先日の賽銭泥棒の話に関して、
防犯カメラをつけて犯人をつきとめるとか、
警察に言って取り締まって貰う、等の方法はないのか、
という質問があったのだが(^_^;、これがなかなか難しいのだ。
まず、防犯カメラは既に取り付けてある。
24時間監視システムにはなっていないので、
定期的に録画をチェックするやり方なのだが、
これに賽銭泥棒の姿はちゃんと記録されている。
だからこそ、「複数の賽銭泥棒がいる」と私たちは知っているのだ。
映像のデータを、地区の交番に持参もした。
受け取って貰えたが、現時点で、それ以上の進展は何もない。
どのドロ助が何時くらいに来るかも、およその傾向がわかっている。
毎日来るとは限らないが、週に何度も来ていることはある。
時間に合わせて、総代会の者で幣殿に潜んでいれば、早晩、出会えるだろう。
彼(ら)が泥棒行為を開始したところへ出て行って、取り押さえる、
ということは、やろうと思えば出来る。
しかし、取っ組み合いになったりすると危険なので、
そういうことはしないでくださいと、警察から言われている。
では、毎日○時頃と、泥棒の出没時間の傾向に合わせて、
警察の人に来て貰うことはできないのか、
と訊いてみたのだが、そんな、来るか来ないかわからない者のために、
警官が予め行って待っていることはできない、というのが返事であった。
結局のところ、被害額数百円みたいな話では、
多忙な警察が、本気を出して張り込みをしたりしないのだ。
通報があればすぐ来ます、と警察は言ってくれているが、
それだと、泥棒が先に帰ってしまう可能性が高いし、
警察が来て泥棒と会えても、せいぜい事情を聞く程度で終わってしまう。
煎じ詰めれば、たまたま泥棒が賽銭箱を開けている最中に、
たまたま警察の人が来て、たまたま取り押さえる、
という現行犯でなければ、捕まえるのは不可能、ということだ。
しかもだ、上記のような状況が巧く実現しても、
泥棒が賽銭箱からまさに千円札をつかみ出している真っ最中、
というのならともかく、ポケットに一旦、入れてしまったら、
盗ったことは明らかでも、被害総額は不明ということになる。
もともとが賽銭箱だから、泥棒が来る直前までに
中にいくら入っていたか、予め正確に把握しておくことは難しい。
また、泥棒のうちの少なくともひとりは、
地域のほかの寺社でも目撃されており、賽銭泥棒のハシゴをしている。
この人の所持しているお金の、どれだけが盗んだ賽銭で、
更にそのうちのいくらが、うちの村の神社の賽銭箱から盗ったものか、
証明することは限りなく困難だ。
また、仮に警察につかまっても、泥棒さんたちが懲りることはない。
事情聴取をされ叱られるのは愉快ではないにしても、
そうやってしばらく「お話」するだけで、解放されるのだ。
恥や道徳の観念が無いならば、少し我慢するだけで終わる、簡単なことだ。
隣町の宮司さんは体育会系の大柄な人で、
あるとき、自分の神社に来た賽銭泥棒を自力で捕まえて説教したが、
そのときは怖がって帰っても、やはりまた、盗みに来るようになったそうだ。
賽銭を平気で盗るくらいだから、罰が当たることも怖くないのだろう。
彼らが、盗癖という不治の病に冒されてしまったことこそが、
既に「罰が当たった証拠だ」と言えなくもないが……。
できるのは、こちらが、ある程度積極的な防止策を講じることだけだ。
24時間、誰かが張りついているのは、費用や時間の面から無理なので、
それなら機械に見張らせることにして、
賽銭箱を開けた途端に防犯ベルが鳴り響くとか、
拝殿にサイレンと警告灯の設備を備えるか、
……等々と考えはしたが、いずれも近所迷惑過ぎるので、実行できていない。
真夜中に大きな音が鳴り出したり、回転灯が赤々と村じゅうを照らしたりしたら
ぐっすりと寝入っている善良な村民にとって、大迷惑だろう。
唯一、完全に近いだろうと思われる防犯策は、
神社の拝殿の正面と左右に、サッシの引き戸を巡らせて
普段は完全に施錠するようにし、賽銭箱もその引き戸の内側に置いて、
郵便受けか何かのように、賽銭を入れることが辛うじて出来る程度にだけ、
賽銭箱の上のところに隙間を設けておく、という方法だ。
今は、賽銭箱が外からいつでも触れる場所に出ているから、盗られるのであって、
建物内に入れてしまえば、鍵を持っていない者は、賽銭箱に触れられなくなる。
参拝して賽銭をしたい者は、隙間から投げ込めば良い。
その隙間からサッシを破壊するとか、バーナーで焼く等、
器物損壊までヤられたら、お手上げではあるが……。
いかなる設備をするにせよ、費用がかかる。
年末年始のお詣りや賽銭だけは、確かに大きな収入源ではあるが、
それらは年間の予算で何にあてるかが既に毎年、固定していて、
よぶんなお金はほとんど出ない。
ただで祭その他の行事はできないし、各種保険の継続もある。
と言って、普段は500円の祭典費を地域で集めるのにも苦労するのに、
特別な寄附など望むべくもない。
だから、我々が日参して宝物のようにお賽銭を集めて貯めているのに、
そのなけなしのお金を、隙あらば勝手に盗っていくヤツらがいて、
そのヤツらのために、費用をかけて新しい設備をせねばならない。
全くもって、許し難い話ではないか。
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