修羅雪姫・怨み恋歌/藤田敏八監督
一応続き物だが、話自体が続いているわけではない。復讐を遂げて警察に追われる身になった雪だったが、逃亡に疲れて結局捕まって死刑を宣告される。が、秘密警察という組織に助け出されて、そこでスパイ工作のようなことをさせられるのだった。今回は雪の怨念(というか母の)を晴らすという主目的が消えて、能力を買われて殺し屋として活躍する姿に特化している感じである。ちょっと違うがゴルゴ13である。さらに非常に政治的な背景があって、出ている悪人はもちろん善人側の人もキャラが濃くて非常に漫画チックである。殺陣でのスプラッターぶりも凄まじくなっていて、面白いが、理解して喜んでいるのは、マニアックなファンだけなのではなかろうか。いや、そういう映画なんでそれで十分いいのであるけれど。
ということで、梶芽衣子のダークで美しい魅力を十二分に楽しむための映画で、そのために濃いメンツがそろって変な感じになっているのがさらに面白いわけである。もうこんな映画は、まじめに作られることは金輪際無いのだろうな、という不思議な感慨を抱くことになるだろう。まったく変な国に生まれたものだな、とも思う。それを誇らしく思うかどうかは、個人的な差がある事であろうが。