前回、出汁の取り方に触れた記事のコメント欄で
しおやさんが話してくださった。
>なんかだしを取った昆布とカツオぶしの始末がめんどくて粉末だしにしていました。
私も同じ気持ち。
特に出汁を取った後の昆布…
このフニャフニャの残骸が、我が家では厄介な問題を引き起こす。
姑と暮らすとは、そういうことでなのある。
昔の女の人の中には、当時貴重品だった昆布を崇め奉る、昆布信者がいるものだ。
義母ヨシコも、その一人。
出汁を取った後の昆布を捨てるなんて絶対に許されず、再利用を強く促す。
捨ててあるのを発見しようものなら怒り狂い、ひと悶着あるので
捨てる時は見つからないよう他の生ゴミと混ぜるなど、細心の注意が必要だ。
再利用の方法は、佃煮一択。
私に佃煮を作れと言うのだ。
が、私は佃煮を作るのが好きではない。
真っ当な佃煮として製造された物ならいざ知らず
砂糖、醤油、ミリンを大量に使い
長い時間とガスを浪費して作るリサイクルの佃煮は
さして美味しいわけでも身体に良いわけでもなく、無駄の多い食品だと思っている。
しかもヨシコ、佃煮を作らせただけで満足してしまい
ほとんど食べないときた。
私の努力は何だったんだ。
味の方は問題無いと思う。
どうせ作るのならと研究を重ね、リサイクルにしては
そこそこの水準になったと自負している。
以前も記事にしたが、味付けをする前、水と昆布だけを入れた下煮の段階で
少量の酢を入れ、20分ほどかけてしっかり煮るのが柔らかく仕上げるコツだ。
その後、砂糖や醤油、ミリンで味付けをしてコトコト煮詰めると
味の染み込みも良く、ツヤツヤした甘辛い佃煮が出来上がる。
ただし、これを夏に作るとなると、暑いのひと言。
昆布を使うたびにこれでは、やってられない。
やがて私はひらめいた。
「そうじゃ!ヨシコが昆布を見るけん、いけんのじゃ!
昆布を使わんかったらええんじゃ!」
以後、夏は寿司を作る時以外、本物の昆布を使わなくなった。
私が顆粒や液体の昆布ダシと本物のカツオ節で出汁を取るのは
昆布には強い反応を示しながら、カツオ節にはなぜかノーマークという
ヨシコの習性を考慮した苦肉の策である。
ちなみに出汁を取った後のカツオ節、しおやさんがおっしゃるように
醤油で味付けしてフリカケとして食べるのは良いアイデア。
他にはチリメンジャコ、あるいは大根の葉っぱがあれば
一緒に炒めて味付けしたり
キュウリやナスなどで浅漬けを作る時、一緒に入れてもいい仕事をする。
ついでに話すが、私は調理師なので食中毒の恐ろしさは知っている。
それは「もったいない」から始まることが多い。
もったいないからと再利用を考えるのは、大事なことだ。
そして一方、捨てることは食中毒の予防になる。
もったいないは、日本がまだ涼しかった頃の美徳である。
調理師は、食べ物を粗末にした罪で天罰を受けることを恐れない。
迷わず食中毒のリスクを避ける方を選ぶ。
罪悪感にさいなまれた時は、自分を調理師だと思うのもいいかもしれない。
さらについでに話すが、老人の孤独死は食中毒が原因であることも少なくない。
アレらの中には、一度食べ物に被せたラップを
未練がましく取っておきたがる人がいる。
再びラップが必要になった時、前回使ったラップを再利用するためだ。
ラップは再利用した時点で、アレらの頭の中で新品に立ち戻る。
ラップ・タイムマシンだ。
しかしラップには、たとえわずかでも前回使用した時の食品が付着しており
取っておいた数時間のうちに菌が増殖している。
それを再利用することで結果的にお腹を壊し、脱水症状で生命を落とすこともある。
原因は持病、あるいは熱中症で片付けられ
誰も真相を知らないことだってあるかもしれない。
ラップ・ミステリーだ。
使用済みのラップを取っておくお年寄りがいたら、気をつけてあげてほしい。
さて、お盆もそろそろ終わり。
家族がまとまった休みに入ると、朝バタバタしなくていいのは嬉しいが
早くから遊びに出かける者と家に居る者とに分かれ
普段にも増して食事の時間が不規則になる。
こんな時、以前はカレーを作り置きしていた。
たいていの人は盆正月にご馳走を食べると思うが
それとは別に、いつでも食べられる物としてカレーのある安心感は大きい。
しかし近年、私にとってカレーは頼みの綱でなくなった。
焦げつきやすいので温める際は気をつける必要があるし
ヨシコがカレーを食べなくなって久しいので、別メニューになる。
かえって忙しいではないか。
盆カレー、戦力外通告。
そこで今年のお盆、我ながらヒットだと満足した料理をご紹介したいと思う。
各ご家庭の好みや家族構成によって向き不向きはあると思うので
参考までに聞いていただきたい。
『ちゃんこスープ』
どこが盆メシじゃ!暑苦しい!
と言われそうだけど、我が家では大好評だった。
①豚ミンチ1キロに、ネギ2束分の小口切り、片栗粉大さじ2杯、卵2個
おろしショウガをそのまんま、酒、醤油、塩コショウをテキトーに入れ
タコ焼き大の団子に丸める
②大きい鍋に昆布とカツオ節で出汁をたっぷり取り、沸騰した出汁に片っ端から団子を投入
③団子が浮いてきたらアクを取り、大きめに刻んだ白菜と油揚げを入れる
④薄口醤油と塩で好みの味にして、戻した春雨を入れたら出来上がり
前にもご紹介したことがあるけど、これ、我が家の冬の定番。
冬にはスープだけでなく、鍋でもよく食べている。
たまたま豚のミンチがたくさん買えたので、気を良くして作った。
田舎のスーパーじゃあ、豚ミンチは少家族用に小さいパックでしか売られてないのよ。
肉屋へ注文するほどでもないし、作るつもりは全然無かったけど
珍しく500グラム入りのパックがあったので、2つ買って作ることにした。
団子は豚ミンチだけでなく、3分の1程度の量の鶏ミンチを混ぜると
フワフワに仕上がって、なおいいんだけど
うちには鶏を食べないヨシコがいるので入れられない。
入れてもわからないと思うけど、食べ物で人をあざむきたくないから。
鶏が大丈夫なご家庭は、ぜひ鶏ミンチをプラスしていただきたい。
出汁はわざわざ取らなくても、顆粒の鶏ガラスープの素で中華風にしても美味しい。
キムチを入れたら韓国風、コンソメで洋風と応用もできる。
もちろん、いつものヒガシマル・ラーメンスープの素や
同じくうどんスープの素、あるいはおでんの素でも十分いける。
春雨の代わりに、戻さずそのまま鍋に入れられるマロニーでもいい。
夏に白菜って、アホかと思われるだろうが
冬は肉厚や薄手、柔らかいのや硬いの、甘いのや苦みのある物など
様々な品種が出回って品質にバラつきが出るため、選別が必要。
しかし夏の白菜は、冷蔵保存に適した肉厚で甘みのある品種なので
味が安定していて意外に美味しい。
また、白菜の代わりにチンゲン菜や人参など、他の野菜を入れてもいい。
ともあれ、このちゃんこスープ…
夏場に元気の出る栄養面、家族の喜びよう、おかずとしてのボリューム
いつでも食べられる気軽さ、盛り付けの手軽さ
カレーと違って鍋を洗うのが苦にならない…など、数々あるメリットの合計から
作る手間、室温上昇というデメリットを差し引いても、かなりの高得点。
カレーの交代要員としてかなり優秀だと実感した。
もう一つ、ご紹介したかったけど
長くなってしまったので次の回にします。
《続く》
しおやさんが話してくださった。
>なんかだしを取った昆布とカツオぶしの始末がめんどくて粉末だしにしていました。
私も同じ気持ち。
特に出汁を取った後の昆布…
このフニャフニャの残骸が、我が家では厄介な問題を引き起こす。
姑と暮らすとは、そういうことでなのある。
昔の女の人の中には、当時貴重品だった昆布を崇め奉る、昆布信者がいるものだ。
義母ヨシコも、その一人。
出汁を取った後の昆布を捨てるなんて絶対に許されず、再利用を強く促す。
捨ててあるのを発見しようものなら怒り狂い、ひと悶着あるので
捨てる時は見つからないよう他の生ゴミと混ぜるなど、細心の注意が必要だ。
再利用の方法は、佃煮一択。
私に佃煮を作れと言うのだ。
が、私は佃煮を作るのが好きではない。
真っ当な佃煮として製造された物ならいざ知らず
砂糖、醤油、ミリンを大量に使い
長い時間とガスを浪費して作るリサイクルの佃煮は
さして美味しいわけでも身体に良いわけでもなく、無駄の多い食品だと思っている。
しかもヨシコ、佃煮を作らせただけで満足してしまい
ほとんど食べないときた。
私の努力は何だったんだ。
味の方は問題無いと思う。
どうせ作るのならと研究を重ね、リサイクルにしては
そこそこの水準になったと自負している。
以前も記事にしたが、味付けをする前、水と昆布だけを入れた下煮の段階で
少量の酢を入れ、20分ほどかけてしっかり煮るのが柔らかく仕上げるコツだ。
その後、砂糖や醤油、ミリンで味付けをしてコトコト煮詰めると
味の染み込みも良く、ツヤツヤした甘辛い佃煮が出来上がる。
ただし、これを夏に作るとなると、暑いのひと言。
昆布を使うたびにこれでは、やってられない。
やがて私はひらめいた。
「そうじゃ!ヨシコが昆布を見るけん、いけんのじゃ!
昆布を使わんかったらええんじゃ!」
以後、夏は寿司を作る時以外、本物の昆布を使わなくなった。
私が顆粒や液体の昆布ダシと本物のカツオ節で出汁を取るのは
昆布には強い反応を示しながら、カツオ節にはなぜかノーマークという
ヨシコの習性を考慮した苦肉の策である。
ちなみに出汁を取った後のカツオ節、しおやさんがおっしゃるように
醤油で味付けしてフリカケとして食べるのは良いアイデア。
他にはチリメンジャコ、あるいは大根の葉っぱがあれば
一緒に炒めて味付けしたり
キュウリやナスなどで浅漬けを作る時、一緒に入れてもいい仕事をする。
ついでに話すが、私は調理師なので食中毒の恐ろしさは知っている。
それは「もったいない」から始まることが多い。
もったいないからと再利用を考えるのは、大事なことだ。
そして一方、捨てることは食中毒の予防になる。
もったいないは、日本がまだ涼しかった頃の美徳である。
調理師は、食べ物を粗末にした罪で天罰を受けることを恐れない。
迷わず食中毒のリスクを避ける方を選ぶ。
罪悪感にさいなまれた時は、自分を調理師だと思うのもいいかもしれない。
さらについでに話すが、老人の孤独死は食中毒が原因であることも少なくない。
アレらの中には、一度食べ物に被せたラップを
未練がましく取っておきたがる人がいる。
再びラップが必要になった時、前回使ったラップを再利用するためだ。
ラップは再利用した時点で、アレらの頭の中で新品に立ち戻る。
ラップ・タイムマシンだ。
しかしラップには、たとえわずかでも前回使用した時の食品が付着しており
取っておいた数時間のうちに菌が増殖している。
それを再利用することで結果的にお腹を壊し、脱水症状で生命を落とすこともある。
原因は持病、あるいは熱中症で片付けられ
誰も真相を知らないことだってあるかもしれない。
ラップ・ミステリーだ。
使用済みのラップを取っておくお年寄りがいたら、気をつけてあげてほしい。
さて、お盆もそろそろ終わり。
家族がまとまった休みに入ると、朝バタバタしなくていいのは嬉しいが
早くから遊びに出かける者と家に居る者とに分かれ
普段にも増して食事の時間が不規則になる。
こんな時、以前はカレーを作り置きしていた。
たいていの人は盆正月にご馳走を食べると思うが
それとは別に、いつでも食べられる物としてカレーのある安心感は大きい。
しかし近年、私にとってカレーは頼みの綱でなくなった。
焦げつきやすいので温める際は気をつける必要があるし
ヨシコがカレーを食べなくなって久しいので、別メニューになる。
かえって忙しいではないか。
盆カレー、戦力外通告。
そこで今年のお盆、我ながらヒットだと満足した料理をご紹介したいと思う。
各ご家庭の好みや家族構成によって向き不向きはあると思うので
参考までに聞いていただきたい。
『ちゃんこスープ』
どこが盆メシじゃ!暑苦しい!
と言われそうだけど、我が家では大好評だった。
①豚ミンチ1キロに、ネギ2束分の小口切り、片栗粉大さじ2杯、卵2個
おろしショウガをそのまんま、酒、醤油、塩コショウをテキトーに入れ
タコ焼き大の団子に丸める
②大きい鍋に昆布とカツオ節で出汁をたっぷり取り、沸騰した出汁に片っ端から団子を投入
③団子が浮いてきたらアクを取り、大きめに刻んだ白菜と油揚げを入れる
④薄口醤油と塩で好みの味にして、戻した春雨を入れたら出来上がり
前にもご紹介したことがあるけど、これ、我が家の冬の定番。
冬にはスープだけでなく、鍋でもよく食べている。
たまたま豚のミンチがたくさん買えたので、気を良くして作った。
田舎のスーパーじゃあ、豚ミンチは少家族用に小さいパックでしか売られてないのよ。
肉屋へ注文するほどでもないし、作るつもりは全然無かったけど
珍しく500グラム入りのパックがあったので、2つ買って作ることにした。
団子は豚ミンチだけでなく、3分の1程度の量の鶏ミンチを混ぜると
フワフワに仕上がって、なおいいんだけど
うちには鶏を食べないヨシコがいるので入れられない。
入れてもわからないと思うけど、食べ物で人をあざむきたくないから。
鶏が大丈夫なご家庭は、ぜひ鶏ミンチをプラスしていただきたい。
出汁はわざわざ取らなくても、顆粒の鶏ガラスープの素で中華風にしても美味しい。
キムチを入れたら韓国風、コンソメで洋風と応用もできる。
もちろん、いつものヒガシマル・ラーメンスープの素や
同じくうどんスープの素、あるいはおでんの素でも十分いける。
春雨の代わりに、戻さずそのまま鍋に入れられるマロニーでもいい。
夏に白菜って、アホかと思われるだろうが
冬は肉厚や薄手、柔らかいのや硬いの、甘いのや苦みのある物など
様々な品種が出回って品質にバラつきが出るため、選別が必要。
しかし夏の白菜は、冷蔵保存に適した肉厚で甘みのある品種なので
味が安定していて意外に美味しい。
また、白菜の代わりにチンゲン菜や人参など、他の野菜を入れてもいい。
ともあれ、このちゃんこスープ…
夏場に元気の出る栄養面、家族の喜びよう、おかずとしてのボリューム
いつでも食べられる気軽さ、盛り付けの手軽さ
カレーと違って鍋を洗うのが苦にならない…など、数々あるメリットの合計から
作る手間、室温上昇というデメリットを差し引いても、かなりの高得点。
カレーの交代要員としてかなり優秀だと実感した。
もう一つ、ご紹介したかったけど
長くなってしまったので次の回にします。
《続く》