓と3階のバルコニー、グリーンで合わせた色ガラスやサッシ、フェンスも素敵。


1904年、ホフマン・ジュール設計により建築。



シンプルなボウウィンドウには薄紫のステンドグラスが入り、窓下や、
窓上部のアーチ部分にすみれモチーフのレリーフやモザイクが入っていた。



すみれのモザイク。


庇と、側面まで色ガラスに覆われたバルコニー



1905年、デ・ヴィールト・ジャック設計により建築




3階のバルコニーは、魚が口から手摺を吐き出すデザイン。



アーチの中には朝日とカモメを描いたモザイクタイル。

アントワープの建物&タイル巡りはまだまだ続く・・
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ベルギー&フィンランドの旅2024【ブリュッセルの郵便受け1日目】

2024-06-21 | ベルギー&フィンランドのタイルと建築の旅2024
昨年訪れたハンガリーとチェコでは、郵便受けをほぼ見かけなかったのだけど、ベルギーでは、扉にはほぼ郵便受けがついていて、
ドアのハンドルと一体型になったものが特に多かった。
もちろんアール・ヌーヴォーのユニークなデザインのものも発見。


















































































































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ベルギー&フィンランドの旅2024【ブリュッセルのドアノブ一日目】

2024-06-18 | ベルギー&フィンランドのタイルと建築の旅2024
扉と同じく、ドアノブもそれぞれのドアに合わせた特注品のごとく多彩。
特にブリュッセルならではのアール・ヌーヴォーの曲線が美しいものも多数見つけた。
中にはドアノブと郵便受け、扉の面格子が一続きの一体型になっているものなど・・デザイナー(建築家?)の細部にまで行き届くこだわりの演出に「おおっ!」とうなることもしばしば。

建物全体だけでなく、建物に施される装飾、扉、ドアノブと
1軒の邸宅の中にも見るべきものは無限にあって、、それが連続してやってくる楽しさ・・
こんなに面白くて楽しいことはないよなあ・・と思いつつ巡りに巡った。
1日目にして、完全に自分のキャパオーバー。
その時その時の感動は、とりあえず写真に収めてきたので、これからじっくり味わう。
まだまだ自分の旅行は終わりそうにない。


























扉の色を上から塗り重ね、年輪のようになっているところが、ちょこちょこはがれて下の色が見えている感じがまた良い。


これは、陶製。
この後、同じく陶製の違ったデザインのものをいくつか見つけた。
3日目に伺ったヘミクセムのタイル博物館でもこの陶製のドアノブの企画展が
行われる準備がされていたので、一時期流行ったもののようだ。



これは、ドアノブと郵便受けと、のぞき窓?が一体となったもののようだ。
扉の上部は、ステンドグラスの入った美しい扉。






扉に型板ガラスが入っていて、ドアノブがこのような形のモダンなものも。













おじさんの口からドアノブが出る。
人面や動物面が見つかると更にテンションも上がる。








小さ目のドアノブだけど、とても凝った細工。








こちらは、下の根本にライオンの顔。


ドラゴン?!


シンプルだけど、丸い部分にライオンの顔が見える。


上と同じ形のデザイン違い。






こんな感じの横型で、ポストと一体となったものもよく見かけた。




イルカ?!






この流れるような曲線と収まり具合は秀逸。










こういうタイプは初めて。









イルカ


接着面のデザインも抜かりなく。




おじさんが二人。


コンパクトにまとまったアール・ヌーヴォー。




ドアノブ&面格子一体型。


同じく一体型。


こちらは、ドアノブ&面格子&郵便受けも一体となり、
うねる植物と化していた。












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ベルギー&フィンランドの旅2024【ブリュッセル街角の扉コレクション一日目】

2024-06-16 | ベルギー&フィンランドのタイルと建築の旅2024
ブリュッセルの町を歩き続け、素敵建築物をシャワーのように浴び続けた1日目。
建物の数と同じだけと言っていいほど扉のバリエーションも多彩だった。
扉の一枚一枚が工芸品。細部にまで凝った意匠が施され、
建物とのバランス、色合わせも美しく、扉巡りも最高に楽しかった。

































































































































































































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ベルギー&フィンランドの旅2024【ブリュッセルのアール・ヌーヴォー建築&タイル巡り】

2024-06-15 | ベルギー&フィンランドのタイルと建築の旅2024
地下鉄で移動して、サン・ジル、イクセル方面の町歩きを再開。
町歩きも佳境に入ってきて、チェックしている建物をひとつ見つけると、
そのあとは数珠つなぎのごとく、素敵建築が連続して出現。
ブリュッセルという町は、なんと素敵建築物の密度が濃いのか!
夢中になり建物を追いかけていて、気づいたら自分がどこにいるのか??
分からなくなることもしばしば・・しかしgoogle mapのおかげで
自分の居場所が即座に確認でき、次の目的地へ向かえるのがスマホさまさまで、ありがたい。



1902年ギュスターブ・ストローベン設計のアパート。
間口が狭めの5階建ての建物は、細長い建物にぎゅっと凝縮されたアール・ヌーヴォー様式が詰まってる。



5階の屋根に付く避雷針?!まで優雅な曲線を描く。


バルコニーの持ち送りも、とても繊細なライン。


正面から見ると分からない持ち送りのデザインのこの凝りよう。


大胆な曲線を描くドアノブ。
こんなに長いラインのノブって見たことない・・こんなのもありなんだ~
自分のドアノブの固定観念が崩される瞬間。
外国へ来ると、こんな些細なことから大きなことまで、自分の固定観念がどんどん崩されていくのが快感で、その度に自分の世界が広がっていく感じが楽しい。


こちらのポーチ天井の装飾は、ややイスラム風の意匠が施されていた。



Y字路に建つ建物は、窓が張り出すコーナー部分が素敵。



ブリュッセルの町並みは、必ずと言っていいほど、道路の突き当りには、ランドマーク的な建築物が建っていて、それが町並みの美しさを際立たせているように思う。


1901年建築。
4階のスグラフィト、3階には細かく分かれた窓に幾何学模様のステンドグラスが入る美しい建物だった。


コーナー部分には、太陽と月がモチーフとして描かれている。


お隣の建物は、3階の出窓が風変わりな台形。


1階にはステンドグラスの入った窓



外壁にこんなタイルがポイント的に入れられている邸宅もしばしば見かける。



ずらりと並ぶ邸宅群。

こちらの邸宅は、家全体に密度の高い装飾が施されている。
1905年アーネスト・ブレロ設計により建てられたアーティストのスタジオ兼邸宅。


水辺に鳥がたたずむステンドグラスのデザインと窓や桟のラインが描く優雅な曲線・・
半地下?の面格子のデザインも良いな~



この3階部分のまとまりも素敵。
台形の出窓に、その下部の緻密なデザインの持ち送り、隣の窓のフェンスのおさまり具合・・改めて見てもうっとり。



更に朝日に照らされるニワトリが描かれたモザイクタイルも豪華。


最上階にも4羽のツバメのモザイクが入っている。
(初日、ホテルに多少望遠の効くコンデジを忘れた為拡大写真が撮れなかった;)



扉上部にも鳥モチーフのステンドグラスが入っていた。



扉のアイアンワークも華麗。


お隣はやや直線的なデザインのお宅だったが、窓下の花のスグラフィトがかわいい。


家の前のマンホール的なアイアンの透かしの入ったもの、
この時点で何のためのものなのか?わからなかったが、のちに
外から直接、石炭を貯蔵庫へ入れるための入口だと知った。
家ごとに少しずつデザインが違うのも良い。



たまに歩道に、こんなモザイクタイルが入れられていることも。
発見するとうれしい。







扉の上部にステンドグラスが入っている家も多く、
玄関ホールの採光と共に装飾が得られてよいなあと・・
中から見てみたいと何度思ったことか。





アール・ヌーヴォーのマジョリカの組みタイルが素敵なお家も。


扉上部には、鳥と植物がモチーフのステンドグラス。


1905年建築。
2階のオレンジ、3、4階の紫のシンプルなラインのステンドグラスがおしゃれ。
窓のサッシと合わせた濃紺の扉もいいなあ。






1893年に建てられたポールアンカール設計の自邸。
オルタのタッセル邸と同時期のアール・ヌーヴォー建築初期の作品。
石と煉瓦が積まれたファサードに、



ボウウィンドウには鉄骨で桟が入る。


ウィンドウ下のスグラフィト装飾。


扉周り。




とある建物で、ちらりとのぞいた腰壁のカラフルでかわいいタイルを拝見させて頂いた。



1897年、ポール・アンカール設計により建てられたチャンベルラーニ邸。
現在は、アルゼンチン大使館の建物として使われている。


3、4階のスグラフィトが豪華で美しい。




1898年建築、装飾をヴァン・ド・ヴェルドが担当。
ヴァン・ド・ヴェルドは、自分が学生時代にアール・ヌーヴォーを知るきっかけになったデザイナーだったと記憶してる。
伊丹市美術館で行われてたヴァン・ド・ヴェルド展へ行って、アール・ヌーヴォーの流れるようなデザインの工芸品を初めて見て感激した記憶あり。


アールのついた玄関ポーチのタイル貼りの天井、端正な扉と窓に
落ち着いた色彩のステンドグラスが美しい玄関だった。





コーナーはアールに沿ってボウウィンドウがついていて、
窓には、タイルらしきものも貼られてた。



2階のバルコニー。



1893年ヴィクトール・オルタ設計により建てられたタッセル邸。
オルタの2番目の作品で、アール・ヌーヴォー建築初期の建物。




カラフルなバイクが背景の煉瓦壁に映えていた。




1900年にルーゼンブーム設計により建てられた邸宅。
2023年に修復されたばかり。


入口扉の美しいアイアンワーク。
隣の窓と左右対称風にデザインされていた。
扉手前のアイアンの蓋は、三つもあるけどこれも石炭貯蔵庫の蓋?!



郵便受けと靴の泥落としが一体となったデザインがすばらしい~とうなってしまう。


最上階にはスグラフィトで装飾も。


ガラスブロックもあり、こちらも地下室があったようだ。


横から見る玄関周りのうねり。




1898年、アーネスト・ブレロ設計による邸宅。




バラの花が窓辺を彩っていた。


アール・ヌーヴォーな曲線が素敵なお店のショーウィンドウ。


ひときわ目を惹いたステンドグラスのある邸宅。
1902年デルーン・アーネスト設計により建築されたガラスアーティストの邸宅。ステンドグラスはオーストリア製。



扉横の窓と合わせて円を描くとてもユニークな扉。



階段ホールらしき位置にはめられたステンドグラス。
紫色の花が美しくデザインされている。


イクセル池を望む



1904年、アーネスト・ブレロ設計のテラスハウス。
現在ホテルとして使われているようだった。



階段の手すりが複雑な曲線を描いていた。






クリンカータイルのような床タイル。
他の場所でも何度か見かけた。


ポーチには、アール・ヌーヴォーデザインのモザイクタイルが貼られていて、
素敵だった。



グリーン基調のステンドグラスが美しい窓辺。




扉のアイアンワークとスグラフィト。


ドアノブと面格子が一体となる形。


















1898年、ヴァンド・ヴェルド設計により建てられた邸宅・・工事中だった;
















1887年、アーネスト・ブレロ設計により建てられた。
孔雀のスグラフィトが美しい。


扉上部のスグラフィト、こちらも孔雀のような鳥がモチーフ。



お隣も同じく、アーネスト・ブレロ設計。
窓枠や扉がみんなピンク色に塗られているが、元の色はどうだったんだろう?


扉のデザイン。

一番右端の煉瓦造りの建物は、1897年建築のアーネスト・ブレロの自邸
ステンドグラスが2階から3階にかけての階段ホールらしきところに入っていて、




1階窓のステンドグラスも窓の桟が優美な曲線を描いていた。



扉はお花と葉がモチーフのアイアンワークがこれでもかとうねっている。


扉上部には、花モチーフのスグラフィト。


お店玄関のポーチタイル。


お店の入口に敷かれてたタイル。


虫食いのようなデザインの側溝蓋。


この日、最後に、ブリュッセル最古のビアホールへ。













おすすめを聞いて、チェリー風味のビールに。
ちょっと甘めのビールが飲みやすくて美味しかった。

まだ外は明るいのだが、時間は夜の9時、10時くらいにはなっていた。
日が落ちるのが遅いと、やはり建物巡りがはかどる~(だからこの時期にしたのだけど)
アドレナリンが出ているので、全く疲れず、歩くのは楽しくて仕方がなかった。
ブリュッセルは、良い建物密度が濃すぎて、初日にもかかわらず、こんなにたくさんの建物に出会えて、もうお腹いっぱい。
1日目にして、当初の予定よりもだいぶはかどったので、
ブリュッセルだけでいっぱいいっぱいかもしれない、と迷っていたアントワープに明日、朝イチで向かうことに決めた。
この後は、スーパーで買い物し、地下鉄巡りも少しして、宿に戻った。

建築年や建築家は、こちらのサイトを参照




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ベルギー&フィンランドの旅2024【グランプラス~王宮周辺のタイル&建物巡り他】

2024-06-10 | ベルギー&フィンランドのタイルと建築の旅2024
ブリュッセルに到着した一日目に戻って・・
古民家アパートにチェックインした後は、町へ繰り出す。
この日は朝9時半には空港に到着していたのだが、やはり初めての土地は、何をするにももたもたしてしまうので出かけるころには昼前の時間になっていた。
とりあえず、地下鉄、トラムなどの1日乗り放題券を購入していたので、切符の心配なく乗り降り自由。



トラムに乗っていく途中に、旧ニケ紳士用品店の建物を発見。
1899年、ポール・アンカール設計
マホガニー材を使用した優雅なアールヌーヴォーの意匠が美しい。
現在は、花屋さんになっているようだった。


バルコニーの持ち送りに天使が貼り付く建物。




扉の木彫りの細工も細やか。
ブリュッセルでもなかなか凝った扉や郵便受けをたくさん見かけたので
ここからコレクションを始めることに。



目の前に大聖堂が現れたので立ち寄る。
13世紀から15世紀にかけて建てられたサンミッシェル大聖堂。



二つの塔を持つゴシックの大聖堂だが、正面からの写真撮り忘れ。
内部は、列柱が並ぶ高いリブヴォールト天井。


聖堂内は、数々のステンドグラスに彩られていて、その数1200にも上るという。美しさと量が圧巻だった。









高い位置につく窓ガラスは透明で、そこからも光が補われていた。








その後、タイルで有名なレストランヴィンセントの前を通りかかる。
まだ、歩き始めたばかりなので、ご飯するには早いなあと思いつつ、
お店の方に、中を見せてもらってよいか?
と尋ねると、もちろん!どうぞと、ウェルカムな返事を頂けたので
見せて頂く。
ベルギーもフィンランドでも、お店の方は皆寛容で、写真撮影などは喜んで受け入れてくれるのがうれしい。
調理場となってる壁一面のタイル画には牧歌的な風景が描かれている。


なんと天井にも全てタイルが貼られているのだ。



奥の客席も、三方がタイル画に囲まれてる。
天井の真ん中は天窓が入っていて外からの明るい光で、タイルも輝いていた。


タイル好きには、パラダイスのようなお店だなあ。


部屋の四隅に照明がついていて、シーリング装飾もタイルで装飾されている。
本当に美しく、感動。


入口付近も隙間なくタイルが貼られていて、Maison Helman ceramiques d'art
のサインが入っていた。





引き続き町歩きを。



看板に廃材を活用した面白いオブジェ。
デッキブラシやいろんな部品が融合。


ギャルリー・サン・チュベールにやってきた。
1847年に完成したというヨーロッパでも最も古いショッピングアーケードのひとつ。



王室御用達のチョコレート店などが並ぶ。
店構えがどこも可愛くて、ウィンドウショッピングが楽しい。


ここのチョコレートショップなんて、天井の照明がオールステンドグラスで、鏡や建具などもアール・ヌーヴォーの曲線を描いてた。


繊細なベルギーレースのお店も。


ベルギーチョコレートの老舗ノイハウス


アーケードの横道をそれた所にある本屋トロピズムは、世界一美しい本屋といわれる。



元ダンスホールだったという建物の壁面は鏡貼り。



天井や柱の装飾が豪華。





大通りも楽しいが、こんな小路を発見して、ずんずん突き進むのも面白い。


意外に奥が深かったり、小さなお店がいくつかあったり、通り抜けできたりもする。


面格子の中にステンドグラスが潜んでいた。


1897年建築の旧グランド・メゾン・デュ・ブラン。
最盛期には家庭用リネンのお店が入っていたという建物。


タイル貼りの建物で、3階部分の窓と窓の間には、ベルギーのミュシャと呼ばれたアンリ・プリヴァ・リヴモンによるタイル絵が描かれている。


デザイン、色合い共にとても美しい建物。







そして、チェックしていたお店へやって来た。
創業1903年、オルタ設計のレストラン、ファルスタッフ。
お昼のランチセットがあったはずなので、お昼をここで取ることに。
入口の庇が全てマーブル模様のステンドグラスでできていた。





店内は、建具が美しい曲線を描く。


お店は、夜ににぎわうお店なのか?お客さんは、一組だけ。
店内も自由に見せて頂くことができた。


奥の部屋は、ステンドグラス尽くし。
天井にも壁面にも・・眼福・・





折上げステンドグラス?!天井があったり、









入口のそばの、大きな丸窓と控えめなステンドグラスのあるコーナーに
席を陣取った。



ランチセントはサーモンステーキ、ポテト添え。
パン付きで3000円以上。物価の高さの洗礼を受ける。


グランプラスへやって来た。
あいにく小雨がパラついてきて、青空ではなかったのだけど、
重厚な歴史的建造物に囲まれた広場の美しさは圧巻。


15世紀にゴシック・フランボワイヤン様式建てられた市庁舎。





16世紀に建てられた現在市立博物館となっている建物。


グランプラスから移動し、王宮近くへやって来た。
1階がカフェになっているこちらの建物、あれに見えるはモザイクタイルでは?!



写真を撮って見ると、やはりモザイクタイルで描かれたもの。
太陽にフクロウ、ニワトリ、数字が描かれていて、針のようなものが見えるので、時計なんだろうか・・
それにしても遠くから見ると、モザイクとは思えないような仕上がり。


そしてやってきた旧オールドイングランドといわれる1899年に建てられたデパートだった建物。
ほぼ鉄とガラスのみを使い建てられたもので当時では最新の建物だったそう。
現在は楽器博物館として活用されている。





OLD ENGLANDの文字部分はタイルのよう。



華麗なアイアンワークのある六角の塔。
塔に貼られてるエンブレムのようなレリーフもタイルのようだ。


エントランスホールも鉄骨が柱となり、アイアンワークが華麗な手すり


柱の根本から広がる装飾。


床は大理石モザイクで装飾されていた。


アイアンのレリーフがずらりと並ぶアンティークショップのお庭。





こんな壁泉もあった。


煉瓦の壁面にタイルが二か所にあしらわれた建物。



アール・ヌーヴォーの曲線を描く花が素敵な組みタイル。
窓にはステンドグラスが見える。



2階の窓下にも菊?モチーフの組みタイルが貼られていた。
こちらの窓にも1階とよく似たデザインのステンドグラスも


オルタ設計の個人邸。


小さなカフェがあり、その入口や腰壁にランダムにタイルが貼ってあるのを発見。
うわぁ、と喜んでいたら、お店の人に気づかれて、にっこり笑われてしまった。


デルフトタイルらしき手描きのタイルが、貼られてる。


お花や家、風景や壺、人物など、この素朴さがいいなあ。


カラフルなものもあるし、デザインもさまざま。


この波線に囲まれたお花が三列に並んでるタイル、可愛い。



こちらの煉瓦貼りの建物にも、


窓と窓の間にタイルを見つけた。


お店のポーチに貼られた床タイルも素敵だ。



1900年建築の邸宅。
目を惹くスグラフィトやバルコニーのアイアンワーク、
扉のステンドグラスなど見所たくさん。




蝶の羽のような雰囲気をもつスグラフィト装飾。
その下のアーチ部分にもステンドグラスが。


2か所あった扉は幾何学的な文様のステンドグラスが入る。


こちらの扉のステンドグラスもまた違ったデザインに。


ドアノブは、郵便受けと一体となったような不思議デザイン。


1897年、オルタ設計の初公共建築の幼稚園。



入口の庇の持ち送りが美しい曲線を描いていた。


こちらの建物は1909年にワイン輸入業者のワイン倉庫として建てられたもので、2002年以降は、ビジネスセンターとオーガニック市場として活用されている。レストランも入ってるようだった。


ファサードに並ぶのアーチ内には、ぶどうやエンブレムのようなものがスグラフィトで描かれていて、







入口の床にライン状に入れられていたモザイクがギンガムチェックのような
色合いで可愛かった。



ぶどうモチーフのステンドグラスが入口上部のアーチにも。


このワイン倉庫の隣の建物、(病院だったか?)ちらりと見えたタイルを見せてもらった。



きれいに果物が整列する果物屋さん。
この後は、地下鉄で移動して、建物巡りを続行。



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ベルギー&フィンランドの旅2024【アネリーさんのタイルコレクション&ルーベンの町並み他】

2024-06-08 | ベルギー&フィンランドのタイルと建築の旅2024

ヘミクセムの博物館を見学させて頂いた後、アネリーさんご夫妻のご自宅へお招き頂き、コレクションを拝見させて頂くことになっていた。
そのコレクションがただならぬもので、あまりの凄さに感極まる。
とても一度に消化し切れる量ではなく、放心状態に・・・


玄関を入ると、早速タイルに迎えられる。
船がモチーフのマジョリカの組みタイル。
博物館で見たものと色違い。ブラウンがベースのこちらの雰囲気も素敵だなあ。
玄関ホールだけでも、多くのタイルがあちこちにディスプレイされていて目移りしながらも、可愛くカラフルなキッチンを通り抜けてリビングルームへ。
(撮影&SNS了承済み)



リビングルームでまず目を惹いたのは、こちらのディスプレイ。
鳥と自然の風景が美しい、落ち着いた色彩のマジョリカの組みタイル。
gillioto&cieのもの。
下段には、魚をモチーフとしたさまざまなマジョリカタイルが並ぶ。
美しすぎるコーディネイト。


波間に魚が整列するデザインは、なんと面白いのか!
こんなデザイン、初めて見た。
(ビレロイ・ボッホ)


2枚のタイルを合わせて、鯉の間に蓮の花。
(ビレロイ・ボッホ)


こちらのサンゴと魚のマジョリカは、チェコのラコ社のもの。


そして、全面マジョリカタイル貼りのストーブ。
やわらかで透明感のあるミントグリーンが上品。


更に・・ブルーコーデが最高に美しいアール・ヌーヴォーのマジョリカタイルのコーナー。



お隣の部屋には、ドイツの希少なユーゲントシュティールデザインのタイルがずらりと並ぶ。(右のピンクの花のタイルはチェコのラコ社の希少タイル)


デザイン、色合い共にかっこいい~
素敵すぎて、全てが自分のツボに入る。
タイルだけでなく、インテリアのセンスがすばらしくて、本当に素敵なのだ。

しかし、まだまだこれだけではなかった・・
時々、ディスプレイは入れ替えられるとのことで、ストックルームにもご案内頂けた。



ストックルームは、四方をタイルが並べられた棚に囲まれ、何段もある引き出しもいくつかあって、一段、一段、拝見させて頂く。
深いグリーンやブラウンの色彩がヨーロッパならではなマジョリカタイル。


水辺に浮かぶ蓮の花のマジョリカタイルのコレクション。
白鳥も泳いでる。水の色合いが美しい。


アール・ヌーヴォーの曲線を描くお花たち。
引き出し毎にテーマがあるようで、収納兼ディスプレイというのか・・
引き出しを開けてもらう度に、感嘆の雄叫びを上げそうになる。


唯一、見たことのあるデザインのタイルが出てきたが、
この色合わせがまた素晴らしい。


4枚繋げると模様が浮かび上がるマジョリカタイル。


こちらも縦に、横につながるマジョリカの組みタイル。


こんな風に横に三枚一組で、図案が浮かび上がるものもあるんだなあ。
一番下のアール・デコデザインのものも色のバリエーションが豊富。


子供たちの遊びを表したマジョリカタイルも色合い共にめちゃくちゃ可愛い。


縦長の風車や木、ヨット、建物など風景が描かれたものも。
リスのタイルもかわいいな。


落ち着いた色合いのアール・ヌーヴォータイルも好き。


1枚を4分割したデザインのタイルも。

写真はコレクションのほんの一部であり、ほとんどのものが未だ見たことのないタイルばかり。
ヨーロッパのタイルの世界のとんでもない奥深さと広さを
こちらのコレクションを拝見させて頂いただけでもよくわかり、
こんな世界があったのだ~と感動と共に衝撃を受けるばかりだった。


コレクション拝見後は、お茶を頂き、息子さんも交えてルーベンの旧市街へ繰り出す。
こちらの建物、教会とばかり思ったが、なんと市庁舎だそう。



ルーベンはベルギーでもそれほど大きな町ではない、と言われていたが、
建物を見る限り、相当な歴史があり、古い町並みが美しく維持されているように思える。


そして夕飯にレストランへ連れてきて頂いた。
なんと、ちょうどタイル画のある前の席へお通し頂ける。
BFKのサインがあり、Boch freres Keramis製のタイルだそう。



ステーキやビーフシチューなどがおすすめと伺い、
ビーフシチューに。やわらかい塊肉がごろごろ入って美味しかった。
ベルギービールで乾杯!
アネリーさんのご家族は、皆本当に優しくて、私はロクに英語ができないにもかかわらず、分かりやすい英語で話し、理解できているか確認してくださる。


食後は、更に旧市街の町歩きへ。
こちらは、ルーベン大学図書館。
先ほどの市庁舎といい、図書館といい、建物の重厚感が半端ない。
息子さんもこちらの大学へ通われてるとのこと。
すごい大学なのでは?!


タイル好きの私の為に、タイルスポットなどへもご案内頂く。


こちらの建物の窓の上のアーチにも組み絵タイルが見られる。








けしの花?赤い花と実が美しいタイル。



同じくアーチの中にデザイン違いのもの。



こちらはマジョリカタイルで、紫の花の濃淡も美しい。


モザイク風に模様が入ったセメントタイルが敷かれたポーチ。


こちらもポーチのセメントタイル。


タイル貼りの外壁にレリーフタイルがポイント的に貼られていた。



入口周りの両脇につく鳳凰?の羽や尾の優雅なライン。
扉のアイアンワークもいいな。


ブリュッセルでもよく建物の前に見かけたこの鋳物の透かし彫り。
マンホールでもなく、何だろう?と思っていたのだが、
伺ってみると、昔、石炭を直接外から貯蔵庫へ入れるための入口だったとか。


よく玄関前にガラスブロックも見かけたこともあったのだが、昔は、使用人を地下に住まわせていたとのこと。キッチンも地下にあったという。


他にも、学生の下宿に使われているアパートには、


このようなKのマークのある表示板が建物に付けられているとのこと。
ルーベンは大学が多くあるようなので、この通り一帯は、下宿用のアパートが多かった。


アール・デコっぽい建物も。


渦がモチーフの装飾。





最後に駅前でのお茶もとても楽しいひとときだった。
知り合って半日という短い時間だったけど、あたたかいご家族にすっかり癒されてしまい、最後はお別れするのも辛いほどに。
素晴らしいタイルコレクションに出会えたことも奇跡だけど、
この素敵なご家族に出会えたことも奇跡だなあ。



至れり尽くせりのおもてなしを受けた上に、大事なコレクションの中から
タイルのお土産まで、、タイル研究者マリオ・バック氏の今では書店でも入手できない本も用意してくださっていた。
本当にありがとうございました。



後日、私がお贈りした手作りのタイルも飾って頂いているお写真も送ってくださった。
うれしい~。


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ベルギー&フィンランドの旅2024【ヘミクセムのタイル博物館・Gilliot & Roelants Tegelmuseumへ】

2024-06-07 | ベルギー&フィンランドのタイルと建築の旅2024

まずはベルギー3日目に訪れた今回のベルギー行きのメインであった、タイル博物館、Gilliot & Roelants Tegelmuseum。
Facebookで知り合ったベルギーのアネリーさんご夫妻が、ありがたいことに交通の便の悪い、ヘミクセムのタイル博物館まで車でヘ連れていってくださった。


こちらの博物館は、ヨーロッパでも最大級のタイル製造会社であったgilliot &
cie 社の工場跡地を改装して建てられた博物館で、当時はここで作られたタイルが、ヨーロッパ各地、アジア各地、や南米のウルグアイまで渡っていたそう。
最盛期には1日25万枚ものタイルが焼かれていたという。


タイルコレクションの核は、1978年の工場閉鎖時にショールームから救出されもので、作品の大部分は専属デザイナーであったジョセフ・ローランツによって制作されたものだそう。
又、コレクター、ロベルト・ポッツォによる約9000点のコレクションも収蔵されている。その1/3がgilliot&cie社の工場で製造されたものだという。




こちらでは、世界的にも著名なタイル研究家のマリオバックさんに迎えて頂き、博物館を案内して頂けた。
英語が苦手な私に分かりやすく説明をして頂きながら、日本では、未だ見たことのない貴重なタイルの数々を拝見。




前身は、1897年から始まり、1918年以降の再建ではヨーロッパ最大のタイル工場に。
こちらは、工場の操業時の写真。


アール・ヌーヴォーの流れるようなラインが美しいあやめが描かれた組み絵タイル。



チューブライニングで描かれ、
花の色の濃淡まで細かく表されていて美しい。


その下には、腰壁に貼られるものだろうか?
グリーンと黄土色の発色が美しいマジョリカタイル。
一組だけでなく、ずらりと並ぶと迫力がある。


こちらは下絵を素地に写す時の用紙。
絵のラインに沿って、細かい点線の穴が開いている。
これがカーボンの代わりをするようで、穴の上からラインをなぞると写し取れる。手の込んだ手作業でのタイル製造が伺いしれる。


こちらが完成タイル。


こちらはチューブライニングで描かれた組み絵タイル。
公園を散策する18世紀の優雅な夫婦と一人の紳士との出会いが、
鮮やかな色彩と細やかな表現力で描かれている。
アントワープの邸宅から保存されたgilliot&cie社のもので、これまで類例のない貴重な作品だそう。1911年


この腰壁のタイルとセットになっていて、大変豪華なものだった。


ネオロココ様式の華やかな組み絵タイル。


gilliot&cie社の腰壁用のタイルの組み合わせのカタログ。
さまざまなデザイン、組み合わせのバリエーションがあったようだ。



扇形のタイル、帯状のタイルのカタログも。


一枚もののマジョリカタイルのコーナーは、この深く鮮やかな色合いが
ヨーロッパを思わせる。Gilliot&cie 


唯一、この中央の並びのデザインだけは、シンガポールで見たことがあったが、他のタイルはほぼ見たことのないものばかり。Gilliot&cie 



Ceramique Poulet ,Forges(セラミック プーレ フォルジュ)のマジョリカタイル。
リボンと花輪、中央が市松模様になっているのもおしゃれだなあ。




Boch Freres Keramis,La Louviere(ボッホ フレール ケラミス ラ ルヴィエール)

ライオンやワシなどのネオルネッサンス様式の文様や新古典主義の文様など、
お皿や装飾品、壁紙などからインスピレーションを得て作られていたそう。


Gilliot&cie 


Gilliot&cie


Gilliot&cie


Faienceries de pavillons(ファイアンスリードゥパビリオンズ)


Faienceries de Bouffioulx(ファイアンスリードゥブフィウル)


Faiencerie de Nimy(ファイアンスリー ドゥ ニミ)
銅版転写タイルも。中央に丸くデザインされたものは、元々はプレート用にデザインされたものだったとか。
イタリア、スコットランド、インド、スイス、アイルランド、スペインの想像上の風景が描かれている。


とても濃密で繊細な図柄が描かれたレリーフタイル

アール・ヌーヴォーデザイン以外にも、古典的な伝統的デザインを好む客層もあった為、新古典主義、ネオルネッサンス、ルイ16世、ネオゴシックからムーア様式、ジャポニズムといった様々なデザインのものが製造されていたという。



ムーア様式のデザインタイル。
Boch Freres(ボッホ フレール)


船をモチーフとした組み絵タイル。


こちらは、裕福な家の内装に使用されたタイルを再現したお部屋。
室内にも、外の自然の風景を取り込むという目的で作られたタイルは、風景や花などが描かれ、壁面全体を覆う。
なんと贅沢なのだろうか・・
タイル貼りのマントルピースは後ほど追加されたもの。
(1919年)



タイルの美しさが凝縮されたような手描きのタイル。


こちらは、乾式製法でタイルが作られ始めた時の英国製の機械。
一枚一枚、圧縮し、手作業で作られていたそう。
型は、多くの場合は銅製、限定品は石膏型が用いられていたという。



こちらは、その後、量産に対応できるようになった機械。


マット釉で描かれ、タイルの側面まで釉薬が掛かっていたタイルは、鍋敷きとして使われていたものだそう。



床用のセメントタイルもたくさんあり、モザイク風に地模様が入れられたものも。


こんなマーブル模様のタイルもあったんだなあ。
ヨーロッパでも大理石の代わりに、このようなタイルで代用することがあったんだろうか・・



鳥の図案が可愛いタイル。
タイルはこのような洋服掛けなどの家具や暖炉などにも使用されていた。



僭越ながら、私は、シンガポールやマラッカで撮ったマジョリカタイルのフォトブックや自作のタイルなどをマリオ・バックさんにお渡ししたのだが、そのシンガポールで撮った写真の中の、牛の乳絞りがモチーフのタイルと同じものがここにあるよ、と・・
シンガポールでは、外壁の窓の下の高い位置にあったのを見たのだけど、間近で見ると思ったより大きなサイズ。
gilliot&cie社製だったんだな。


gilliot&cie社でデザイン責任者を務めていたジョセフ・ローランツのコーナーも設けられている。
ここからは、全てジョセフ・ローランツの作品。


1935年ブリュッセルで開催された万国博覧会で、gilliot&cieのパビリオンで展示されたものだそう。
黒い柱が効いて、アール・デコデザインがかっこいい。


金と銀が使われたパネルには、釉薬焼成後に18金塗布し、磨き上げるという高価な手法が用いられている。
空気にさらされ、当初の輝きが失われているそうだが、キラキラしてるより、
これくらい落ち着いた感じの方が渋くていいなあ。黒いタイルの柱とも合っている。


こちらもやはり1935年にブリュッセルで開催された万国博覧会のgilliot&cieのパビリオンの外に設置されたはるかに大きなパネルの試作品、アテネ市の守り神であり、知恵の神、アテナが描かれている。
(1935年)



アール・デコばかりかと思いきや、細かく描かれた風景画的なものもある。
下は、ベルギー産業の歴史を描いたもの。
同じ作家のものとは思えない・・


ギリシャ・ローマ神話の影響を受けたパネルで、こちらもアール・デコ様式。
(1930年)


シンガポールのチャイニーズシアターの装飾の試用として製作されたものだそう。こちらも作風が全く違うけど、同じアーティストなんだなあ。
オリエンタルダンサー
(1927年)


1937年のパリ万博博覧会のために、バスルームの装飾として作られたものと思われる。水浴びをする若者を描いたタイル。
まだまだ多くの作品があり、見ごたえもたっぷり、夢のような時間だった。



最後に、マリオ・バックさんが著された、こちらの収蔵品などについての解説の冊子をいただくことができた。
このブログの記事もいくつかその冊子を参考にさせて頂いた。
マリオ・バックさんにはお忙しい中ご案内をして頂き、大変感謝です。



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ベルギー&フィンランドの旅2024【ブリュッセルの古民家の宿】

2024-06-05 | ベルギー&フィンランドのタイルと建築の旅2024
無事ベルギーとフィンランドの旅を終えて帰国。
今回はベルギー、3.5日、ヘルシンキ、約3日の滞在だったが、
メインのベルギーのヘミクセムのタイル博物館見学と、お連れ頂いたアネリーさん一家のタイルコレクション拝見が加わり、とんでもなく充実した旅をすることができた。
今回も短期集中での詰め込み旅だったので、まだまだ未消化状態の為、
これからゆっくり振り返りながら、消化していこう。


フィンエアーで、ヘルシンキ乗り継ぎでやってきたブリュッセル。
空港からのアプローチは、列車を使ったのだけど、
券売機の選択肢多過ぎなのと、どうやっても最後まで行きつかず、、
隣のおじさんも苦戦してるようだったが、ゲットできたようだったので助けを求めると、親切に教えてくれた。
フィンランド人のおじさんありがとう。


ブリュッセル中央駅へ降り立つ。
ブリュッセル中央駅は、1952年、ビクトール・オルタ設計。
(外観の写真が見つからない・・)
エスカレーターのない階段をスーツケースを担いで上り始めたら、
すかさず、地元の?紳士がかばんを上まで運んでくださった。
ありがたい・・



今度は、ホテル近くへ行くトラムの駅を探す。
場所を聞いた女性は、近くまで連れていって案内してくれた。



しょっぱなから親切尽くしのおもてなしを受けて、無事宿に到着。
今回の宿は、ホテルがどこも2万超える勢いの高さだったので、
エアビーで見つけた1万円ほどの古民家の宿を予約していた。
ベルを押すと、出てきたおばあさんと男性。
おばあさんが管理をしているようで、チェックイン前に、まずは表のこの扉の鍵の掛け方のレクチャーを受ける。
ちょっとしたコツが必要だったが、急いでた私は一度でマスターし、褒められてしまった。



扉を開けて中へ入ると、正面にはステンドグラスの入った扉。
「古民家」に惹かれて取った宿だが正直、今回はそれほど期待してなかったのだけど、ひょっとして、なんだかいい感じなのでは?!


エントランスはこんな感じ。


ステンドグラスの照明も素敵なデザイン。
灯がついてる時はなかったが・・


そしてこの階段ホールへの入口の扉!


ここで猫ちゃんに出迎えられた。
人懐っこくて逃げない。
なんと、猫は8匹もいるという。
うわぁ~楽しみ。



私の部屋は、3階。
この階段を上がりながらわくわく・・


最上階の4階には、天窓が入っているようだった。





そして、お部屋へ通された。
何?!めちゃくちゃいい部屋じゃない~?!
インテリアも素敵で、広い!
ソファは二つ、マントルピースまである。
このリビングスペースと、



寝室空間が分かれていて、こちらもゆったり・・


リビングと寝室の間には、テーブルがあり、キッチンももちろん完備。
すばらしいお部屋で、交通の便も悪くはない。
トイレとシャワーは、部屋の外の共同なのだけど、私以外は宿泊客はいないようだった。


1階のあのステンドグラスの奥が気になって、
後ほど探検。





奥には、中庭があり、なんだか秘密の花園感が漂う。
アンティークの家具や小物などが並んでいたり、




この陶製の壺も良かった。


やや寂れがちなお庭も雰囲気がある。





後日、別のお部屋を見せて頂いた時、こんな吹き抜けのサンルームがついたお部屋もあった。
壁泉はあるし、床はセメントタイル貼りだし・・




めちゃめちゃ素敵なお宿ではないか・・
といっても、自分はほぼ、夜10時や11時に帰って来て、寝るだけなのだけど、
美しい部屋に越したことはない。

ある朝、おばあさんに用事があって、お部屋に呼びに行ったのだけど、うっすら開いていたドアの向こうのベッドに、何匹もの猫ちゃんに取り囲まれてお眠りになっているおばあさんがいて、あまりに幸せそうな光景だったので、
そのまま扉を閉じた。まるで物語に出てきそうな。


夜帰ってくると、この階段下のソファに、必ず猫ちゃんが日替わりでいて、出迎えてくれる。
最終日なんて、4匹の猫ちゃんに出迎えてもらえて幸せいっぱい。


最初に出会った猫ちゃん。



2日目にいたツンデレタイプ。


最終日にして、初対面。



2階から降りて来てくれた貫禄ありげな猫ちゃん。


3泊の短い間だったが、癒しの宿だった。



宿の全景写真が出てきたので追加。


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