カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ベニスの商人

2011-02-10 | 映画
ベニスの商人/マイケル・ラドフォード監督

 差別的なお話だというのはなんとなく知っていたが、ここまであからさまに差別意識を表に出した話だとは正直言ってびっくりした。当時はこれでカタルシスがあったのだろうけれど、今となっては非常に後味が悪い。素直に読むのなら、西洋合理主義の批判なのかもしれない。
 まあしかしそのようなことではあるにせよ、このお話が面白いというのも、もちろん分からないではない。会話がひねくれているし、妙な習慣もそれなりに面白い。金貸しの哀れさも、人間として正直に生きていても報われないという現実のメタファーかもしれない。金貸しのユダヤ人は、なんとなく日本人のような感じもするし。人を騙しても面白可笑しく、自分たちが楽しければ人生が勝ちだという西洋的な楽観と対比して、あまりにつまらない執着のせいで自滅してしまうからだ。命だけは助けてもらえて、それだけが儲けものだ。
 賢く金儲けをした方が最終的には偉いというのは、現代にも十分受け継がれた思想なのかもしれない。つまるところそういう人たちが早くに勝利者として今は君臨しているわけで、やはり単純に力強いものがあるのだろう。もちろんそのまま勝者として君臨し続けられるのか分かりはしないわけだが、利子を考えだした賢いユダヤであっても、彼らには本当に勝つことができなかったというのが歴史なのかもしれない。
 虐げられるものが例え優位な立場になろうとも、復讐などもくろまずにさらに相手に譲歩しなければならない。そのような教訓は得られるようにも思う。つまりはインビクタスでなければ革命は成就しない。ネルソン・マンデラは、シェイクスピアを読んだのではないだろうか。
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