goo blog サービス終了のお知らせ 

殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

塞翁(さいおう)がみりこん

2010年04月17日 16時54分28秒 | 前向き論
ヨシコが退院した。

来月の本格的な入院までは、とりあえず元気そうである。


インスリン注射で生きており、足がふらつく義父アツシ。

糖尿と高血圧、中性脂肪に高脂血症…

大腸癌から生還し、脳梗塞になりながら麻痺も無く

このたび心筋梗塞の栄冠を得た偏食女王、義母ヨシコ。

そんな義父母のために食事を作っている…なんだか私って

いかにもいい嫁ぶってるみたいなので、少し説明を補足しておこうと思う。


この作業は、人様が思うほど大変ではない。

我が家の献立の中から、与えて大丈夫なものをかすめ取り、アレンジするだけ。

ご馳走を与えなければよいのだから、簡単だ。


前回は食材を運んで、最初から作ったので、確かに疲れた。

今回、完成品を届ける宅配サービスに切り替えたら、なかなかいい感じ。


こちらが作るものより、娘が気まぐれに持ってくる

残り物のほうをありがたがるのは、毎度のことである。

アツシはそれに気兼ねして「娘のは、マズい」などと言う。

以前では考えられなかったことだ。

ちょっと病院で働いたというだけで、私を過大評価している。

それだけ体がつらいのだと察する。


「あら、どうして?あの子は料理上手だわ」

ヨシコが反論し、夫婦で軽い口論となる。

元気だからこそ、夫婦喧嘩もできる。


その光景を嬉しく眺めながら

もしも15年前、私がこの家を飛び出さなかったら…と思いを馳せる。

もしも、なんて言っても仕方がないが、あえて考えてみる。


断言する…私はもう生きてはいない。

それでも生きながらえて、長居をしたとする。

たいしたことは出来なかったと思うが、彼らの病気がここまで悪化するのに

もう少し時間的な猶予があったのではなかろうか。

家族の人数が多いと、食事のバラエティが豊富になるからだ。


嫁の出奔で、10年ぶりに再び家事を一手にやる羽目になったヨシコは

しわ寄せが食事に来た。

外食、出来合いの惣菜、早くて見栄えの良い肉料理が中心になり

夫婦で持病を悪化させていった。

厳しい言い方をすれば、嫁をいたたまれなくするのと引き換えに

彼らは自身の肉体を犠牲にしたといえよう。


ともあれ、双方はなるべくしてこうなった。

私は流れ流れて、はからずも治療食の作り方を知ることとなった。

そして今、双方がこの世に生存しており

家族をやり直す機会が与えられている。

自身のつたない経験が、誰かの役に立つ喜びは大きい。


ついでに思い返してみる。

家の商売があるのに、よそであくせく働く自分をずっとみじめに思っていた。

~夫婦仲良く盛り立てていく図が、私の理想であった。

小姑が毎日帰って来ては、波風立てるのが悔しかった。

~この女のせいで、家にも会社にも私の居場所が無い…と憎んだ。

そしてもちろん、亭主の浮気はつらかった。

この三重苦のまま、苦節30年が経過…一苦につき、十年?


しかしその苦節は、すべて自分で作り出した世界だったと、今なら言える。

物事が思い通りに運ばない焦りや不満に、心が支配され

はなから所有している健康な体や子供、雨露しのぐ家

親きょうだいや友人の存在に、あらためて目を向けることは無かった。

私にとっては、あって当然のものだったからである。


逆なのだ。

あって当然と思っていたものが、実は奇跡の産物であり

それを与えられた喜びに、まず気づかなければ

いつまで経っても苦しみからは抜けられない。

抜けられないだけならまだいいが、どんどん大きく、深刻になる。

それがわかった時、最大の悩みは、一瞬で幸運な出来事に成り代わった。


なぜ一瞬で簡単に変化したか…

別口だと思っていた三つの悩みは、根底で連動していたからである。

すべては、現状に満足出来ない私の不平不満から、生まれたものであった。


確かに発端は、夫の浮気だった。

しかし、それをいつまでも根に持ち

果てはタネやハタケまでうたぐるそぶりの嫁を誰がかわいく思うだろう。

ましてや大事な家業は任せられない。

同じタネとハタケの作物である娘も

そんな嫁に家業と実家を思い通りにはさせないと、意地になって当然である。


私の望みが早々に叶い、思惑通りに家業を手伝っていれば

人に使われる者の喜怒哀楽は、生涯知らないままであった。

大きな顔をして、経営ナントカ会だの、商工ナントカクラブだのに

出入りしてたかもよ…ハズカシー!

夫婦で会社を盛り立てるも何も、あったもんじゃねぇわ…

不況で落ち目の今、すべては見事に私の責任になっていたこと間違いなし。


よそで働かなければ、食事の重要性を実感することもなく

病人食作りが苦になっていた。

それは私に重くのしかかり、行く先々で

「親が、食事が」と、しかめ面でこぼしていること、うけあいだ。


実家依存の小姑がいなければ、情に流され

家を出る決心がつかないまま、自分をどこまでも追い込んでいた。

また、夫の浮気が無ければ、このブログは誕生しておらず

皆様と出会うことも無かった。


何がラッキーで、何がアンラッキーなのか、わかりゃしない。

だから、現在の状況を悲観することは無いよ…と言いたい。

「いやだ、いやだ…早く抜け出したい…」と思っていたら

長引くぞ…私みたいに30年だ。

懲役なら、最長ランクだぞ。


そう…これは懲役である。

悩みに固執すると、願望が生まれる。

「ここから逃れたい」「本当はああなりたい」という願望だ。

連日連夜それを思い続けるうち、少しずつ自作の鉄格子が出来上がっていく。

その中に、我と我が身を囚えてしまうのだ。

私はとりわけ頑固だったので、懲役期間が長かったように思う。


「今はなんだか不本意な気分だけど、ま、いいか」

で済ませていたら、早くてもっといいほうに転がる。

人生は、こうして自分で微調整しながら、展開を楽しむ旅であるといえよう。

だから面白い。

まさに、塞翁がみりこん。

コメント (36)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« みりこんゲーム | トップ | アリキリ思考 »
最新の画像もっと見る

36 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
教祖様 (ナナ)
2010-04-17 17:19:12
まさに私でございます。いつまでも塀の中です。わかっちゃいるけど~なかなかです…まだまだ暗闇を這いずり回ってます。でも、立ち上がる為に私はみりこんさんに出会ったのだと思います。みりこんさんのブログで、笑って勉強して大人になって(おそっ!)…これからもよろしくお願いします。ハハァ…m(__)m
返信する
いっちば~ん! (モモ)
2010-04-17 17:20:04
深いお話し、判り易く話して下さり、有り難うございます

本当に、そうですよね。

外から見る、見方を変えるだけで、なんと気持ちが変わる事か。

私も、恥ずかし~想いをいっぱいしました。

思い込み、執着、否定…
生きているうちは、何度でも、学ぶ為の機会が訪れるのでしょうか…

この世での課題を学び合ったら、別世界に行くのかしらん~?
返信する
ごめんなさい (ナナ)
2010-04-17 17:26:51
モモさ~ん!ごめんなさい!1分の差でしたね…秒かも?恐縮です(;^_^A
返信する
52秒差 (シーバスと踊る男)
2010-04-17 19:54:23
しっぽのリボンが可愛い”みりこん姉さん”こんばんは^^

いや~しかしコメント
ポールポジション争いの
モモ様ナナ様のデッドヒートはすごいですね~

わずか52秒差です(笑)

でもお互いを思いやるところが”みりこん教”の真髄でしょう

ちょっと前まではこの”禁断の花園”へのコメントはちょっと恥ずかしかったんですが
最近は慣れちゃいました(汗)
釣りのブログなんてどれ閲覧しても面白くないんですよね!
返信する
ジェル?アクリル? (営業1課 課長!!)
2010-04-17 21:36:57
おおーーっとネイルはきっちり手も足も!!


塞翁がみりこん・・・そうですね・・・


なんと恐ろしい懲役30年・・・




宣誓!

私取り合えず『何だか今一だけど、まっついいっか』を実践するよう努めます!ので

お願い懲役は切り上げてください!(汗)


うだうだ馬鹿夫のことを考えるより!
ネイルサロンに行ってプチ散財したり、
ぐじぐじ女を恨むより! 美味しいランチでもして、プチセレブモドキな時間を過ごし、少しだけ夫に感謝する事にしますーーっ



囚われずに、残りの人生感謝する事を誓いまーーーす!


クワバラ・・・クワバラ・・・


返信する
いやぁ~(笑) (モモ)
2010-04-17 21:40:02
たまたま、携帯開いたら…でしたので…〓

1番がナナさんでも、シーバスと踊る男さんでも、良いのですよ~キャッ(≧∇≦)

返信する
悩める人に・・・。 (かずかず)
2010-04-17 22:29:15
今回の話は いつにもまして いいお話ですね!
(悩める人には 特に、読んで貰いたいお話です。)
意識しようがしまいが、
『 自分自身の思いが 現実を生み出している 』 という言葉をよく聞きますが。。。
みりこんさんの実体験を踏まえた言葉は、どんな著明な作家さんよりも リアルに感じられます!

自分に足りないものばかりを見ていると 永遠に満足出来る日は来ず・・・
今 あるものに目を向け 感謝の念を抱くと 幸せに満たされると言いますよね。
私は。。。
苦労らしい苦労も無く 過ごしてきたのですが。。。
ついつい それを忘れてしまい、不平・不満を言ってしまいがちです。
みりこんさんのように 身をもって悟れる日が 来るといいのですが・・・。

人が皆、自分にとっての『あたりまえ』を 見直してみると・・・
他人にも 優しくなれ、 住みよい社会になるでしょうね。
返信する
一苦につき… (サキマ)
2010-04-18 00:15:26
10年…。
そうかぁ…。
なるほどぉ…。
なるほどねぇ…。
ふぅ~む…。…深い…。

ちょうど今の私です。このまま二苦目に捕らわれのは絶対に嫌です。

初コメ以来、ずっと義父が嫌い嫌い大嫌いと…毎回同じ悩みをみりこんさんに吐露し続けた私への、温かい応援メッセージと勝手に解釈させて頂きました。

私も、いい線までいくんですけど、例えば『いや~、同居でないだけ有難い』とか『健康で有難いな。もし私が病気だったら、娘はどうする?あんな義父がいたって、とりあえず家族が健康なんだから幸せだ!』とか。
現状の中に感謝すべきものを見つけリセットするも、すぐ義父への憎しみスパイラルに落ちていくんです。強烈な義父なので…。

真っ黒に染めた髪にポマード塗ってドライヤーでこてこてに固めてオールバック(所要時間20分)…が日課の義父でしたが、今ではこうして脳内出血により麻痺状態。開頭手術で頭は剃られ、白髪の五分刈りに。入れ歯を外してるので、『誰この人?』って感じです。
私の恨みの念がそうさせたのか…自分を責めたりもしました。

飼い殺し状態で、私も一度は不憫に思った義母ですが、義父不在の現在、助けてオーラ全開で…。

10年も苦悩してきた割りには、事態は悪化の一途をたどってます。

この辺に答がありますよね。みりこんさんの仰るとおりの答が…。

万事、塞翁が馬…

何がどう転ぶかなんて、わからないですよね…本当にね…。

喜怒哀楽の『怒』『哀』がウェートを占めると、辛いですよね。かと言って、『喜』や『楽』ばかりでも飽和状態になって傲慢に陥る恐れもあるし。
怒・哀があるからこそ、喜・楽が引き立つ…

苦悩をより苦悩としないように…自分のために、周りのために、ものの捉え方を変えていきたいです。

有り難うございます。

イラスト、最高です
返信する
ありがとうございますm(_ _)m (たらこ)
2010-04-18 00:39:35
組長・8でのコメントのやりとりから 『執着』について色々考えました。

執着をどうやって手放せば良いか…。結局 自分で自分を癒さないかぎり 手放すことは出来ないと知りました。
みりこん姉様から仰られるように 当たり前にある自分を当たり前だと思う自分だから、癒せない、感謝出来ない理由がそこにあったのだとわかりました。

今 生活しているのも夫のおかげ。子供たちに出会えたのも夫がいたから…。
夫の両親がいたから 夫に出会える事が出来ました。すべて 当たり前になりすぎて 見えなかったものです。気付きをありがとうございましたm(_ _)m

昨日 いつも通ってるジムでコンパのお誘いを受けたんです!
話したことがない方からの突然のお誘いでビックリしました…。
丁重にお断わりしましたが コンパを開く理由を図々しいながら聞いてみました。その方は 40才の独身の女性の方で(私より年上) 子供が欲しいと強く思ってらっしゃる方でした。パーティーなどいろいろ参加されてて 結婚相手を探すのに必死になってるように見えました。
結婚に失敗を感じてた私には 結婚に夢を描くその女性に『焦ったり、必死になると相手に伝わりますから余裕を持たれたほうが良いと思いますよ』と言いました。今 考えるとよくそんな事が言えたものだと思います。
そこで その女性と話をして気付いたのです。
私には子供が2人も授かることが出来た…。それは 夫と知り合ったからだ…と。
夫がいて 子供がいることを当たり前に思っていた私にとって その女性の悩みは私が思ってた当たり前を手に入れられないことなんだ…と思った瞬間 当たり前でなかった事を知りました。
今 コンパに誘われた事を考えると 普通、幹事より可愛くない子を集めますよね~。私 独身だと思われた?しかも彼氏もいないくらいなの?と自己評価は下がりましたが(笑)

突然なビックリ話でしたが 私はいろんな事を学べたので よし!としようと思ってます♪

ありがとう と素直に言える自分になりたいと思います。
みりこん姉様からのたくさんの言葉の発信に 日々感謝しております。そして 姉様のブログに出会えた事に感謝×2です♪ありがとうございますm(_ _)m
返信する
珍しい~ (モモ)
2010-04-18 02:15:35
みりこん姉さんのブログ、珍しいブログだと思います

私が思っただけなのですが、コメ下さる皆さんが、色んな気付きをしたり、前に進む何かをつかんだりしながら、微笑んでいる感じが、コメントから感じられます~〓


みりこん姉さんの体験からくる深い、大きな愛が、私達を癒やし、前に進む力を与えているんでしょうか


このブログに出会えて、本当に良かったです~
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

前向き論」カテゴリの最新記事