殿は今夜もご乱心

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リベンジ・ツアー・in城崎

2020年02月13日 09時56分13秒 | みりこんぐらし
「宅配便で届いた土産の蟹」


行って来ました、リベンジ・ツアー。

去年行った同窓会の還暦旅行と全く同じ日、同じ宿。

ユリちゃん、けいちゃん、モンちゃん、マミちゃん

それに私の5人旅です。


この旅のテーマは、早くから決めてありました。

まず還暦旅行で食べられなかった蟹を

同じ日に同じ宿で食べること。

それから還暦旅行で発覚した

同級生男子の業務上横領疑惑について

じっくり話し合い、対策を考えることです。


出発前の私の心配は、遅刻の女王、モンちゃん。

彼女と私は家が近く、幼稚園から高校まで一緒でした。

つまり私は、彼女のすさまじい遅刻ぶりを見てきた

生き証人です。


モンちゃんの家は旅館。

女将をしているお母さんは、夜遅くまで働いていて

朝が苦手でした。

誘いに行った時点で、まずお母さんが目を覚まし

それから起こされるモンちゃんは遅刻するしかなく

私は小学校に上がると

モンちゃんとの登校を両親から禁止されました。

誘いに行った私も遅刻するからです。


普段の登校は、間に合うことがありました。

けれども出発の早い行事もあります。

遠足、社会科見学、林間学校、修学旅行において

彼女は幼稚園から高校まで、見事にオール遅刻を通しました。


集合に遅れると、皆の乗った電車やバスをタクシーで追跡し

どこかで合流するのは、もはや習慣でした。

合流した時のモンちゃんに慌てた様子は無く

常に落ち着き払っていたので

私はそこに女王の風格を感じ、密かに尊敬すらしたものです。


去年の還暦旅行では、私が朝早く電話をして起こしましたが

迎えに行ったら二度寝中でした。

電話が早過ぎたと反省した私は

今回、時間を置いて何度か電話をする方法を取り

無事に新幹線の最寄り駅へ到着することができました。


新幹線で姫路まで行き、特急はまかぜに乗り換えると

2時間ほどで城崎温泉駅に着きます。

車内では、さっそく会議。

去年の還暦旅行で発覚した、男子の業務上横領

および着服の件です。


なぜ彼らは、こんなにあさましいことができるのか…

議題はまずこれでした。

飲み物やおつまみの中抜きのことは諦めても

み~ちゃんの5万円だけは

カタをつけなければ我々の気が済みません。


「この話題で、あと10年は持つ」

と言いながらたくさんのことを話し合っているうちに

目的地、城崎温泉駅に着いてしまいました。

これといった結論は出ませんでしたが

とりあえずユリちゃんが、モトジメとタカヒロに

5万円の行方を直接たずねることになりました。


なぜならユリちゃんは、男子にとって永遠のマドンナ。

そして我々にとってユリちゃんは、最終兵器。

他の者がどんなにギャーコラ言ったって

彼らは聞く耳を持ちませんが、ユリちゃんの言うことには

おとなしく耳を傾ける習性があります。

耳を傾けるだけで、言うことを聞くとは限りませんが

もう最終兵器の使用しかありません。


さて、宿に着いて温泉に浸かったら

待望の夕食です。



茹でた蟹や生の蟹を堪能しました。


翌日は朝風呂に入り、朝食を済ませてチェックアウト。

それから、去年は時間的に無理だった、城崎の町並みを散策。

温泉街の真ん中を小さな川が流れていて

数メートルおきに石造りの小さな橋がかかっています。

風情のある所でした。


その町並みの一角に、「万作」というカフェがあり

ここに行くのも目的の一つです。

去年、城崎を訪れた数日後、かの有名なテレビ番組

『人生の楽園』で、ここが放送されました。

内容は、城崎生まれで地域活性をはかる

我々と同年代の女性店主の話でした。

美しい町並み同様、おっとりと上品な女性が

印象に残っていたため

私の希望でお邪魔することになりました。


「万作」は町並みの中ほどの、わかりやすい場所にあります。

10人も入れば満席の小さな店で、コーヒーをいただきました。

このコーヒー、豆から挽く本格派で非常においしく

味に期待していなかった私は驚きました。

店主と同じようにさらりとして味わい深い、誠実な味です。


万作を出て散策…

すると、パラパラとヒョウが降ってきました。

やがてヒョウは小雨に変わり、我々は初めて気が付きました。

「傘が無い」


ユリちゃんと私が晴れ女ということもあり

誰も雨のことは考えていませんでした。

荷物になるのと、降ったり止んだりなので

傘を買う選択肢はありません。


ユリちゃんとけいちゃんとマミちゃんは

ダウンコートに付いているフードをかぶりました。

しかしモンちゃんと私は、フードの無いダウンコート。

そして二人とも、大判のマフラーを持っていました。

二人はマフラーを頭からかぶり

「真知子巻き!(知っとるけ?)」

「古っ!」

などと言って笑いさざめきます。

我々はすっかり、大昔に親から聞いた映画のヒロイン

真知子さんのつもりでした。


が、マフラーとダウンの相性は良くないのです。

何回巻き直してもツルツルのダウンから滑り落ちてしまうので

やがてどちらからともなく

マフラーをアゴの下で結んでいました。


ふと、ショーウィンドーに映ったおのれの姿を見て、唖然。

「朝市のオバサンじゃん!」

「大間のマグロ漁師、山本さんじゃん!」



自虐でなく、事実なのが悲しいところよ。


こうして楽しかった旅は終りました。

一番笑ったのは、これでしょうか。



宿の夕食に出た、不機嫌そうなお多福さん。

「おい!前髪はどうした!

辛いことがあるんなら話してみろ!」

私は思わず話しかけてしまいました。

恐る恐る食べたら

生麩の中にアンコが入ったお菓子でした。
コメント (2)
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