高校野球やリトルリーグなんかだと、ピッチャーで四番を打つ選手をよく見かける。優れた万能能力をもった人が一人でも、けっこうチーム力は高くなることは間違いなさそうだ。まあ、それくらい野球というスポーツの、ピッチャーに対するウェイトが高いということは言えそうだけど。
しかしながらプロ野球やメジャー・リーグになると、やはり分業しなければ難しいとは分かる。大谷選手なんてのは、だからものすごく珍しいのだが、いまだにどちらかに絞るべきだという意見があるのも、やはり専門化した方がより高い能力を発揮できると実感している人がいるためだろう。
リーグによってはいまだにピッチャーが打席に立つ場合もあるが、やはり攻撃力を上げるにはDH制をとった方が有利だろう。日本の場合実力はパ・リーグの方が高いと言われるが、おそらくそれはDH制をとっている為に、ピッチャーの負担が大きい分、実力が高くなった可能性が高い。そういう中でも大谷君がいるんだから、やっぱり彼は凄いな。
ところで打撃の成績は専門性があがっているにもかかわらず、記録的には古いものが結構残っているという。大リーグに渡った選手が残っていれば、日本の記録も影響があった可能性もあるが、おおむね近年は投手力が向上した可能性が高い。何故なら100年以上の歴史のある大リーグの記録も、近年は投手の記録の方が高くなっているから。
これには明確な理由があって、投手も分業化が進んでいるからだ。いまだに先発投手の役割がいくぶん重いように思うが(単にイニングが長いから)、現代は中継ぎ、抑えと一試合に3人以上投入するケースがほとんどだろう。ワンポイントで左打者専門、という人だっている。変化球の種類が増えたというのもあろうが、三振数は増えており、平均打率も、小さいが下降気味という。もちろん、球場が広くなったりなど、別の要因も絡んでいるのだろうけど、投手力は現代の方が以前より高くなっていると言われている。
要するに人間の能力は、マルチよりスペシャルな方がいいということが、一般的には言えるようだ。分業化する方が効率が高くなり、より高度な実力が発揮されやすくなるということか。そうはいっても人件費が…、というのが日本の現状なら、やっぱり成長は難しい問題かもしれないですね。