カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

飲酒運転撲滅運動

2007-06-22 | 雑記
 年に一回の交通安全講習会。丸一日缶詰の拷問の日である。交通安全は大切なことだが、天下り団体のために付き合わされる事業所はつらい。いろいろ制約があって、お金も時間もとられる。権力というのは恐ろしいものである。こちら側の申し開きは一切認められない。一方通行の仕組みというのは、本当にどうにもならない。改善できないので、さらに増殖していく。つまり手がつけられないのである。
 最初からいたたまれなくなるビデオを見せられる。
 会社の新人歓迎会で回りから強引に勧められて仕方なく飲んでしまう。仕方が無いので最初はタクシーで帰ろうと思っていたようだが、そのタクシーがなかなかつかまらない。それで駐車場にとめてある車で少し仮眠を取って帰ることにした。ところがけっこう飲んでいたらしくそんな簡単に酔いが覚めていたのではなかったのだろう。運転しながらついウトウトしたところで自転車の女をはねてしまう。
 ここからの転落ぶりが凄い。結局女は死んでしまうのだが、もちろん残された家族はこの不条理を許すわけが無い。当然のように詫びなど受け入れられない。愛娘を失ったショックで精神も病んでしまう。加害者の会社は事故が大きく報道され、大口の契約を失うし、幇助の罪にもとわれることになる。加害者は当然クビになるし、収入の道は閉ざされる。慰謝料は億を超えるので、保険でまかなえるものではない。奥さんは近所の陰口に悩まされ心労で流産してしまう上に、刑務所の夫の分まで働かなくてはならない。幼子は深夜まで保育所に預けられっぱなしで寂しそうである。ローン途中の家も売り、近く結婚を予定していた妹は、人殺しを出した家からは結婚式など出せないという理由で式を挙げられなくなる(もちろんその金は慰謝料の一部にあてられるわけだ)。加害者はいくら悔やんでも刑務所の中である。これからの一生はつぐないの一生だと誓うのである。
 確かに事故とは恐ろしいものだという啓蒙のための物語だし、実際にこのような人がいることも本当のことだろう。交通事故とは、起こってからではつまるところ取り返しがつかないことなのである。
 どんよりと暗い気分になって、さらにいろんな統計を見せられたりして、一日中拷問は続いていくのであった。
 しかしながら、僕は本当は知っている。これは正直者はバカを見るという現実に過ぎない。この加害者はバカ者には違いないが、善良だからこのような悲劇から逃げられないのである。このような人間的行為をまっとうする気持ちがあるから、素直に刑罰を受けることになる。現実社会の多くの加害者は、このような善良な人ばかりではない。むしろ自分の非を認めず、被害者をさらに追い込んでゆく。法が厳罰化されていく現実は、そのような非道の者を許せないからである。すると皮肉なことに、さらに善良な者を激しく鞭打つ方向にもつながっていくのである。こんなサイクルこそ、本当に馬鹿げたことではないか。ひどい目にあうのは、ちゃんとした極悪人であって欲しい。その願いはなかなか叶いがたい現実なのであろう。
 というわけで、僕はちゃんと代行運転を呼ぶ毎日です。つれあいには悪いのだが、飲む可能性が高い会議には極力送ってもらうことにしている。ビデオの加害者のように、車で帰る気が無くてもタクシーがつかまらなかったり、魔がさして「乗っちまえ」という気分にならないとも限らない。リスクはできるだけ排除しなければならない。意思で何とかコントロールできるほど、人間は強い動物ではない。それができるなら、太った人など世界から消えてしまうであろう。ああすればよかったということは後から考えることであって、今考えられることなのではない。失敗が許されないことは、現実に今防御策をとらなくてはならないことだ。究極には酒を禁止するか車を禁止するということだが、それは現実的ではない。善良な人間は、守ることを攻めるように現実化していくことである。
 鉄は熱いうちにということで、早速職場でも研修の報告会をした。さて、自分のことのように思ってくれたであろうか。善良な人は、そう思ってくれると信じよう。
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2 コメント

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Unknown (T)
2007-06-22 14:07:06
どうしても気になったんで。。

「魔」が差しました(^_^;)
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Unknown (korin310)
2007-06-22 18:27:44
いつもご指摘ありがとうございます。速やかに修正いたします。
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