息子達が水筒を持って学校に行った。運動会の練習なのだという。練習なのに水筒がいるという感覚は、なんとなく不思議である。
学校に通っている頃は、何を飲んでいたか。もちろん水道から直接水を飲んでいた。蛇口をグイっと上に向けて、口を近づけてぐいぐい飲む。
そういえば、まだペットボトルが普及していない頃、缶ジュースを友人同士で回しのみをすることがあった。男女がいる場合口をつけて飲むと間接キスなどといわれる。まあ、そうではあるが、普通は口をつけて飲むのが普通だろう。こぼすのがもったいない。
しかしながらこういう場合に留学生など外国人が混ざるとなかなか面白い。一律同じだとはいわないが、西洋系はハンカチなどで淵をふいたりする人が多い。飲む前も飲んだ後も。
僕の一番なじみのある中国系の人は、どういうわけか口をつけずに上を向いて自分の口に飲料物を落とすように飲む人が多いようだ。けっこう難しいのだが、時にはこぼしたりして楽しそうである。図々しいように見えて、こういうところは遠慮がちである。特に男女が混ざると、はっきりと意識的にこういうジェスチャーが大きくなるようだ。
さて、そういう観察をいいたかったのではなかったが、水筒を持っていくというのはなかなか楽しげである。最近はどこに行っても自動販売機というものが大抵おいてある。飲み物に不自由しないというか、ある程度の金さえ持っていれば、生活の上の渇きは心配する必要がなくなった。消費社会ということもあるし、公共の水がまずくなったということもあるだろう。人が行かないところとか、遠出をする機会がないと、水筒を持ち歩かなくなってしまった。
なんだか水筒を持って家を出るって楽しそうだなあと思って、子供の水筒に嫉妬した。そういうわけで、今日は水筒持参で出勤である。
さっそく先ほど蓋をコップに一口飲んだ。まだ氷がそんなに解けていないのだろう。濃くて冷たくて美味しかった。
飲料メーカーの営業妨害になるかもしれないが、水筒持参の習慣が普及して、それぞれちょっと一休みで自分の水筒からお茶を飲む風景がたくさん見られると面白いのになあ、などと夢想する。少なくとも僕の周りだけでも流行らないものかと思う。ただ、そういう場面を見てみたいだけなのだけど…。