着地点…多くの人は、これにこだわって生きている。
その意味は、気持ちの収まりどころ、納得どころとでも言おうか。
そしてできれば、着地点には華麗に安全に舞い降りたいのが人情というもの。
人は皆、理想通りの着地点に、美しく着地したいのだ。
着地の妨(さまた)げになる人物や事柄を、人は悩みと呼ぶ。
ゆえに多くの人は、降りるより先に考えてしまう。
高い所から見下ろすと、当然ながら着地点はよく見えない。
降りた所に犬のフンでもあったら、どうしよう…
剣山の上だったらどうしよう…
そう案じて、なかなか降りられない。
「こんなはずじゃなかった…何で私がこんな所に着地を…」
と、ワンパス、ツーパスを繰り返して、着地を延期すればするほど
ますます気に入らない着地点が用意される。
地に足がついていないのだから、当然不安である。
先延ばしにすればするほど、雨風が強くなって不安は増す。
「はい、私に与えられた着地点はここですね」
と覚悟を決め、素直に降りれば塞翁が馬…
どこかでどうにかなる手はずになっている。
剣山と思っていた着地点が、意外にも健康サンダルだったりするのだが
つい疑っちゃうのが人間である。
浮気もしかり。
浮気というくらいだから、いずれ降りてくるのは決定している。
発覚した時点で、本当は着地点探しの段階に突入しているが
たいていは、自分に与えられた着地点が気に入らない。
なかなか終われないのは、お好みの着地点を探しているから。
何がお好みか…“女房に頭を下げ、謝って帰る”以外の着地である。
上空からああでもない、こうでもないと
着地の延期を続けるのは、さぞ不安だろうと思う。
居直り、もめまくり、本当に愛しているのはあっちだのこっちだの…
これらの醜態は、着地するまでの時間稼ぎに過ぎない。
ただでさえ気に入らない着地点で、女房が今か今かと待ちかまえてちゃ
恐くてなかなか降りられない。
気の小さい者は、木陰で震える小鹿のように敏感だから、わかるのだ。
心に憎悪の炎を燃やしながら、優しく手を広げる姿は、まさに剣山。
女房は、亭主が今やっているのは浮気ではなく
単なる着地点探しだと認識し、監視、注視の目をそらしてやることが肝要である。
女房もまた、着地点を探している。
亭主が泣きながら謝って帰って来るのが、お好みの着地点。
彼の今後には、下へも置かぬもてなしと、懺悔の日々を期待。
亭主にとって、一番恐しい着地点である。
亭主は、こんなに恐くてカッコ悪い着地をするくらいなら
いっそ新しい生活のほうが楽だと思ってしまう。
家だって、リフォームより新築するほうが簡単そうであろう。
決して愛人のほうがいいのではなく、エネルギー消費量の問題なのだ。
夫婦がそれぞれ考える美しくて気持ちの良い着地点が
正反対なんだから、そりゃもめる。
どちらか一方が(たいていは煮え湯を飲まされた方だけど)
お好みの着地点にこだわらず、今与えられている立場を受け容れれば
悩みは終わる。
以前のプロフィールは確か、短く“妻”だったはずなのに、愛人の出現で
“浮気され、捨てられそうな妻”と、長くなってしまった。
この着地点が気に入らないから、苦しみもだえる。
そして悩みが大きければ大きいほど
着地はこの一回こっきりだと思いこんでしまう。
そうではない…いったん着地したら、また飛び立てる。
長いのが気に入らなければ、とりあえず
“本妻”や“正妻”に甘んじればよい。
側室が憎たらしければ「ええい、下がりおれ!」
とでもつぶやいていたらいいのだ。
理想に囚われず、現在の位置で手を打って機嫌良く過ごしていたら
そこから“塞翁が馬”が始まる。
いずれ“心から愛される妻”や“もっと素敵な人と出会った元妻”
“亭主のみみっちい火遊びなんて気にならないほど、人生を楽しんでいる女性”
なんかになるのだ。
満足いく着地点なんて、本当はありゃしないのが人生である。
これまでは、何かあってもそこそこいい感じの着地点へ
そこそこ美しく降りられていた…
それなのに、今度ばかりはどうして?と思うかもしれない。
今までは、自身の考えや人づきあいの度合いがまだ浅かったので
たまたまそれで済んでいただけである。
人生をより深く味わうチャンスが到来したのだ。
不本意な場所へ不時着し、妥協とか、あきらめと呼ぶしかない時もあるだろう。
それでも、着地した場所を華やかで美しい都にしていく覚悟を
持ってもらいたい。
余談になるが、このところ義母ヨシコの
“老人特有の症状”というやつが、進行いちじるしい。
ボケたと言えばそれまでだが、私には
ヨシコが着地点を探しているように見えた。
こんなはずじゃなかった老後へ、ヨシコは着地できずにいる…。
そんなある日、ヨシコは久しぶりに友達と遠出することになった。
友達は、ヨシコの症状を知らない。
立ち寄ったスーパーで、ヨシコは迷子になり
パニック状態で立体駐車場へ続く自動車専用通路を歩き回って
迷惑をかけたらしい。
このままでは危険なので、少し前から考えていた着地点の贈呈を
実行してみることにした。
「私達はお父さんとお母さんに、人の縁という大きな財産を
生前贈与してもらってるのよ。
迷惑かけてるなんて思わなくていいのよ。
安心してちょうだい」
これは本心である。
病身の彼らの世話をする時間と、養う経済力を確保するために
新会社設立と合併の道を選んだ。
よそへ勤めたのでは、気ままと贅沢の染みついた彼らが邪魔になるのは
目に見えていたからだ。
守るべき弱者の存在が、この路線を進める強い起動力となった。
しかし、我々だけでは立ちゆかない事態が多くあったのも事実である。
「昔、アツシさんにゴルフで世話になったから」「ヨシコさんと同郷だから」
そんな場面に何度も出会い、助けられた。
弱者を守るどころか、守られていたのはこっちだったのだ。
このようなことを噛んで含めるように話したら
ヨシコはパッと解き放たれたような表情になった。
そして、家事まで手伝う明るいおばあちゃんに戻ったではないか。
驚きであった。
ヨシコは、この内容を病床のアツシにも伝えた。
アツシはそれを聞いて、涙を流したという。
彼らもまた、ひそかに苦しんでいたのだ。
我々もまた、解き放たれた。
その日から“韓流の刑”が無くなったのだ。
家族のいる所へやって来ては、あの手この手で
チャンネルを韓流ドラマに変える刑である。
一人はイヤ、韓流は見たい…そこでこの方針になっていたらしい。
俳優や筋書きの解説付きだが、肝心の名前が思い出せないので
じれて悔しがるのをながめる時間だけが、むなしく過ぎてゆく。
ヒョンさんが誰を愛そうと、パクさんの運命がどうなろうと
どうでもいいんじゃ。
スコ~ンと気持ちが突き抜けました!!
そして、みりこんさんの文章は韓流などの比ではないくらいの(笑)感動を与えてくれます。
いつもありがとうございます☆
光栄です。
ごんたさん、厳しい状況の時でも、明るく頑張って
生きてこられた方ですね!
こちらこそ、ありがとうございます。
お姑さん、もっと生きたいのですよ。
人工呼吸器が必要でも、意識がはっきりしているなら
延命というより立派な治療です。
人って、元気な時は思うんですよ。
「あんなになるくらいなら、死んだほうがマシ」って。
そして言うものです。
「私がああなったら、延命はしてほしくない」ってね。
ですが、実際に自分がその状況になると、生きていたいものです。
この世への未練なんかじゃなく、生かされているとは
こんなにありがたいものだったのかと再認識するからです。
私も日頃からヨシコによく言われていますが
嫁という、肉親よりちょっと遠い立場だから言えるんですよ。
娘や息子に言う人は、あんまりいません。
嫁より強い決定権を持っているので、マジでそうされたら困るから。
以前、たらこさんがおっしゃっていましたっけ。
お母様が亡くなられる前「死ぬのが恐い」と言っておられたと。
人間は、死を畏れる気持ちがあるから、自分の命も人の命も
大切にできるのです。
血を分けた娘の前でだけ、本心を明かされたと思います。
ですから、自分を責めたり、気にすることも
謝ることもいりませんよ。
優しい笑顔で見舞ってあげるだけで充分です。
病人は、死に近付くほど周囲の感情に敏感になります。
肉体という入れ物を脱ごうとして、いわば薄着…
口がきけなくても、意識が無くても、周囲の気持ちが
ダイレクトに伝わっています。
みわさんの優しい気持ちに、お姑さんは安心しておられますよ。
そそ(笑)
私も、半分元気な時は「いい加減にして!」と思ってたのに
いざとなると「大丈夫、私が面倒見るから」って言ってました。
自分で言いながら、驚いてんの。
不思議な関係ですよね。
みわさん、大変な犠牲を払って、お姑さんを
治療させてあげていたのですね。
えらいわ。
就活、きっとうまくいきますよ!
昨日はブッダが最初の説法において説いた「八正道」の説明でした。
簡単に言うと
「良い行いをする」「悪い行いはしない」
尤もなことなんですけど、それが結構難しかったりするもんです。
業は自分が所有しているとブッダさんは仰っています。
亭主が浮気するのも、亭主がギャンブルで借金こさえるのも、みんな自分のせいだと思えと。
全然腑に落ちないんだけど、まあ仮にそうだとしよう。
じゃあこの苦しみから解放されるにはどうすりゃ良いのか。
「八正道」を実践することで、彼岸に辿り着けるということなんだそうです。
今回のみりこんさんの着地点のお話もそうなんだと思いました。
寂聴さんのお言葉を借りるとこういうことらしいです。
夫が浮気
「私も年取って顔はシワとシミだらけだから、若い子に目が向いても仕方ないわよねぇ」
嫁が気に食わない
「私が生んで育てた息子が選んだ嫁だもん、仕方ないわよねぇ」
一つ一つのお言葉にジ~ンときました。
自分に与えられた着地点に歯向かわず素直に降り立って"理想に囚われず機嫌良く過ごす"。
人生をより深く味わうチャンスが到来したのだと、かえって喜べるようになれば主人の不倫も無駄で無い...
そんな風にビジョンアップ、バージョンアップ出来れば少しずつ苦しみ、悩みにピリオドを打つ事ができるのですね。
今日は気持ちにハリが出た様に思います。
有り難うございました。
今後もよろしくお願い致します。
そうですね…必要以上に責任を感じたり、卑下するのではなく
「あ、自分もこんなだしな…」と、一歩引いてみる
そんな心の余裕や幅みたいなものを持つ習慣を身に付けると
多くのことが改善に向かい始めます。
人が悪い、人が悪い…ばかりじゃなく、一歩引いて物事を眺めると
視野が広がって、いろんなものが見えてくると思います。
必要だったから、起きたのです。
こらしめのためじゃなく、これで大難を逃れたり
人の情や言葉の威力など、たくさんのことを学べた。
知らないままだったらゾッとするようなことが
これからたくさん起きると思います。
この世に無駄なことは、一つもありません。
不倫に限らず、いろんな悩みから抜け出すのを邪魔する
一番のハードルは「自分は必要ない人間なんじゃないか」
という思いです。
悩みが深いと、つい謙虚と卑下を取り違えてしまう。
ことに浮気の場合、現実に自分の交代要員が
登場してるわけだから、その思いは他の悩みよりも
強くなりやすいです。
必要なんです。
必要だから、生まれてきたのです。
自分は旦那一人のものじゃない。
旦那は今、たまたまそっぽ向いてるけど、世の中の人は
レマンさんが必要なのです。
私もその一人です。
レマンさんが必要です。
浮気されてる奧さんって、旦那と女が密室で誰にも知られず
悪さをしていると思い込んでる。
だから中には、こんなに悪い男なんです、女なんです
と、人に教えなければ気が済まない人もいるの。
聞いた人は、最初は興味津々でも、同じような繰り返しだから
だんだん飽きてくる。
結果、自らの行動範囲をせばめることになる場合もある。
誰も知らないわけがないんですよ。
変なバケモノに取り憑かれて、そいつらの交尾のために
操られて動かされてるのを先祖は泣きながら
取り囲んで見ています。
ご主人、レマンさん、女のそれぞれの先祖です。
三軒分だから、ごった返してるわよ。
子孫がかわいくない先祖はいません。
早く気がついて欲しいと願いながら、何もできない我が身を
泣き叫んで悔しがっているのです。
それを日本では“迷っている”と表現します。
外国のことはわからないけど、先祖を迷わせると
あんまり良いこと起きないのよね。
顔にも出るしね。
だから奧さんだけでも、しっかりしないといけない。
奧さんが苦しみから抜け出すと、メンバーが一軒分減ります。
安心した先祖は、今度は保護役に回れるの。
旦那や女は知らないけど、奧さんはガードされるのよ。
じゃあ旦那もどうにかしたいなんて、欲張らなくていいの。
女は地獄に堕ちろ、旦那だけ救いたいってのは通らない。
奧さんは家の太陽だから、太陽さえ照っていれば
どうにか収まるものなの。
そして、いずれでいいですが、こういうことも考えてみてください。
女もまた、一応はよその大事な娘さん…かわいい子孫なんだと。
愛されて育ったふうには見えないとかじゃなくね(笑)
そしたら、よその大事な子を遊び道具にした
我が旦那の罪も、考えられるようになります。
なんだかんだ言ったって、その罪人の女房やってるわけだから
自分も似たようなもんか…なんて笑い飛ばせれば、継続は可能です。
おお、いやだ、と思えば、離婚がいいわね。
変な話をしましたが、聞き流してください。
イメージがわけば、幸いです。
私は旦那一人のものじゃない...本当にそうですよね。
逆に考えれば旦那は私一人だけのものでもない。
更にその旦那が「自分は他の女のものだ。」と思っているんですからどうしようもありません。(笑)
以前のコメントでもおっしゃってくださいましたよね、「三角関係から一早く抜けるのが大事だ。」と。
変な話ですが、最近主人が逆に女に捨てられる夢を見ました。(笑)
私が「一抜けたっ!」と奔放し続けたあげく、独占意識の強い女が時を経て徐々に関係に刺激を失って主人がつまらなくなるという筋書きで。
あれだけ「関係を終わらせるなんて認めない!」とトンボ帰りしたのに(これは実話)...
奇妙ですよねぇ。。。
主人は最近頻繁に「自分は年寄りだ。」とメイルで愚痴をこぼすようになりました。
確かに会社には真面目に朝一番乗りで出社するので夜床につくのが早いのは前からのことなのですが、どうやら以前にも増しているようなのです。
週末は別でしょうけれど。
でもまだ42歳ですよ~。
同い歳の私はびっくりはしませんが、7、8歳若いお姉ちゃんはつまらないだろうなぁ...お可哀想に...なんて余計な事考えています。(笑)
夢につられて妄想はいけませんよね。。。
太陽ほど生き物の精神に影響を与える威力のあるものはないと思います。
やさしく、そして時に力強く包みこめる様な人間になれたら。。。
みりこんさん、一緒に頑張らせて下さいね。