殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

年を取る幸せ

2023年11月16日 10時15分24秒 | みりこん流
近年、年取ったな〜と感じることが増えた。

肌はもとより、指に潤いが無くなって不便なことといったら。

スーパーのビニール袋が開けにくいのは、もはや当たり前。

財布の小銭を取り出すのにも時間がかかる。


昔は必要にかられたら、脳で「指に汗出ろ」と命令できた。

命令で滲み出た水分を利用して必要な小銭を指に吸着させ

素早く支払いができたのだ。

それが今じゃどうよ。

命令したって何も出んぞ。

若い頃はレジでトロトロする年配者を蔑視していたというのに

自分がそうなっとるじゃないか。

それどころかスマホやカードで

スマートに支払いをする年寄りまで出現している。

負けた。


それから食欲が落ちて、食べる量が減った。

周囲が驚くほどの大飯喰らいだったのが

胃もたれが怖くてセーブするのが当たり前になり

そのうち本当に食べたいのかどうかも怪しくなって

早々にやめてしまう。


バランス感覚もおかしくなって

ちょっとよろけると元の体勢に戻るのに数秒かかる。

よろけるなんて、私の辞書には無かったはず。

筋力が低下して、踏ん張りが効かなくなったと思われる。

これらの現象は、顔に増えてきた小ジワより残念だ。


が、肉体の衰退とは裏腹に心の方は年々軽くなり、幸せを感じる。

私の言動を制限していた人々の多くが、あの世へ行ったからだ。

町内に4人いた義父の兄妹たち、義父母の取り巻き、出入りの商売人…

ひと世代上の人たちって、そりゃうるさかった。

私が外で誰かに話したことや、スーパーで買った品物までが義父母に伝わり

家に帰ると、それをネタに小言を頂戴したものだ。

要するに、どいつもこいつも暇だったらしい。


一人消えるたび、その人物に同調していた人々もおとなしくなり

最後に義父が消えて以降、私はかなりの自由を手にした。

何を言っても何をやっても怒られないって、すごく楽。


完全な自由を手にするには

ラスボスの義母が消える日を待つ必要があるが

私もそこまで欲張りではない。

腹八分目で我慢…これぐらいが自分にふさわしいと思っている。

完璧を望んでそれを手にしたあかつきには

また新たな、どうにもならない厄介が訪れるものだ。

多くを望まないのが、幸せの秘訣かもしれない。


幸せと言えば、もう一つ。

夫の姉カンジワ・ルイーゼの里帰りが減った。

近所の公民館で体操教室が始まり、パーキンソン病の旦那を運動させるため

毎週木曜日には夫婦で通うようになったからだ。

そして金曜日には、義母ヨシコが近所の体操教室へ行く。

こちらへ来ても母親がいないので、金曜日も来なくなった。


さらにルイーゼの初孫、もみじ様の存在も大きい。

広島市内に暮らす2才のもみじ様はカンの強いタチらしく

しょっちゅう熱を出す。

彼女の母親マヤちゃんは去年、産休が明けて仕事を再開したが

熱が出ると保育園で預かってもらえないため

病児の身柄はルイーゼに託されるのだ。

マヤちゃんの実家も広島市内にあるが、そこには預けにくいらしい。

彼女のお母さんは再婚しているので、継父に気兼ねという話だ。


そこでもみじ様の父親であり、ルイーゼの一人息子のおみっちゃんちゃんが

高速を走って連れて来る。

おみっちゃんちゃんはアパレル関係の仕事なので、出勤が遅いのだ。

帰りはマヤちゃんの方が早いので、彼女が迎えに来る。

小さい子供を育てながら働くって、本当に大変ねえ。


そういうわけで、もみじ様はほぼ毎週ルイーゼの家に来る。

よって体操教室のある木曜と金曜、そしてもみじ様が訪れる一日か二日は

ルイーゼがうちに来ない。

つまり週の半分は、ノー・ルイーゼデーになった。

結婚以来43年、元旦を除いて雨の日も風の日も欠かさずの実家詣では

ついに途絶えたのである。


思えば長い年月であった。

小姑が毎日来たって、気にしなきゃいいじゃん…

そんな生やさしい問題ではない。

親は、娘が婚家で苦労していると思いたいものだ。

そして娘は、親が嫁に苦労させられていると思いたいものだ。

この両者が近づくことで思い込みは増幅され

そのまま他人である嫁への憎悪となる。

精神的に幼い親と、よそへ嫁いだ娘の組み合わせは

煮ても焼いても食えない凄まじい集団なのだ。


彼らは意地悪なのではない…多分。

近い血縁が集まると、そうなってしまう…

それが血の結束というやつよ。

結果、こっちは複数の上司から

監視とハラスメントを毎日受ける新入社員状態。


8年前に義父が他界して以降、遺された母と娘はかなり大人しくなり

ずっと頭の上に置かれていた漬物石は軽くなったが、鬱陶しいのは同じだ。

義母は息子夫婦を怒らせたら生活できないのをわかっているし

義姉は母親を押し付けられたら困るので、静かにしているだけである。


この鬱陶しさが週の半分無くなったのは、ひとえにもみじ様のお陰。

先はどうなるかわからないが、彼女に感謝しつつ

この隙に英気を養うとしよう。


幸せなことといえば、もう一つ。

次男の嫁と、長男の彼女の存在。

彼女らは、私を“お母さん”と呼ぶ。

親ではないから、名前を呼ぶように頼むつもりだったが

あの子らは初対面から、ごく自然にお母さん、お母さんと連発。

今さら変えてくれと言いにくくなり、そのままになった。

娘ぐらいの年齢の女の子から「お母さん」と呼ばれるのって嬉しいもんだね。


一緒に出かけて、何かと気遣ってくれるのもありがたい。

長男の彼女がスーパーのフードコートで注文した飲み物を

私の分まで運んでくれた時は、信じられなくて感動した。

長い間、こういうことは私の仕事だったからだ。

セルフサービスの店やファミレスのドリンクバーでは

両親や義姉の分を調達するために、一人で何往復もしたもんよ。


それを人がしてくれる…

手持ち無沙汰で落ち着かなくて、だけどありがたくて泣きそう。

同時に「年寄りって、気を遣ってもらい慣れて

だんだん図々しくなるんだな」

と実感し、この優遇にアグラをかくまいと心に誓った。


自分を『幸薄(さちうす)民族』と自覚して生きてきたけど

幸薄民族にもそれなりの幸せがある。

ハードルが低いもんで、感動する事柄が多いという幸せ。



『レストランでお食事中の猫ちゃん』

海外旅行が復活し、モロッコへ行った友人が現地から送ってくれた。




『サハラ砂漠の夜明け』



元々旅行があんまり好きじゃないので、自分で行く気は全然無いけど

こうして知らない所の風景が見られる時代になったのも

気にかけてくれる友だちがいるのも、幸せの一つ。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (田舎爺S)
2023-11-17 14:37:21
歳月は素晴らしいものですね。
敵役の方々を夜空の星に昇華させ、
いつのまにか、お母さんと呼んでくれる味方がそばに増えている。
幸薄民族にも、幸厚の時期がやってきましたね。
お母さんと呼んでくれる人達を、大切にしないといけませんね。
我が子も、そのお相手も。
返信する
Unknown (みりこん〜田舎爺Sさんへ)
2023-11-17 19:10:10
本当に歳月とは素晴らしいです。
夜空の星に昇華…何と素敵な表現でしょう!
味方、確かに増えました。
私のような思いをさせないように気をつける所存です。

幸厚!(笑)
幸薄民族だと思っていましたけど
気がついたら幸厚になっていました。
幸せを届けてくれた彼ら彼女らに感謝して
大切にしたいと思います。
優しいお言葉をありがとうございます。
返信する
Unknown (しおや)
2023-11-20 03:38:13
なんか胸がいっぱいです。
みりこんさんのご苦労がやっとむくわれてきているのがうれしいです。
みりこんさんのような気遣いされて気さくな人はお嫁さんたちも話しやすいと思います。
普通、京都旅行に誘いませんよ。結婚する気はないの?とか言わずあっけらかんとされているのかなすごい。私ならねちねち言ってしまいそうww

ルイーゼさんもこれから向こうで苦労したらええんや。お嫁さんとどうしてるのかめっちゃ気になります!笑
返信する
Unknown (みりこん〜しおやさんへ)
2023-11-20 09:17:41
一緒に喜んでくださって、ありがとうございます!
次男が結婚して家を出て行き、これで一人分楽になる…
しめしめと思っていたら二人でしょっちゅう来るので
一人増えとるし。
さらに長男も同じく。
結局は元の5人家族から二人増えて
以前より忙しくなっとるし。
が、これも喜びだと思ってワイワイガヤガヤを
楽しんでいます。

長男の結婚に関しては、本音を言うと興味が無いんよね。
二人とも年がいってるので、好きにすればええわと。
新しくできた年下の友だちとして
おしゃべりしたりLINEしたり楽しくやっています。

ルイーゼさんとこは、なかなかハードみたいです。
お嫁さんは言いにくいことを全部旦那に言わせるタイプで
おみっちゃんちゃんはルイーゼ夫婦に
けっこうきついことを言っていましたが
このたびルイーゼの旦那キクオの出資により
新築マンションをゲットした彼らは
子供の貴重な預け先ということもあり
以前より下手に出ているみたいです。
しかしパーキンソン病が進んだキクオは孫の世話ができず
子守りはルイーゼのワンオペ。
最初のうちは孫が帰ると寝込んでいましたが
最近は慣れてきた様子です。
それを見て、「孫とか、私は無理じゃわ」
とつくづく思います。
返信する
Unknown (日向ぼっこ)
2023-11-20 21:27:04
みりこんさん!こんばんわ

重石が軽くなって良かったです!

みりこんさんにも🌟ARE なんじゃないかな?

後半戦! きっとラッキーよ!
返信する
Unknown (みりこん〜日向ぼっこさんへ)
2023-11-21 08:29:43
重石、軽くなりました〜。
顔を見なくて済む、気配を感じなくて済む
義母が興奮しないので静か
献立によっては夕飯を早く作って
お裾分けしなくていい…
このような日が増えたのは、心身共にありがたいです。

後半戦、ラッキー?!
嬉しいです。
ありがとうございます。
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