サザエは、日本では1万年くらい前から食べられていたとされる。どういう訳か朝鮮半島や日本列島などの東アジアにしか生息していないようで、主に日本の食材として海外では有名なようだ。というか、そういう事情もあって、よその国ではあまり食べられない珍しい食材なのかもしれない。
もっとも日本のサザエの特徴であるトゲのあるものが珍しいようだ。日本ではトゲのあるものとないものは、長らく環境によって違うのであろうと考えられてきた。荒い磯にあるものは流されてもトゲがあるので、どこかに引っかかるなどしてトゲが発達した、といわれていた。しかし実際にトゲのあるものとないものは混在していて、雌雄によって多少の味の違いはあるものの、トゲのあるなしで味が違うとは考えられていなかった。ということと、環境説と遺伝説が混在して、サザエとはそういうものだ、ということになっているのかもしれない。
ところが実際にはトゲの無いサザエは中国よりも南海などには居るようで、品種がちょっと違う。瀬戸内とか波の少ない内海に多いとされるトゲの無いサザエは、そのような南海サザエと遺伝的に近い可能性は無いのだろうか。品種が違うと考えている人は他にもいるようで、ヒメザザエとして別に売ってある場合もある。百科事典などで調べてみたが、そこのあたりはあまりはっきりしない。やはり同じ磯に混在している為であろう。
サザエは比較的高級食材の一つだが、長らく食べられてきた大きな理由は、たくさん取れるからである。千葉などの地方では、サザエがふんだんに取れ、以前は肉の方が貴重だったから、サザエカレーが名物になったともされる。取れすぎるので、いろいろ工夫して食べられているということだ。また、硬い食感と相まってかすかな苦みと甘みが混在した独特の風味が、長らく愛される日本の味ともいえるのかもしれない。
刺身でも美味しいと思うが、やはりサザエはつぼ焼きにして食べるのが一番だろう。考えてみるとかなり残酷な食べ方だが、サザエの方も一度漁協などの水槽で休ませて、獲ったばかりのストレスを取って元気にしたものを食材にしているものが多いのだそうだ。さらに残酷なことだが、結局人間はそのようにして自分の欲望のために、生き物をいじめぬいて美味しく頂いているのだろう。合掌。
やっぱサザエはつぼ焼きですね~。