カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

僕らのミライへ逆回転

2012-04-02 | 映画
僕らのミライへ逆回転/ミシェル・ゴンドリー監督

 古い建物にあるマニアックなレンタルビデオ店は、立ち退きを迫られている。そうした中、電子的な事故(?)によってビデオの中身がすべて失われてしまい、仕方なくその内容のものを自分たちでリメイクして、いわばごまかして自主製作することになる。ところがそのチープな作りがかえって話題を呼び、噂が噂を呼んで客が殺到する。しかしメジャー映画をそのままリメイクしているために不法コピーということになってしまい、かえって巨額の負債を抱えることになってしまうのだった。起死回生をかけて、オリジナルの映画製作に乗り出すことになるのだが…。
 相変わらずのジャック・ブラックの激しいテンションの高さにウンザリしながらも、出演者はそこそこ豪華ながら物語はどんどんチープになっていって、なかなか楽しめる。何となくお説教くさくなりそうな感じもしそうで、そこそこで踏みとどまる自制も効いていて、これでいいのかどうか疑問が満載になりながらも、だんだん気分が温かくなるという不思議な感覚に捉われる。
 そういう映画なんだということに納得できれば、これはなかなか良くできたファンタジーだと思った。実際の法律がどうなのかは知らんけど、このようなパロディをみんなで作るというのは、本当に楽しそうだ。チープだからアイディア勝負するしかないのだけど、似てるが似てないという変な映画になるところが、人気の出た秘密というところだろう。もちろんそんなセンスのいい客がそんなにいるとは思えないのだが…。
 メジャー作品なのに非常にチープで馬鹿馬鹿しいのだけど、こういう作品がほのぼのと作られるという需要が、逆に大きな懐の深さを感じさせられる。いや、案外日本の方がこのような映画を好きだという人も多いような気がしないではない。もう少し厳密に法律を守るべきだという考えの人もいるのかもしれないが、何しろ適当に自由で、そしてなんだか公民館を中心とする身近なコミュニティのような感覚がある。
 もちろん日本においても、多くのまちでは、そのようなコミュニティは崩壊してしまったような気がしないではないが、田舎では当たり前のようにいまだにちゃんと存在している。そういう社会をドキュメンタリーにしたら、このような映画になってしまうのではなかろうかと思ったのだった。
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