カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

勢いで押し切ってしまった   007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

2022-07-23 | 映画

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ/キャリー・ジョージ・フクナガ監督

 過去に何か訳ありで雪深い山の中で襲撃された母子のうち、なぜか氷の張った池に落ちた娘は殺されずに生き残ったらしい。後にその娘は引退して悠々自適になったジェームス・ボンドと結婚してヨーロッパでバカンスを楽しんでいる。しかしそこで襲撃を受けて、どうもその嫁さんであるマドレーヌにも秘密があるらしいとボンドは察し、駅で別れて疎遠になってしまう。そうして月日は流れ、ジャマイカでのんびりしているボンドに、また仕事の依頼が来る。一度は断ったもののいきさつがあり、結局は新たなミッションに向けて動き出すのだったが……。
 展開が早くて、最初はちょっと何が何だか訳が分からない。伏線が貼ってあるらしいことは分かるが、それをたどるだけでも大変だ。アクションもふんだんに大変だし、いったい今は何がどうしてこうなったのか、考える時間が欲しい感じ。いちおう整理しながら考えるけれど、そういうのはあまり重要ではないような扱いを受けたりする。ともかく尺は長いが忙しい内容ということになろう。
 そういえばビリー・アイリッシュの歌う主題歌は知っていたので、ああ、この映画のものだったんだ、とは思ったが、これってやっぱりダニエル・グレイグとしては最後なんだろうな、というのは分かる。あとで解説を見てもそう書いてある。しかしながら、それでいいのかな、とは思うけれど……。ジェームス・ボンドは誰でもいいとは思うけど、ダニエル・グレイグの作品群が、やっぱり何と言ってもかっこいいのは確かだった。他のは当時の世相もあるだろうけど、やっぱりなんだか人物としては薄っぺらい。そういうのを払拭して新しいものを作り上げてきた歴史のようなものを背負っていたところは素晴らしかった。本作もそういうところはあるにせよ、終わることにはやっぱり寂しさを拭えない。はっきりしないし、プロットはあまり良いとはいえないまでも、勢いで押し切ってしまった。こういうカッコよさもあるというのは分かるんだけど。
 しかしまあ、本当の不満は、偶然の要素が多すぎることと、やっぱりボンドが超人的過ぎる強さがあることかもしれない。リアルである必要のない作品かもしれないが、本当のスリルということでは、物足りない。血の通った人間だから、恐ろしさがあり、そうして爽快さがある。アクション映画には、そういうことも求められるように思う。最近の派手なアクションには、それが無さ過ぎて過剰になりすぎてしまった。架空なものがさらに混ざって、説明も必要になっている。漫画的にはいいのだが、それは漫画に任せるべきではなかろうか。
 長すぎるので分けて観たが、いちいち少し時間をさかのぼらないと覚えていなかった。今でも細かいところは思い出せない。それは僕が年を取ったせいもあるだろうけど、やはりこれは何か詰め込みすぎてしまったということもあるだろう。豪華だけれど今一つ、な印象になってしまうのは、つまるところそういうところなのではなかろうか。
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