フルーツサンドが日本独自のものらしいというのは、どこかで聞いたことはあった。欧米の人(パン文化圏の人)からすると、それなりに奇異な食べ物に感じられるものらしい。日本人が最初にカルフォルニア・ロールを見た時と似たようなものだろうか。まあ、あれはじきに慣れてしまったが。欧米の人ではないが、確かにあれは甘いケーキの分類であるようには感じていて、昼食にあれを食べる人は、昼にショートケーキで済ませるような感じがあるのではないか。そういう意味ではおやつであって、昼食などの食事とは別なような気がする。
また、カツサンドのようなものは、もともとパン粉を使ってあげてあるのをまたパンで包むというのが変な感じらしい。レンジがあればいいけど、冷めていても食べるというのは、ちょっともったいない気もする。絶対にアツアツの方が旨いわけだし。
日本のサンドイッチの多くは、パンの耳を落としてある。もったいない感じが嫌だけれど、それだからおいしいという感覚はそれなりにわかる。パンの耳自体はまずいわけではないにせよ、具材との雑味を無くすという意味では、切ったほうがさっぱり美味しい場合はある。かなり贅沢だけど、そのような食品文化の残飯を増やすことに抵抗のない日本人らしい食いもんかもしれない。
ランチパックのパンは、いつまでもしっとりした食感を保つために、砂糖をパン生地に配合してあるらしい。大福もちの餅がいつまでも乾燥しないのと同じ要領だという。だからと言って生地自体が甘いわけではない配合だそうだ。そういう工夫は技術革新だからいいけど、本来のサンドイッチとは、やはり別物ではあるのだろう。出来上がり具合も、やはりちょっと違うものだし。何か一個では物足りないが、ちょっとしたつまみの食べ物としては、重宝するものである。
ハンバーガーとは基本的に違うのは、やっぱりハンバーグを挟まないというのと、具材があまりはみ出さない程度、というのはあると思う。日本人であっても直接手でつまんで食べるということに抵抗の少ない食べ物でもある。
また、売ってあるものを買うという文化は最近のことであって、基本的には家庭の味のようなところもあったように思う。少なくとも僕にとっては一種のおふくろの味で、キュウリや卵の入ったサンドイッチがたくさん食卓に並んでいたり、またはピクニックのようなときに昼時に食べるのがたいへんに楽しい記憶がある。忘れがたき黄金の記憶といっていい味だろう。もちろんコンビニなんかのサンドイッチを、教室や学生ラウンジなどで休憩時間に食べた記憶もあるんだけれど、それはほんの一時の習慣に過ぎなかった。大人になったら御握りでないと腹持ちもしない。そうしていつの間にか、食べなくなってしまったのかもしれない。
今のサンドイッチは、やはり新しい文化なんであろう。