殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

皆勤賞

2009年08月08日 10時54分39秒 | 選挙うぐいす日記
この冬、とある小さい選挙があり、今のところ参加の予定だ。

今回で3期目…そこはぜひ行きたい現場である。

小規模な選挙は、私好みの

“オモシロメンドクサ”な出来事がたくさんあるからだ。


この陣営では午前と午後や、曜日で分けたりして

できるだけ多人数の初心者うぐいすやお手振り係を用意する。


小さい町なので、一週間べったり関われる元気なヒマ人の数も少ないのだが

私は違う意味で、その方針を推奨している。

体験ツアーみたいなもんだ。


うぐいすのうまい下手で、票が変化することはほとんど無い。

経験があろうと無かろうと、参加する人数が多ければ

本人はもとより家族や親戚友人などの票が増える。

小さい町なら、なおさらだ。


しかし、リスクもある。

内部事情が漏れやすいし

出たがりというのは、おしなべて口が達者。

しかも気位が高く、負けず嫌いである。

もちろん、私もその一人だ。

そんな女たちが集結するのだから、もめないわけがない。


前回私は働いていたので、間で2日休んで仕事に出た。

復帰した朝、出発してすぐに50代始めの女性カツコが

「ここで降ろしてほしい」と泣き出した。

この人とご一緒するのは、前回に続き2回目だ。

はて…こんな人だったっけ?


体調が悪いのか?と聞くと、そうではないと言う。

選挙事務所に歩いて帰れる距離だったので、そのまま降ろした。


昼に戻ってから、事情があきらかになる。

「私は一昨日と昨日、みりこんの留守を守って頑張った。

 でも今朝、みりこんの第一声を聞いて

 候補が私の時と違って、ホッとしたのがわかった。

 この選挙のために仕事まで辞めて、ずっと参加しているのに

 候補に誠意が届かないことが残念で、いたたまれなかった」


…どうやら私が悪いらしい。

おまえはアホか…と言いたいところだが、そうはいかない。

わだかまりを残したままだと、票が減る。


しかたがないので謝る。

「ごめんなさいね、勝手をして…大変でしたね」


しかし、それで終わりではない。

味方が欲しかったのか、翌日から娘を連れて来る。

母親似で気性が激しいらしく

「母が理不尽な扱いを受けたらいけないので、監視に来ました!」

な~んて、すっかり戦闘モード。

理不尽なのは、あんたの母親だってば。


「実家の前でさせてくれなかった…親に見せたかったのに…」

と母子でふてくされる。

なにしろしろうと集団なので、心構えや覚悟など皆無である。

ツアコンとしては、出来るだけそういう希望に沿うようにはしているが

タイミングもあり、通る度に…というわけにはいかない。


そうかと思えば、他の子に

「もっとハキハキ言えないのっ?」

「ダメダメ!そんなんじゃあ!」

などと厳しく演技指導。

娘の前で、いい所を見せたいらしい。

運転手にルートの指示まで始めたので、これはさすがに止める。


初めてでおとなしかった前回と打って変わり

2回目の今回は、すっかりベテランのつもりなのだ。

慣れた頃にありがちな勘違いである。

うぐいすで一番重要なのは、マイクでワーワー言うことではなく

和を保ち、候補や運転手のさまざまな負担を軽減することだ。


私のいない2日間、最年長を武器に

かなりの“個性”を発揮できたのが、よっぽど楽しかったのだと思う。

いったん自由を知った後で、再び管理されるのはつらいものだ。

そりゃ、涙も出よう。

ここまで増長させたのは、休んだ私のせいだ…と反省。


「下手なくせに…」「何様だと思って…」「おのれを知らん」

他の子からもカツコに対する苦情が出て、かしましい。

疲れが出る頃、不満も吹き出すものだ。


さて、無事当選し、祝勝会の席で

候補が私に花束を用意してくれていた。

もらって悪い予感がし、振り返ると…

ゲッ…やっぱり泣いてやがる。


自分は頑張ったのに、花ももらえない…仕事まで辞めたのに…

と、娘や側にいる人に訴えている。

「はい、皆勤賞」と花束をカツコに渡し、早々に帰路につく。


毎回人の入れ替わりもあるが、カツコは今回も絶対いると確信している。

3回目ともなると、さらにバージョンアップしていること必至。

気が重い反面、また面白いことがありそうな予感もしている。
コメント (12)
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