冷たい熱帯魚/園子温監督
小さい熱帯魚屋を営んでいる社本の家庭は、後妻と娘との関係があまりうまくいってない様子。そんな折娘は万引きをする。お店に謝りに行き引き取ろうとすると、スーパーの店長と懇意にしているらしい村田という男が間を取り持ったうえに、娘を自分の大型熱帯魚店で働かせるために引き取るという。なんだかすべて円満にいきそうにはなるが、同時に村田の怪しい商売の仲間にずるずると引きずり込まれることになるのだった。
最初からなんとなく怪しい雰囲気で、出てくる女性は不必要にやたらとセクシーな格好をしているし、村田を演じるでんでんの演技もじわじわと恐ろしい。そうしてついにはエログロとスプラッタ・ホラーの世界にどっぷりとつかっていく。そういえば園子温監督作品だったな、とは思ったもののもう遅かった。こんな変な作品、とても家族と一緒に観ることはできないよ。
そういう訳で、途中からぼちぼち残りを断片的に観て、なんとか最後までたどり着けた。もう気持ち悪かったり頭がおかしくなりそうだったりして、観ている時間が本当に苦痛だった。エロもすごいけど、グロも気持ち悪いし、とてもそんなものは楽しめない。もう心の中で、グエーッとか、勘弁してくれーっとか、うめきながら苦しんだ。もうこんな映画撮らないでくれよな、頼むから。
でもまあ、それだけ凄い映画だけど……。評価が高いのは、これほどの変態映画は、そうそうまじめに撮られることは無いだろうからだろう。いろいろ規制されるだろうし、まともに地上波で放映されることも無いだろうし、ふつうの人が見たところで、ショックを受けるだけのことで、意味なんてほとんどわからないだろう。観る間はとにかく苦痛だけど、嵐が過ぎ去った後には、凄いもの見たな、という感慨だけは残るかもしれない。いくら仕事とはいえ、俳優さんたちもよく出演したもんだ。これに出たからと言って、家族に紹介する気にもなれないだろうしね。自分の子供に見せられるんだろうか?
とにかくそういう訳で、万人にお勧めするわけにはいかない作品。凄いけど、それは凄く良いとかいう意味ではない。本当にできれば観ない方がいいとさえ思う。でもほかの作品も気になるんだよね、こんなの見せられると。
まったく困ったもんだ。