ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋/ジョナサン・レヴィン監督
勤めている出版社が、敵ともいえる大手の出版社に買収され、激怒したフレッドは勢いで辞職してしまう。そういう彼を慰めるために友人が誘ったパーティで、女性のやり手の国務長官が出席していた。実は彼女はフレッドの幼なじみであった。ちょうどそのシャーロット国務長官は、次期大統領選に出馬を画策しており、ジャーナリストであるフレッドをスピーチライターとして採用することにする。フレッドは、生きたスピーチのするためには、シャーロットのことをさらによく知る必要があると急接近するうちに、さらに親密になっていき……。
まさにありえない設定の上にありえない恋が展開されるわけだが、いわゆるロマンチックというのはどうなのだろう? 下ネタ満載で、セックスシーンもほぼギャグである。会話はジョーダンばかりだし、国際関係の重要な対談はドラッグでラリッて対応してしまう。ハチャメチャコメディで突っ切ってしまう物語である。
もともと現大統領が次期大統領選に不出馬するということから、初の女性大統領を目指すという伏線がある。勝つためには現大統領の力を借りなければならないし、嫌な奴だが権力者であるメディア王の言うことも聞かなくてはならないという立場である。そのために、高校生のころから最大の関心事である環境問題を、国際協力のもとに何とかしたいという夢の実現と天秤に掛けなければならない状況になる。政治的な駆け引きを取るか、実際の重要なアジェンダを取るかという選択を迫られることになる。さらにちょっと不釣り合いな男とともに。
結局ノレるかどうかという感覚の問題が大きいと思う。現実とのあまりのギャップに、それは無いだろうと思ってしまうとダメな映画かもしれない。シャーリーズ・セロンは、若い頃からセクシー女優としてスパッと脱いでしまうようなところがあったが、今回も脱がないまでも妙なセックスはさせられるし、重要である。いわゆる男性の理想像なのかもしれないが、女性的にもかっこいいのかもしれない。実際にこんな人だったら、大統領になれるかもしれない。そもそも目指さないだろうけど。