カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

働くブラック業界の実態?   ハケンアニメ!

2023-02-08 | 映画

ハケンアニメ!/吉野耕平監督

 原作小説があるようだ。他に関連の作品などがあるのかは不明。
 題名を見て、実際にみる前ではアニメ制作で働く「派遣」の人々の悲哀の物語かなんかだと勝手に思っていたが、ハケン違いでライバルと競争して「覇権」争いをする話だった。
 夕方5時台のアニメというのは、子供向けながら大きな商圏を有するものであるらしく、ここでヒットを飛ばすと、業界自体が盛り上がるのみならず、関連グッズも含め壮大な売り上げが望めるアニメ市場であるらしい。そこでライバル放送局(や関連会社)どうしのつばぜり合いがあって、これを覇権と言っているようだ。そのライバル監督同士が、天才と言われながらそのこだわりの強さに降板の続いていた男と、元はその天才に憧れてこの業界に入った新人の女性監督だという図式がまずある。それぞれには様々な問題を抱えていて、単にアニメ制作で作品が競っている以上に内部でも激しい争いや戦いめいたものがある。そのような業界内部の事情を含め、いかにクオリティの高い作品が作られていくのかという物語である。
 それなりに複雑なプロットになっているのだが、アニメに何の感情移入の無い人間であっても、それなりに楽しめるエンタメ作品になっている。基本的に人間物語で、アニメという複雑な作画を含めた台所事情そのものが、なかなかに面白い職人芸的な産業構造になっている。これで元を取ろうとしていることにも驚きだが、時間の制約のある中で、無理を押し通してもやらなければならないことがあるという、仕事術のようなことにもなっている。
 実際このような壮絶さ無しに、面白いアニメは作れないのかもしれない、という気分にはさせられる。
 ただし、一方では新人監督が果てしなく苦労しているように見え、一方の天才は、絵コンテは書くが苦労しているのはプロデューサーである。これって著しく不公平に思えるのは、僕だけだろうか。
 いろいろ詰め込みすぎてやや食傷気味にはなるが、こういう世界が魅力的なのは確かだ。まあブラックな世界ではあるわけだが、夢を抱えて働く人間というのは、少なからずそうなってしまうものなのかもしれない。期間限定で頑張って下さい。
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