2022年3月26日。今回から、第7回心電図検定1級に出た問題の具体例に触れながらのお話。―と言っても、既にその殆どが、YouTube動画『心電図マイスターチャンネル』の「【復元】心電図検定1級 第7回 今年も受験してみました!」【2022年1月10日投稿】の中で解説されている。なので、こちらではブログ主が独自のコメントを書ける題材に絞って語っていくことにしたい。
●電極の付け間違い箇所を答えさせる問題
電極に関する今回の1級の出題ポイントは、「正常な心電図の基本的な姿を、ちゃんとイメージできているか」を確かめることにあったようだ。言わば心電図の出発点、足元の確認である。胸部誘導の波形はまず、V1の小さなRと大きなSで始まり、V2、V3と進むにつれてRが伸びる一方、Sが小さくなっていく。そしてV3からV4あたりでRとSの電位が等しくなる移行帯(←お彼岸のお中日みたいなやつ)を経て、V5、V6で逆転。RがSよりも大きくなる。Rは通常V5で最大となり、最後のV6でちょっと縮む。・・・この図柄が頭に入っていれば、今回の出題図を見てすぐに、「V4とV5が逆だろ、これ」と正解に気づけるわけである。検査技師さんの実臨床に沿った言い方をすれば、「秋組(あきくみ)の、明道君(あきみちくむ)」と付けていく電極のうち、今回は、「ち(茶色)」と「く(黒)」の順番を間違えてしまった心電図ということになろう。
●アーチファクトの種類を鑑別させる問題
アーチファクト問題は去年の第6回2級でも出ており、検定試験で好まれる題材の1つらしい。2級では『公式問題集&ガイド』とほぼ同じ絵柄で出題された(※正解は、接触不良だったかな?)けれども、1級は下記のようにちょっと捻(ひね)りが加わる。
「アカシジアの症状を示す患者の、この心電図から何が読み取れるか」。
えっ、アカシジアって、何? 見知らぬ言葉に一瞬あせるが、肢誘導に何やらケバケバした細かいノイズが見つかることで解決。「ああ、これは筋電図を拾ったな」と。『公式問題集&ガイド』にはパーキンソン病による振戦を起こしている老人の心電図が出ていて、正解が「筋電図」になっていた。それだ。当ブログ主は全くの素人なので、アカシジアなんて知る由もない。が、おそらく『公式』に出ていたパーキンソン病と同じように、本人には抑えがたい震えを起こす疾患なのだろうと。・・・5つの選択肢の中で筋電図を含む物は1つしかなく、なお且つ胸部誘導で確認されるPVC(心室期外収縮)にも触れている。なら、答えはもう、これしかない。「筋電図と心室期外収縮」。
―さて、上記2つの題材を勉強できる教材。当ブログ主が実際に使った範囲では・・・
◎「トライ!12誘導心電図を読んでみよう (全158問)」 (医学の友社 HPから)
昨年の2級シリーズで既に登場した、ネット上のクイズ・サイト。全体的には2級受検向けのレベルだが、今回のような出題が1級でなされたとあっては、改めて注目してよいサイトだろう。2級レベルの題材として夙(つと)に有名な“肢誘導左右電極の付け間違いと、右胸心の鑑別”は勿論のこと、今回の1級問題に類似した“V2、V3誘導の電極付け間違い”も出てくる。また、いきなり初見では気づきにくい“紙送りの異常を起こした心電図”なんていうのも、ある。2級対策のみならず、1級受検のウォーミングアップ用にも十分使えるだろう。問題数が豊富であることと、無料で学習させてもらえることが魅力。使わない手はない。
(※いつ頃だったか随分前、2級の受検勉強をしていた時、「胸部誘導の付け間違いかと思いきや、実はこの方、漏斗胸」という、凄いネタの心電図を目にしたことがある。どこで見たっけかなあ・・。)
◎『いつでもどこでも心電図判読 88+11問 増訂版』(上嶋健治・著 克誠堂出版)
ジャンパーや白衣のポケットにすっぽり入るぐらいの、コンパクトな本(縦17cm、横13cm、厚さ2cm)。当ブログで次回扱う予定の「キャリブレーション(=較正)」から始まり、各種アーチファクトの知識確認を練習の最初に行なっていく。全体的なレベルは2級受検者向けと思われるが、上記の「トライ!」サイトと並んで1級の準備開始に使うのも良いと思う。実際、ページが進むにつれて問題のレベルもしっかり上がっていくので、1級を目指すレベルの人でも飽きることはないだろう。・・・ただ一点、小さな本の割にお値段がちょっと高め(¥3980+消費税)なのが、玉に瑕ではある。
◎『実力心電図』(日本不整脈心電学会編)
心電図学習者界隈では知らぬ者なき、超有名本。「今回の題材が勉強できるから」という理由ではなく、ちょっとびっくりしたことがあったので御紹介。1月の試験後、何日か経ったところで何気なくこの本をbrowsingしていたら、62ページに何と、「V4、V5の電極付け間違い」という今回の1級出題ネタそのまんまの(但し、試験問題とは勿論違う)心電図が見つかったのだ。受検勉強中は気にもせず飛ばしていたページだったが、「こんな細かいところまで、自分たちが出している本からネタを引っ張り出すのか」と、もう驚くやら、笑っちゃうやら。w
―次回は、「キャリブレーションと、巨大陰性T波」。
●電極の付け間違い箇所を答えさせる問題
電極に関する今回の1級の出題ポイントは、「正常な心電図の基本的な姿を、ちゃんとイメージできているか」を確かめることにあったようだ。言わば心電図の出発点、足元の確認である。胸部誘導の波形はまず、V1の小さなRと大きなSで始まり、V2、V3と進むにつれてRが伸びる一方、Sが小さくなっていく。そしてV3からV4あたりでRとSの電位が等しくなる移行帯(←お彼岸のお中日みたいなやつ)を経て、V5、V6で逆転。RがSよりも大きくなる。Rは通常V5で最大となり、最後のV6でちょっと縮む。・・・この図柄が頭に入っていれば、今回の出題図を見てすぐに、「V4とV5が逆だろ、これ」と正解に気づけるわけである。検査技師さんの実臨床に沿った言い方をすれば、「秋組(あきくみ)の、明道君(あきみちくむ)」と付けていく電極のうち、今回は、「ち(茶色)」と「く(黒)」の順番を間違えてしまった心電図ということになろう。
●アーチファクトの種類を鑑別させる問題
アーチファクト問題は去年の第6回2級でも出ており、検定試験で好まれる題材の1つらしい。2級では『公式問題集&ガイド』とほぼ同じ絵柄で出題された(※正解は、接触不良だったかな?)けれども、1級は下記のようにちょっと捻(ひね)りが加わる。
「アカシジアの症状を示す患者の、この心電図から何が読み取れるか」。
えっ、アカシジアって、何? 見知らぬ言葉に一瞬あせるが、肢誘導に何やらケバケバした細かいノイズが見つかることで解決。「ああ、これは筋電図を拾ったな」と。『公式問題集&ガイド』にはパーキンソン病による振戦を起こしている老人の心電図が出ていて、正解が「筋電図」になっていた。それだ。当ブログ主は全くの素人なので、アカシジアなんて知る由もない。が、おそらく『公式』に出ていたパーキンソン病と同じように、本人には抑えがたい震えを起こす疾患なのだろうと。・・・5つの選択肢の中で筋電図を含む物は1つしかなく、なお且つ胸部誘導で確認されるPVC(心室期外収縮)にも触れている。なら、答えはもう、これしかない。「筋電図と心室期外収縮」。
―さて、上記2つの題材を勉強できる教材。当ブログ主が実際に使った範囲では・・・
◎「トライ!12誘導心電図を読んでみよう (全158問)」 (医学の友社 HPから)
昨年の2級シリーズで既に登場した、ネット上のクイズ・サイト。全体的には2級受検向けのレベルだが、今回のような出題が1級でなされたとあっては、改めて注目してよいサイトだろう。2級レベルの題材として夙(つと)に有名な“肢誘導左右電極の付け間違いと、右胸心の鑑別”は勿論のこと、今回の1級問題に類似した“V2、V3誘導の電極付け間違い”も出てくる。また、いきなり初見では気づきにくい“紙送りの異常を起こした心電図”なんていうのも、ある。2級対策のみならず、1級受検のウォーミングアップ用にも十分使えるだろう。問題数が豊富であることと、無料で学習させてもらえることが魅力。使わない手はない。
(※いつ頃だったか随分前、2級の受検勉強をしていた時、「胸部誘導の付け間違いかと思いきや、実はこの方、漏斗胸」という、凄いネタの心電図を目にしたことがある。どこで見たっけかなあ・・。)
◎『いつでもどこでも心電図判読 88+11問 増訂版』(上嶋健治・著 克誠堂出版)
ジャンパーや白衣のポケットにすっぽり入るぐらいの、コンパクトな本(縦17cm、横13cm、厚さ2cm)。当ブログで次回扱う予定の「キャリブレーション(=較正)」から始まり、各種アーチファクトの知識確認を練習の最初に行なっていく。全体的なレベルは2級受検者向けと思われるが、上記の「トライ!」サイトと並んで1級の準備開始に使うのも良いと思う。実際、ページが進むにつれて問題のレベルもしっかり上がっていくので、1級を目指すレベルの人でも飽きることはないだろう。・・・ただ一点、小さな本の割にお値段がちょっと高め(¥3980+消費税)なのが、玉に瑕ではある。
◎『実力心電図』(日本不整脈心電学会編)
心電図学習者界隈では知らぬ者なき、超有名本。「今回の題材が勉強できるから」という理由ではなく、ちょっとびっくりしたことがあったので御紹介。1月の試験後、何日か経ったところで何気なくこの本をbrowsingしていたら、62ページに何と、「V4、V5の電極付け間違い」という今回の1級出題ネタそのまんまの(但し、試験問題とは勿論違う)心電図が見つかったのだ。受検勉強中は気にもせず飛ばしていたページだったが、「こんな細かいところまで、自分たちが出している本からネタを引っ張り出すのか」と、もう驚くやら、笑っちゃうやら。w
―次回は、「キャリブレーションと、巨大陰性T波」。
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