まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第3番「法楽寺」~近畿三十六不動めぐり・15(田辺の不動さんはなかなか由緒ある)

2018年05月25日 | 近畿三十六不動
近畿三十六不動の第3番の法楽寺は、「田辺の不動さん」としてこちらも地元の人たちには知られている。歩いてきた方向からだと境内の通用口のようなところから入ってしまったので、一度境内を過ぎ、改めて山門の前に立つ。

こちらは近畿三十六不動の他に、「おおさか十三佛札所」「神佛霊場」の一つになっている。他にも、「役行者霊蹟札所」の一つともされている。これまで知らなかった寺だが、大阪市の南部にあってはかなり由緒のある寺のようである。伝承によれば源平の戦いで亡くなった霊を弔うために、平清盛の長男、重盛が開いたとある。一般には平重盛は温厚な人物で、仏への帰依が篤く、戦のない平和な世を願い、父清盛の暴走を諌めた人物として取り上げられることが多い。元々はライバルだった源義朝の念持仏だった如意輪観音を安置していたが、いつの頃からか不動明王が本尊として祀られるようになった。その後、織田信長の兵火で焼失したが、江戸時代に復興したという。

山門から入るとまず目に付くのは樹齢800年という大きな楠、そして、1996年に再建された三重塔がそびえる。この二つの組み合わせというのは見ものである。東住吉にこのような立派な寺院があるとは知らなかった。こちらも京善寺と同様観光寺院ではないということもある。札所めぐりというのは、これまで知らなかった寺を訪れるきっかけになるものだと改めて感じる。

また、楠の木のたもとには不動明王像がある。こちらに手を合わせる。

三重塔の回廊には木彫りの鶏が安置されている。これを見て中国の『荘子』にある木鶏の話を思い浮かべる(戦前の名横綱・双葉山にも木鶏の話がある)のだが、何か関係があり、メッセージ性があるのだろうか。いや、ただ何となくアートで鶏を彫ってみました・・・というだけかもしれないが。境内の他の場所にもアート作品が並んでいることもある。

そして本堂へ。外陣まで靴を脱いで上がる。横幅の広い本堂に、不動明王を中心にいくつもの仏が並ぶ。本堂の奥行も結構ありそうだ。外陣の廊下に正座して一つ一つに対して拝む人もいる。こちら法楽寺はいつも誰か手を合わせている感じで、私が訪ねた時も境内から人が絶えることはなかった。

法楽寺のホームページを見ると、江戸時代の慈雲尊者という人物を取り上げている。法楽寺の中興の祖と言ってもいい人物だが、釈迦の教えを純粋に実践し、本来の寺や僧侶のあり方を取り戻そうと、戒律の復興、実践に力を尽くしたとある。その著に『十善法語』というのがある。その中で「十善戒」の内容や功徳について説いている。現在、四国八十八所めぐり、あるいは真言宗のお勤めの中で「十善戒」を唱えるが、そのベースが慈雲尊者にあったとは初めて知った。戒律の中でもベースになるところで、一般の庶民でも実践できるとあるのだが、いざ日頃の自分を振り返るとなかなか・・・。

他には新しく建てられた大師堂があり、横には四国八十八所の本尊を1枚のプレートに彫った石塔もある。

境内を一通り回って納経所に向かう。横に、たなべ不動尊で祈祷済というオリジナルのラベルが貼られたミネラルウォーターが並んでおり、1本購入する。元は高知・室戸の海洋深層水である。ここでも四国を感じさせる。ここ法楽寺も「摂津国八十八所」の札所の一つである。

さてこれで東住吉の2つの近畿三十六不動めぐりを終えて、次の行先のくじ引きとサイコロである。境内で出した候補は・・

1.東山(聖護院、青蓮院、智積院)

2.山科(岩屋寺)

3.豊中宝塚(不動寺、中山寺)

4.醍醐(醍醐寺)

5.和歌山(根来寺)

6.湖西(葛川明王院)

そして出たのは「2」。京都は京都でも山科である。どこまでも、京都の市街地には足を踏み入れさせまいとしているように感じる。最後にドドドッとまとめて参詣することになるのかな。

法楽寺を後にして、最寄りの阪和線南田辺に向かう。実はこの駅前にその筋では有名な大衆酒場があるのを酒場めぐりの本で見たことがあるのだが、さすがに平日昼の12時では営業していない。ちょっと惜しいなと思いつつ、また時間帯を変えて来てみるのも面白そうだなかと思った。

近畿三十六不動のほうも少しずつ参詣を続けていくところである・・・。
コメント    この記事についてブログを書く
« 第4番「京善寺」~近畿三十... | トップ | 観戦記・バファローズ対マリ... »

コメントを投稿