バンブルビー/トラヴィス・ナイト監督
子供向けロボット映画のようだ。少なくとも政治的な背景や展開は、そういうゆるい感じの脚本の設定がなされている。アメリカ映画にはこれが多いのだが、脚本が子供のことをよく分かっていないのだ。だから胡散臭い物語に成り下がっている。細部に面白さがあるがゆえに、残念な感じかもしれない。
観ていないので知らないが(監督が嫌いなので観る気になれない)、トランスフォーマーという映画あるらしく、それのスピンオフ作品のようだ。自動車などから形を変えることのできるロボットがいて、これが人間社会で活躍する。非常に高い文明下の戦士のような存在のようで、地球とは違うところで戦争をやっていたけれど、地球に逃げてきた奴がいて、それを追ってきた悪党二人が襲ってくるという設定だ。その間の平穏な時間を、ハイティーンの女の子と友情を育てるという物語になっている。この女の子の設定も、ある意味で典型的すぎてどうなのかというのが多く、まず倫理的に落ち度のある行動ばかりとっているのに、主人公だから許されるというエピソードが多すぎる。自分が失敗して相手に損失を与えているのに、相手が許しているにもかかわらず復讐して痛めつけたりする。今時いじめっ子でもそんなひどいことはしない。そうしているのに、それがギャグとしての笑いどころになっている様子だ。アメリカ社会では、いじめ問題は深刻ではないのだろうか?
ロボット同士のアクションはCG的過ぎて面白みは無いが、主人公に激しいハンディキャップを負わせながらも、何の工夫もなく強力な敵を倒せてしまう。結果的に相手が馬鹿すぎたか弱すぎたせいのような印象を与えていて、これもどうなんだろうか。やはり脚本が悪いと物語は挽回できない。最初に地球に降りてきてのカーチェイスの緊張感は良かったのに、ロボット同士だとダメなのは、やはり人間的なものが混ざらないと、こういうものには緊張感が保てないのかもしれない。機械の顔がいくら苦痛に歪んだとしても、どこか嘘っぽいのかもしれない。
まあこれを最後まで観てしまった僕が、一番の敗因かもしれない。皆さんは観ないように!