カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

山の暮らし恐るべし   WOOD JOB!神去なあなあ日常

2016-02-03 | 映画

WOOD JOB!神去なあなあ日常/矢口史靖監督

 原作は小説。大学受験に失敗し、彼女との関係も壊れたような感じになって、さらに自堕落に陥った青年が、ふとかわいい女性の載っているパンフレットに目をとめたのが、林業の研修公募だった。旅行気分で参加することにしたが、携帯電話もつながらないような環境にすぐに逃げ帰ろうとするも、帰りの汽車は6時間後ということで、ズルズル参加してしまうことになってしまう。隙を見て逃げようともしたが上手くいかず、甘い考えではもともと勤まらない世界であるので、さらにどんどん嫌になっていく。ところが実際に大木を倒す場面に遭遇すると、それなりに感じ入るところがある。嫌な気分は抜けていないにしろ、さらにちゃらんぽらんな若気のいたりも治っていないが、少しずつ、山の生活に馴染んでいくのである。
 基本的にギャグ満載の娯楽作品なのだが、これが実にそつなく良くまとまっている。素直にげらげら笑いながら観ていて、ちゃんと山の生活の酷さと素晴らしさが同時に理解できる仕組みになっている。単純に自分たちの為だけでなく、自然の営為の中で人間がとけこんで暮らしていく敬虔な姿も、主人公を通して理解していくことが出来る。それは言葉でない何かがあって、実際に不思議なことも起こるのだが、それが単なるファンタジーということでは無くて、人間が生きていく根元的なテーマともつながっていくようなところがある。田舎も批判しているが、同時に都市生活も皮肉っている。単純に林業という職業が素晴らしいということを訴えていないところに、さらにこの映画の素晴らしさが見て取れる気がする。むしろ良く出来すぎていて、そういうところが気に食わないというヒネた見方をしたくなるくらいに良くできた映画なのである。ギャグが素晴らしいだけでなく恋愛映画としてもさらりといい感じで、そうして人間のサクセス・ストーリーとしての爽快さがある。欲張りに全部あって全部いい。
 主人公を演じる染谷将太はもちろんいいが、粗野な感じの伊藤英明もいい。さらにヒロインの長澤まさみのあまり可愛くないところもいい感じだ。楽しいのであっという間に終わる感じだが、まだまだ山のエピソードが続いて欲しい。そんな感じの快作なのだった。
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