カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

そもそも自分は誰なのか   月に囚われた男

2016-07-05 | 映画

月に囚われた男/ダンカン・ジョーンズ監督

 月の資源であるヘリウム3の発掘現場に3年契約で勤めている男が、間もなく任期を終えて地球に帰る期日を迎えようとしている。そんな中、発掘現場を巡回中に激しい頭痛を覚え、そのまま事故を起こしてしまい瀕死の重傷を負ってしまう。自動で救助され自動で救急医療処置を受け目覚めると、何故かもう一人の自分が平然と勤務していた。どうもこれはクローン人間らしいが(お互いがお互いを疑っている。何しろ自分がクローンだとは思えないから)、どうも事故を起こしたために自分が死んだと間違われ、そうして自動的に新たなクローンが生まれたものと推察されるのである。では自分の記憶にある地球にいる妻や娘はいったいどうなっているのか。なぜ地球との通信設備は壊れていて、録画通信しかできないのか。数々の疑問のある中、事故を起こした車両の救援のために、別の部隊が月に寄るという連絡があるのだった。
 登場人物は極端に少ないし、明らかに低予算の映画だと分かるが、しかしだからといってそのことが映画の価値を下げるわけではない。むしろ面白いわけで、少ない予算でもこんな映画が撮られるのだということを知るだけでも、特に製作者にとっては勇気の出る作品ではなかろうか。要するにアイディア次第ということなんだが…。
 宇宙を舞台にした映画というのは、どういうわけか哲学的なお話が多くなるような気もする。哲学は砂漠などで夜空の星を見ていた人たちが考えたことだ、という説がある。星空を眺めて人間のことを考えるというのが、かなり哲学的なスタイルということなのかもしれない。実際に人が宇宙に行くと、逆に無神論者が神の存在を感じる、という話もある。宇宙という空間と人間の関係というのは、なかなか考えさせられるものがある。実際に行ったことが無い宇宙ではあるが、地球が既に宇宙の中にいることを思うと、図らずも僕らは宇宙体験をしている身であるかもしれない。スケールの違う器をいろいろいじっていると、人間の考えというのも翻弄されてしまうということなのかもしれない。
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