まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

住吉大社・鯨まつり

2011年07月24日 | まち歩き

Dscn9647古くから海の守り神として信仰を集める大阪・住吉大社。今年は住吉大社が鎮座して1800年という特別な年ということで、夏の祭りも盛大に執り行われるという。

Dscn9606そんな中、「24日、57年ぶりに鯨まつりが復活」というニュースを見る。これは堺の伝統行事で、古くは鎌倉時代、堺の浜に現れた鯨を漁師たちが追いかけたがとり逃がし、その漁師たちを慰めるための祭りということで行われたそうだが、前回は1954年(昭和29年)に行われたのが最後という。今年は住吉大社鎮座1800年ということもあるし、東日本大震災での津波で多くの被害を受けた地域の復興を祈念してということもあって、地元の人が復活させたのだとか。

関西と鯨の関わりというのも古くからのものがあるし、現在でも鯨の食文化が残っている。何でもこの祭りでは鯨の山車が練り歩くとかで、24日は堺から運んできた山車を住吉大社に奉納するという。どのようなものか見に行くことにした。

Dscn9595住吉大社へは阪堺電車で行くのがお似合いである。天王寺駅前から乗車したが2つ目の松虫で途中下車。次の電車が東京都電塗装の車両ということで、これを見てみたかった。東京都交通局と南海電鉄がコラボ企画を行っており、そのグループ会社である阪堺電車、それと東京都電がお互いの塗装を「相互乗り入れ」するということをやっている。黄色の電車も青空に映えていいものである。さすがに昭和初期の車両は冷房装置がないためか出番はなかったが、この車両も昭和32年製造。沿線の風情と合わせてノスタルジックな感じである。

Dscn9600住吉公園に到着。住吉大社まではごく近い。

Dscn9603そしてやってきた大社には、法被姿の男性たちが黒い物体を囲んでいる。これが鯨の山車で、頭のほうと尾のほうの2両連結のような形。頭のほうには人が入るという。中でポンプを操作して鯨の潮吹きを見せるのだとか。

Dscn9613笛、太鼓の音がなる中、いよいよ山車が担ぎ上げられる。鯨が住吉大社を参拝するというところで、まず鳥居をくぐる。長さは12メートルほどだが、頭と尾の2両連結の動きは鯨が泳いでいるかのような動きを見せる。

Dscn9617時には口を大きく開けてみたり、水を出して潮を吹いてみたり。そのたびに多くの見物客のカメラが向けられ、歓声が上がる。

Dscn9622そして見せ場となるのが、社殿へと続く反橋。あの太鼓橋を渡るわけだが、まずは階段の上りで苦労する。角度が急で前と後でなかなか呼吸が合わず、周りからは担ぎ方とか角度とか、あれこれ指示が飛ぶ。なかなか難しいものだ。

Dscn9630それでも少しずつ階段を上っていき、ようやく鯨が反橋を渡るの図。鯨が生き生きとした感じに見える。

Dscn9635そして橋を渡っていよいよ社殿へと入るわけだが、ここでも一苦労。山車の幅が結構ギリギリで設計されているためか、慎重なかじ取りが求められる。途中「バキッ」という嫌な音もする。胸ひれのところが柱にでも当たったようだが、何とか少しずつ前に進む。

Dscn9638ようやく社殿へ鯨の頭が覗き込む。こうしてみると結構ユーモラスな感じで、「神社参りもなかなかしんどいもんやなあ」と鯨がボヤいているようにも見える。

Dscn9642第三本宮。ここで一旦小休止となり、見物客からは大きな拍手が送られる。この猛暑の中、担ぎ手も50人くらいいただろうが結構体力を使ったことであろう。

Dscn9649再び担ぎ上げられて、奥の第一本宮へ向かう。ここからは平坦な道のりということで担ぎ手にも再び勢いが出て、鯨も元気を取り戻したようだ。

Dscn9653鳥居をくぐって20分ほどで第一本宮に到着。ここで台座に据えられて無事に到着となった。

Dscn9664ここで鯨の奉納式ということで祝詞が上げられ、祭りの代表者らによる玉串奉納、そして見物客を含めて皆で二礼二拍手一拝。この鯨の山車、8月1日の住吉祭では今度はここから担ぎ出され、堺の出島まで練り歩くそうだ。それもまた面白い光景になりそうだ。

Dscn9661法被姿の男性たちの横には浴衣姿の女性たちも。私は住吉大社を後にしていたが、実はこの後で「くじら音頭」というものを披露したとか。

Dscn9674さてこの後、再び阪堺電車で天王寺に戻り、地下街にて昼食を兼ねての暑気払い。冷たいビールのあてには鯨の刺身・・・。たまたまメニューにあったので迷わず注文した(関西ならば「おばけ」という皮鯨も酒のあてにはもってこい)。まあこの鯨自体は調査捕鯨の払い下げ品ということになり、昨今の捕鯨事情やシー・シェパード等の反捕鯨団体のやり口に思いを致す。その一方で、古くから伝わる「鯨まつり」は捕鯨文化だけではなく、日本の食文化、生物への信仰文化という意味も含めて今後受け継いでいく必要もあるだろう。

いいじゃないですか、こういう素朴な祭り・・・・。

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