生きてるだけで、愛/関根光才監督
原作小説があるらしいが、未読。精神病で苦しんでいる女性と、同棲しているが出版社の事情で苦しんでいる青年の恋物語。病気だから仕方がないとは思うが、同棲相手の部屋で引きこもりが続いており、家族は心配している。また電話で非難されたりもしている。なんとか働こうとしてもおり、面接を受けたりするが、どうしても朝時間通り起きることができない。でもまあそういう事情をくみ取ってくれる店が現れて、働くことになるのだった。
一方同棲相手の男の方は、零細ゴシップ出版社で、ぼーっとしているようには見えるが、まあこれも必死に働いている。労働時間は長いし、実際は書きたくもない記事を、仕方なく面白くもなく書きつらねているストレスが溜まりまくっている。病気の同棲相手を上手く気遣う余裕さえなくなっているのかもしれない。
二人のそういう状態を描いていく中で、良くなったり壊れたりする様子を描いた作品のようだ。最終的にどうなるの? ということでもあるんだが、これでよかったのだろうか。
いわゆる映画なので客観性はあるわけだが、おそらく主人公の視点で嫌な奴がたくさん出てきて自分を苦しめていく。行動範囲というのもあるんだろうけれど、なかなかに逃げ場がない。病気だから病院に行くべきだと思うのだが、病気だからだろうか、そういう方面には気が回らないものらしい。苦しんでいるが、朝起きるのはどうしても苦手である。仕事も失敗ばかりしている。が、なんとなくはやれるようにはなっている。相方も苦しんでいるが、ちゃんと支える余裕のようなものが無くて、これでは共倒れである。
こういう具合に苦しんでいる都市生活者という人々が、たくさんいるのかもしれない。そういうところを描き出した作品なのだろう。楽しいものではないが、病気の理解にはなるかもしれない。ともかく、同情できるかどうかもありそうだけど、当事者は大変なんだろうな、ということなのであった。