オブリビヨン/ジョセフ・コシンスキー監督
未来の地球。異星人の襲撃を受けて壊滅的な被害を受け荒廃している。いまだに地球に生き残っている異星人の駆逐のために、ドローンとその整備を受け持つ主人公(+彼女?)が地球警備にあたっているようだ。ある日宇宙船が地球に墜落、生き残った一人の女を救助するが、何故か自分の名前を呼んだようだ。その謎は引っかかるが、理由は分からない。その上、危険なのでやめるように言うが、大破した宇宙船に残されているドライブレコーダーを回収すると言って聞かない。仕方なく危険地帯に舞い戻ると、二人は何者かに捕らわれてしまうのだった…。
映像は美しく、特撮の水準も高い。物語は意外な展開を見せて、中盤に世界観がガラリと変化する。その後はスターウォーズになったり、さらにものすごく意外な結末を迎えることになる。
聞くところによると激しい賛否があるらしいが、まあ、そりゃそうだろう。世界観や設定はなかなか面白いと思うが、だからといって最後に物語を壊す必要などなかったことだろう。思わずずっこけてしまうけれど、それもまあ愛嬌と笑ってみるより無いだろう。面白くない訳では無いお話で、しかし納得がいかないだけのことだから。
僕らが生きている間に宇宙人と接触できるだろう確率は限りなくゼロに近いが、もし相手が接触してきたとして、地球人が滅ぼされる確率は極めて高いだろうと考えられている。なぜ遠くの宇宙から地球を求めてくるのかという問題を考えると、そのリスクを取ってでも欲しいものがあるからである。地球人は必ず妨害するので滅ぼされるということだ。まったく文明的には勝ち目がない。宇宙人が好戦的である根拠は無いと考えている人もいるかもしれないが、それは楽観的すぎるし、的外れなのだ。
地球人は地球が滅びようと、恐らくここに居続けるより他に生き延びられない。要するに地球に残された時間しか生きられない。もっともそれは、個人の時間軸からするとまだ余裕があるはずと期待できる程度である。宇宙人と出会えない人生。それは一時の幸福な時間なのである。