まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第5番「道成寺」~新西国三十三所めぐり・20(日本一のミニ鉄道)

2016年11月09日 | 新西国三十三所
・・・また本題の前に。

社会人野球日本選手権の決勝戦、勤務先の野球部は最後まで粘りを見せたものの、あと一歩で優勝に手が届かなかった。ヤマハの皆さん、優勝おめでとうございます。

ただ、前評判もそれほど高くない中で、昨年の日本選手権優勝チーム、そして今年の都市対抗野球優勝チームを破り、久々に盛り上がったことである。また来年度も頑張ってほしい。

今季はバファローズが散々な内容ではあったが、初めて女子プロ野球の試合を観たり、久しぶりの四国アイランドリーグに渡ることもできた。最後は社会人野球と、さまざまなスタイルの野球に接することができてよかった。日本一にはあと一歩だったが・・・。

・・・で、タイトルの「日本一」である。

道成寺を参拝した後、御坊まで来たのだからと、紀州鉄道に乗ることにする。日本一のミニ鉄道として知られている。

・・・と、ここまで書いたところでこれには誤りがある。紀州鉄道は営業キロ2.7キロだが、これよりも短いのが2.2キロの芝山鉄道である。この芝山鉄道は、成田空港の先にちょこっと延びている線である。さらに、ケーブルカーも広義の鉄道に含まれるので、鞍馬山のケーブルが日本一短い路線の鉄道事業者である。

この中でケーブルカーを一般の鉄道と見る人は少ないだろう。また、芝山鉄道も京成電鉄の延長線上であり、列車は普通に直通していて単独運行ではない。となると、御坊と西御坊の間を1両の気動車がトコトコ往復している姿こそが、実質日本一のミニ鉄道と言っていいのではないかと思う。もっとも、紀州鉄道そのものはリゾート開発を中心とした不動産業がメインで、鉄道事業はついででやっているようなものである。元の御坊臨海鉄道の路線を買収した不動産業者が、「鉄道会社の不動産部門」としたほうが世間の信用が集まるとしてこのような社名になったそうだ。

列車の発車まで時間があるので御坊駅前で昼食とするが、駅前は市街地から離れているためか店もほとんどない。駅前の一角に「いきいき」という讃岐うどんの店があり、こちらへ。香川に本店があるようで、夜は居酒屋にもなる。何か紀州らしいものということで目についたのが、しらす丼とのセット。味そのものはまずまずであった。

13時25分発の列車に乗る。セミクロス式の車両に乗ったのは、時間帯のせいか地元の人ばかり5人。よく晴れた空の下、トコトコと走る。御坊駅の周囲は閑散としているが、学門、紀伊御坊、市役所前と進むにつれて建物が増える。国道42号線沿いということもあるだろう。

乗車時間8分で終点の西御坊に到着。町中の家並にホームと駅舎が無理やり押し込められた感じである。以前はこの先にも線路が続いていたが、部分廃止ということでぶつ切りになった形である。

折り返しは14時10分発ということで、それまでの35分ほどで駅前を歩くことにする。時間をつぶすなら駅からすぐ、国道を渡ったところにTSUTAYAの書店があるのでそこに行けばいいのだが、寺内町の風情というのに引かれる。御坊駅にもパンフレットがあったし、西御坊の駅舎の中にも案内図があったので、寺内町を歩くことにする。ここも以前に一度回ったことがあるが、ふらりと回るだけなら30分でちょうどいい時間である。

寺内町は昔ながらの町家や酒蔵も点在する。ギャラリーとして開放している家もある。御坊というのは、西本願寺の日高別院が中心にあり、日高御坊と呼ばれていたことに由来する。また、日高川の水運を利用した木材の搬出などで賑わったこともある。伝統的な街並みの保存地区ではないが、自然な感じで家々が残っている感じである。

その中心である日高別院(御坊)であるが、門が閉まっている。今は保育所が併設されていて、子どもの安全のために時間を区切って門を閉める時間帯があるそうである。時計を見るとその時間からは外れているのだが、ひょっとすれば土曜日ということで最初から閉めているのかもしれない。別にどうしても境内に入らなければならないというものではないので、門の外から見るに止める。

そろそろ時間近くなり、西御坊駅に戻る。御坊行きは私の他には地元客が一人だけ。運転手も駅舎内の休憩所(というにはあまりに密閉された空間だと思われるが)から出てきて、おもむろに発車する。途中、紀伊御坊から一人乗って来て、また乗車時間8分で御坊に到着する。こういう短い路線であるが、今のところ廃線にしようという声は聞こえてこない。御坊の中心部から紀勢線乗り継ぎで和歌山、大阪方面に出るのにはそれなりの役割を果たしているのだろうし、御坊から西御坊まで乗っても180円というのは、路線バス1回の運賃相当か、あるいはそれ以下だろう。不動産業者の鉄道部門・・・もとい鉄道会社の不動産部門ということで、何やかんや言って経営できるのだろう。「日本一のミニ鉄道」というのも付加価値を与えているように思う。

さて御坊からは紀勢線を北上する。今回は天王寺から紀勢線の往復ということで、一筆書き、循環ルートを好む者としてはあまりよいプランニングではないのだが、行きは特急「くろしお」、帰りは普通と快速の乗り継ぎ(しかも途中下車つき)にして少しでも変化をつけたつもりでもある。まずは和歌山行きに乗車。そろそろ冷える時季とはいうものの太陽が照ると暖かく、窓際の一人席に座ると、程よい感じで途中ウトウトとするのであった・・・。
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