カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

重層的仕掛け満載娯楽作   マスカレード・ホテル

2020-05-21 | 映画

マスカレード・ホテル/鈴木雅之監

 連続殺人が起こっている。殺人現場には謎の数字が残されており、解析すると座標表になっていて、緯度と経度の交わる場所が示されていると考えられた。そう考えられると、次の犯行予告の場所とも読み取れることが分かり、それが舞台となるホテルだということだ。そこで警察は、事前にホテルの従業員に紛れて監視体制をひくことにした。ところが警察官とホテルマンとは接客に対する職業倫理がいちじるしく異なることから、それなりに衝突する。そういうあたりがコメディとしても人間模様としても楽しめる仕組みになっている。そうしてホテルにやってくる様々な事情のある客たちとも絡んで、重層的なドラマが展開されていくのだった。
 原作小説があるが未読。舞台となるホテル名はホテルコルシア東京となっており、何故マスカレードなのだろうと疑問に思っていたが、それは作中ホテルフロントの女性の科白がカギになっているらしい。さらにロケ地になっている実際のホテルは日本橋にあるロイヤルパークホテル東京というらしい。作者の東野圭吾も利用するとされる。劇中のフロント場面はセットであるようで、実際のホテルとは違うらしい。同じようにホテルを舞台にした映画である「ミンボーの女(伊丹十三監督)」では、ハウステンボスのホテルをそのまま使っていたが、東京のホテルではそんなわけにはいかなかったのだろう。
 テレビの俳優がたくさん出るので、やはりこの手の日本映画としてはオーバーアクト気味なのだが、何と言っても主役がキムタクなので、こうなってもかえって不自然ではない。さすがに年を取ったな、という感じだけど、役柄でとことんいじめられたりいじられたりするわけで、そういう部分は面白い。
 映画は長尺なんだけど、それなりに飽きさせない作りになっていて、お話の展開が面白いだけでなく明石家さんまの友情出演なんかもあって、映画館以外でも楽しめる(巻き戻してみるDVD向きの作品でもある)という仕掛けがあったりする。いったいいつになったら終わるんだろう?という気はしないではなかったが、だからと言って退屈はしないのであった。
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