風邪をひいて具合が悪いのは当然だが、いつまでも具合が悪いでは済まないのが浮世のつらいところだと思っていた。まあ、多少は無理もしないと務まらないという感じはあるようだ。年末でもあるし、もちろんやることだってある。
そうやってちょっときついなとは感じながらも、片付けるべきは片づけておくという律義さは、少なくとも持ち合わせているつもりではあったのではある。
そういう訳で、少し先延ばしにさせてもらっていた忘年会のようなものに参加する。風邪で髭も剃れないので、風貌もそれなりにワイルドになっている。話のついでに風邪の話になると、まあ、大変ですねということにはなる。実は昨日までは熱があって寝てました、ということになると、少し相手の顔色が変わる。どの程度の熱なのか、ということらしい。素直に9度近くなってまいりました、というと、やはりインフルエンザではないか、と声が出る。むつかしいものだな、と思うのだ。
まあ確かにうつすのはよくないことだとは思うけれど、このような空気の中では、たぶん熱のことは隠す人も出てくることだろうなとは思う。結果的にそのことがどうなのかと、いうことにもなるのではないか。風邪気味の人は出歩かないというモラルは理解するにせよ、これを先に利用するのは、おそらくそういう根拠を必要とする人であろう。
まあしかし、相手方はあんまり酒は得意でないというので油断した。僕としても病み上がりだし、適度で失礼する算段もあって風邪を持ち出したのだったのだが、酔うとそこのあたりの計算は狂うことになる。すでにタクシーは呼ばれ二次会へ。主賓はそこで睡眠に入るが、そのつれが歌好きでママさんたちとデュエット大合唱になった。確かにやたらに歌が上手い人で、聞く分には苦痛ではないにしろ、時間の経過はそれなりのダメージとなっていくのだった。
要するにまたぶり返したようだ。まあ、これは自己責任には違いなくて、まだ忘年会ロードは序の口なのであった。仕方がない。精神力で治すよりあるまい。
そういえば、一時会でY泉君とばったり会って、結婚式に誘っていいかと問われたことを今思い出した。いきなり会ってそういうことを言われたので、ろくにお祝いの言葉も出なかった。しかしそれにしてもいつ結婚するというのだったろうか…。