但馬を巡るドライブ、竹田城、出石ときて向かうのは城崎温泉。右手に円山川、左手に山陰線の線路を見る。沿道には海産物を扱う店も目立つが、やはり松葉ガニがまだ解禁されていないということで活気はこれからのようだ。とにかくカニの時季の山陰は列車も宿も混雑するのだが。
城崎温泉の駅前を過ぎる。クルマで来るのが初めてで勝手が違う。はて、クルマをどこに止めたものだろうか。駅前なら駐車場くらいあるだろうとタカをくくってきたのだが、そこにはなかった。温泉街の、柳の立ち並ぶ大谿川沿いに駐車場の文字を見つけた。2時間700円とは結構高い気がするが、観光地でもあり、まあ仕方ない。行程全体を見て、湯上りの一杯も楽しめないというのを織り込んでも今回はクルマで行くことを選択したのだから・・・。
観光客、カップルの姿を見つつ(日帰りだか泊まりだかは知らないが、「温泉に来る」カップルというのは羨ましくもあり、蹴飛ばしたくもあり。ええ、どうせ私にはこれまでそんないい思いはなかったし、これからの生涯でそんな日は来ませんよ)、城崎に来ると訪れることの多い一の湯に来る。やはり伝統に敬意を表してというところか。洞窟風呂という露天風呂があるのも特徴である。ここで、朝の竹田城巡りなどの汗を落とす。最近自分の存在そのものを否定される局面が続いており、気持ち的に落ち込んでいるところもあるので、これで少しは気分転換になるかな。
一度城崎温泉駅に出る。するとちょうどそこには城崎を含む豊岡市のゆるキャラ・玄武洞の玄さんが観光客を出迎えているところだった。その出で立ちはともかくとして、玄さんという名前がいい。小学生の時、名前にこの文字が入っている友達がいたのだが、小学生なのに「玄さん、玄さん」という、当時としては爺くさい呼び方をされていたのを憶えている。それ以来音信不通なのだが、今はどんな生活を送っているかな・・・?
そんな玄さんを見ながら、駅前にあるさとの湯へ。ただし浴場はまだ開いていないため、その前にある足湯につかることに。だいぶぬるいのだがしばらく浸かる中で、これからの計画を考える。とはいっても、ドライブで列車に乗らないはずなのに、列車の時刻表を検索しているのだが。
拙ブログをご覧の諸賢におかれては、この先私がどこに行こうとしているのかは下手な三文芝居より明らかだと思う。
そろそろ時間となり、再び駐車場からクルマを出して西へ。まずは山陰線に沿って走る。線路は近くにあるが、カーナビとも見比べる中で線路はすぐにトンネルに入る。一方で道路は海岸べり、そして崖っぷちをぎりぎりまで地形に沿って走る。山陰線は日本海の美しい景色を見ることのできる路線であるが、鉄道というのは案外、海が近づけばトンネルに入ることが多く、海の景色を飽きるまで眺めるというのは少ない。いくらローカルムードがあるといっても限界がある。単純に海の景色を眺めたい、珍しい岩のところで停車したいということであれば、そこはクルマの出番である。正直、鉄道から見る海景色はほんの一部にすぎない。
それを感じるのは城崎を過ぎ、竹野から香住に至る区間。山陰ジオパークの一端を担う区間で、遠くに淀の洞門を見たり、道沿いには「はさかり岩」という珍しいものを見る。岩の間に岩が「はさかって」、アルファベットの「H」のような形になっている。真ん中の丸い岩は上から転げ落ちたのが長い年月を経てこのような形になったのだろうか。
佐津、柴山と続く小さな港町、そして現れる海岸の造形美。これらの景色は山陰線に何万回乗っても見られないものである。夏ならば知る人ぞ知る海水浴のスポット、そして冬になれば松葉ガニを求める客で賑わうところ。静かな風情を味わうならちょうど秋の時季がいいのかもしれない。
香住の町中に近付く。ただ投宿の時間にはまだまだ早く、それは織り込み済みでもう少し西を目指す。いつの間に豊岡を起点に鳥取まで伸びるバイパス道路(いずれ全通の折には感謝の気持ちをもらいつつ高速道路、有料化ということになるのだろうが)の一部ができており、10分かからないところで香住の西、あの人気スポットに到着する・・・。
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