殿は今夜もご乱心

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リベンジ・ツアー・2

2020年02月07日 14時12分19秒 | みりこんぐらし
還暦旅行の終盤で水のすり替えを知って以来


私は記憶をさかのぼる作業を開始した。


思えば旅の準備段階から、疑問は多かったのだ。



まず旅行前。


バスの中で皆に配るお菓子や乾き物、つまりおやつの類は


記事に時々登場する悪名高い保育士


なっちゃんが買いに行った。



それらは飲み物と一緒に私が調達することになっていたが


自慢じゃないけど、私はおやつ音痴。


あんまり食べないので、何を買えばいいかわからない。


そこで準備に参加したがっていたなっちゃんが


「コストコで買って来てあげる」


と自ら引き受けてくれたので、私は少し見直した。



旅行の2日前、なっちゃんから、おやつを買ったと連絡があった。


その旨を会長のモトジメに連絡したら


旅行前に、どうしても受け取りたいと言う。


「何で?なっちゃんの家は遠いんだから


届けてもらうのも取りに行くのも大変よ?


当日でええじゃん」


そう言ったが、どうしても聞き入れない。


そのことをなっちゃんに連絡したら


ちょうど実家へ顔を出す予定なので


モトジメの家へ届けてやると言う。


私は良かったと思い、この件を忘れた。



同じ日、モトジメから指示があった。


「同窓会の通帳から10万円おろして、旅行に持って行ってくれ」


そりゃ旅だから、何が起きるかわからない。


急病人や事故で足留めなど、不測の事態を想定し


私は自分の小遣いを多めに持って行くつもりでいたが


ケチなモトジメにしては太っ腹なことを言うではないか。


会計役員になって8年、何につけ、いつも立て替えていたので


私はこの指示を歓迎した。



しかし、いざ旅行が始まると


通帳からおろして持参した10万円の使い道は


あらかじめ決まっていたらしい。


これには、呆然とするばかりだ。



まず、なっちゃんが調達したお菓子とおつまみ。


「コストコ行ったらテンション上がりまくりで


たくさん買っちゃった〜」


そう言いながら、彼女が出したレシートは約5万円。


31人の旅行で、予算の3倍のおやつを買っていたのだ。


やっぱりなっちゃんは恐ろしい女だった。


が、今さら文句を言っても仕方がない。


持って行った10万円から清算。



出発してほどなく地元男子の一人


エイジが私の席にやって来た。


約3万円のレシートを出して


「酒、買うたけん、お金ちょうだい」。



私は二つの疑問から、少々驚いた。


一つ目の疑問は、同窓会のオキテ。


『通帳から出金する際は、事前に会長または会計の許可が必要』


という規約だ。


金額が大きければ、なおさらである。


一会員のエイジが、いきなり3万円のレシートを提出して


清算を望むのは異例だった。



しかしエイジは平然と言うではないか。


「会長も知っとるけん。


10万、持って来たんじゃろ?その中からちょうだい」


モトジメが10万円おろせと指示したのは


このレシートの存在を知っていたからだと判明。



が、私には二つ目の疑問があった。


「ビールやチューハイ、5万円分も買うとるのに


まだ足らんの?」


するとエイジ、またもや平然と言うではないか。


「日本酒やワインは買うてないじゃろ?」


レシートをよく見ると、有名どころの日本酒や


舌を噛みそうな名前のワインを買っている。



こいつら‥この際だと思って飲みまくるつもりだな‥


私は苦々しく思った。


なぜなら旅行前の打ち合わせで


男子が口々に希望する缶ビール、缶チューハイ、缶ハイボールを


全部買うことになったため、私は提案した。


「酒を飲まない女子のために、ジュースも買っていいでしょ?」



しかし副会長のタカヒロを始め、男子はなぜか強硬に反対。


「ジュースが欲しけりゃ、パーキングで自分で買やあええ!」


その勢いがすごかったため


ジュースはあきらめたというのに


てめえらだけ、自由か!



ともあれ会長が了承済みなら、清算するしか無い。


私はエイジに金を渡した。


なっちゃんのおやつと、エイジの酒で


10万円は、早くも残り2万円となった。



その後、楽しい旅は続いたが、翌日の帰り道。


朝っぱらから、酒のストックが切れたと言う。


行きのバスと宿の部屋飲みで、よく飲んだ様子だが


参加者中、酒を飲む人数はせいぜい10人足らず。


いくら大酒飲みとはいえ、あらかじめ準備した5万円分と


エイジの買った3万円分で、まだ足りないのは異常だ。



が、足りないと言うんだから仕方がないではないか。


立ち寄る土産物屋、通りすがりのコンビニ‥


足りなくなっては買い込むことを繰り返し


やがて10万円は尽きた。



「飲み過ぎ」では説明できない何かがある‥


私はそう思い始めていた。


そこへ、水のすり替えだ。


旅行が終わって、あれこれ思い出したり


5人会で話し合ううち、私は一つの結論に達した。


「事前に買った酒の大半は、タカヒロの冷蔵庫に入ったまま」


「なっちゃんの買った食べ物も、同じく」


建設業を営むタカヒロの仕事場は


一部の地元男子の溜まり場になっている。


そこへ酒やつまみをストックしておけば


集まった時、当分はタダで飲めるではないか。



買った酒を全部、バスに積まないから


軽トラで持ち帰った物を軽自動車で運べるのだ。


事前に中身を抜くために、なっちゃんの買った荷物を


早く受け取る必要があったのだ。


私に10万円をおろさせたのは


抜き取った酒を補填するための資金だった。


エイジに別口で酒を買わせたり、道中での補充は


最初から仕組まれたことだったのだ。



酒飲みは、酒に汚いという‥


家では女房が怖くて、存分に飲めないのもわかる‥


旅行のために男子が頑張ってくれたのも


よ〜く知っている‥


それでもあまりのセコさに、頭がクラクラした。


《続く》

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2 コメント

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Unknown (okia0724)
2020-02-07 14:52:41
お仕置きを熱望致します😠
返信する
アハハ! (みりこん〜okia0724さんへ)
2020-02-07 21:37:35
いつも応援ポチ、ありがとうございます。
「熱望」ウケました。

お仕置き、できるといいんですが‥。
返信する

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