カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

イノシシの自然を取り戻そう

2020-12-20 | Science & nature

 イノシシの問題を扱うテレビ番組を見た。今年はうちの田んぼでも大きな被害を出している。収穫前にやられたのでダメージが大きかった。結局それ以上のことを考えて、稲刈り時期を少しだけ繰り上げて対応してもらった。コメの質自体はまずまずだったので、担当者は返す返す残念がっていた。
 そういう経緯もあるからさらに興味深く見たわけだが、まずイノシシというのは多産である。5・6っ匹ウリ坊をつれているなんてことは珍しくないことで、まあ、ぞろぞろ連れて歩いているものである。当然それには訳があって、子供のころに天敵に襲われることや、事故などで亡くなることも多いために、ふつうは成人化する率は半分くらいといわれている。要するに減るのを条件に多産になっているのではないかと考えられている。
 イノシシは身体能力も高く、足も速くて小回りもきく、ジャンプ力も持っている。雑食性で何でも食べて、農作物の被害で悩まされている。さらに学習能力も高く、つまり頭がいい。ふつうの豚でも飼い犬よりは頭がいいとされているので、野生のイノシシなら、さらにそれより頭がいいのかもしれない。
 さて、そういうわけで、各地でイノシシは大量に駆除されている野生動物だ。それなりに大きな個体が駆除もされており、一定の効果が見込まれるはずだった。ところが駆除されたイノシシの骨格や歯を見てみると、実はまだ成人していない子供の個体ばかりだったという(それでもそれなりに大きい)。子供は経験も少なく、まだ人間の罠などにかかりやすい。そうして駆除された子供の状態を近くで大人イノシシが見て、もう二度と罠などにはかからない賢い個体が増えている可能性があるのだという。大人なのでこれまで通り変わらず子を産んで増え続けるので、駆除の効果があまりないのではないかということだった。
 では打つ手が無いのかというとそうではなく、これまで通り電気柵をちゃんとイノシシの鼻先の当たる高さにしっかり設置させ、その周辺の草はきれいに刈り取るということを地道にやっておく。イノシシの毛に電気が来てもたいして感じないけれど、鼻先は常時湿っており、電気の線にふれることがあれば、ちゃんと効果がある。さらにもともと隠れる場所が無ければ近寄ることもしないそうで(本来は臆病だから)、しっかり対策をしている地域は、被害もゼロなのだという。
 また、本来の野生のイノシシは、ふつうは木の根やミミズなどを主食としており、そのような粗食であっても、十分に栄養を取って生き延びることができるのだという。むしろに人間の食べるような農作物は、栄養価が高すぎて野生生物には不必要に栄養過多になりすぎるのだという。そういう食事を常時食べられることで、早く巨大化しさらに食べるようになる。そうして山に帰らず運動もせずに寝てばかりいて巨大化したイノシシは、また別の病気にかかるなど、野生とは別の受難があるのだという。要するに人間に近すぎる生活をする動物は、自然が失われてしまうのだろう。
 良くは知らないが、そのような餌付けに向く個体を買い続けることで、イノシシの子孫の一部は豚になったのではなかったか。ブタ化の初期状態が今なのかもしれず、人間界とイノシシ界の境界を分けない限り、今の問題は解決などしないのではなかろうか。
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