館林ロストシティーランブラーズ・フォークソングシングアウト

フォークを歌って43年の坂を今登坂中。世間に一言あってこそフォーク。軟弱アコースティックミュージックにシングアウトだ!

「満蒙開拓平和記念館」を訪ねる。

2014-12-12 05:50:43 | 生活雑感


長野県下伊那郡阿智村・・・・南木曽に源流を求める阿智川の恵みで暮らしを編んだ、小さな山村。阿智川はやがて天竜川に注ぎ、天竜川がやがて愛知・静岡を抜け太平洋に注ぐ。

人口7000に満たないその村に、この記念館はあった。



1932年から1945年まであった満州国・・欧米列強の侵略の足音に・強い軍事力で並ばねばと、多くの民衆の暮らしの犠牲のもと、殖産興業にまい進し、足尾の鉱毒などの惨禍を起こしながら、日清・日露の戦争を早々と起こした国が僕の国だ。

大恐慌から右肩下がりに落ちてゆくこの国の経済力。主要産業の農業・農村の疲弊は、他国を侵略することに活路を見い出し、関東軍を送り戦争への道へ進んだ。
その侵略の大地が、満州だ。

そして、軍隊の食料の補給のために企てられたのが、満州開拓団であった。

およそ27万人が海を渡り、そしてやがて8万人が命を落とすことになったのだった。

長野・・・・・写真のグラフの突出した人数の場所がここ長野県だ。
送出数32992人・・・死亡未帰還者14940人・・残留者1103人・・不明213人の数字がある。



記念館には、復元された、満州の開拓民の家などある。資料・ビデオなど・・開拓の記念館としては、日本屈指だと、拝察。

多くの資料は撮影禁止で紹介は出来ない。



90分という、長いビデオだが、映像・語り部の実写・その言葉と、資料を凌駕する凄味があった。

37年にまず拓殖公社が作られ、38年先兵として武器を携えた「青少年義勇軍」が送り込まれる。
39年「大陸の花嫁100万人送出計画」が策定され、40年から本格的に渡満が開始される。

五族協和という美辞麗句・・・1級民族は日本人・2級は朝鮮族・3級は満州族、漢人、モンゴルと、初めから差別の思想を持っての協和であった。
だから、日本人を見習えと・・・言葉さえ封じ、名前さえ変えさせたのだった。沖縄も同じだ・・・

広大な土地を耕した、満州開拓・・・その土地は、二束三文で現地の農民から取り上げた大地であった。





疲弊した農村から「新天地」を夢見て開拓に入った農家の二男三男・・やがて、ソ連の侵攻で逃避行の事態が突然やってくる。

守るべき軍隊は、とっくにここを捨て沖縄戦に向かっていた。ソ連軍銃撃で、現地の人たちの攻撃で、原野をさまよい疲れ果て、あるいは集団自決して、多くの命が失われた。

命からがら逃げてきた開拓団の人たちから聞く言葉「棄民」・・・・軍隊は民衆を守らないのだ。そういうものだ。

天皇制を据えたこの国の権力は、戦後国体護持に奔走し、天皇自ら「アメリカに占領してもらふのが沖縄の安全を保つ上から一番よからうと仰有ったと思う旨の仰せ」『入江相政日記』(第10巻)(1979年5月7日付)(つまり、沖縄は差し上げますと、マッカーサーに伝え、本土の安寧を保証してもらえということさね)・・・・開拓民を棄民し・・・沖縄の民衆をまた棄民したこの国の歴史を、僕らは伝え続けなければならないと思う。

この記念館に入ると、「戦争を知らない子供たち」の僕らは、この程度は分かるようになっている。



記念館のすぐ近くに(歩いて2分)長岳寺がある。

このお寺の元住職・・山本慈昭さんという方が大きなコーナーで語られている。
逃げるために捨てなければならなかった子供・・・逃げるより現地の人に預けたほうがこの子の命が助かると、預けられた子供。
残留孤児の親探し・肉親捜し・帰還と奔走された方であった。

ここで僕は、義父を思い出した。

満州に渡った祖父のあとを継いだ義父もまた、群馬の浅間山の麓(群馬の開拓団の引揚者の再入植の地である)に暮らしながら、残留孤児の帰還や肉親捜しに奔走した男であった。




分村・・分村の言葉・・・「分村計画」の名が、満州へ向かわせた開拓団の希望でもあった。

村の代表が、農家の二男・三男・看護できる女性・教師・嫁など組織し、満州へ向かった。

群馬県南勢多郡木瀬村(現在は前橋市)・・・農民を組織し、五族協和・・・分村を作るべく吉林省磐石県駅馬(ばんせきけんえきま)に入った開拓団。
その団長の孫が僕の女房をやってくれているのだった・・・

僕はこの記念館で、また、義理の祖父や義理の父に対面したのだった。

このブログに昔書いた、開拓についての記事・・が・・・以下である。
まあ、与太なので、興味のある方はどうぞ・・・

凡人は、短く適切に書けないなぁ・・・


その1

その2





コメント (6)
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