カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

妙な緊張感が持続する   彼女が消えた浜辺

2013-12-15 | 映画
彼女が消えた浜辺/アスガー・ファルファディー監督

 「離別」が良かったから借りたに違いない。後で気づいたが、何となく似ている。それは同じ監督さんということもあるし、やはりイラン映画だということだろう。イスラムの国の興味がまずあって、そういう背景が面白さの一つだ。日本だって男女差別の激しい国らしいんだけど、イスラムの方がもっと凄いぞ、という西洋知識人的な見方も出来る。比較的男性が甘えている感じも、やはりする。まあ日本人の男が言うなよ、という声を無視すると、女の人は大変だな、という感じかもしれない。でも、この映画に流れる女性視点というのは、やはり嘘が多くて、さらにけっこうわがままだ。これも日本の男でありさらにわがままな僕が言うなよということかもしれないが、こんなに嘘ばかりの社会で欲もまあ平和が保てるものだなあと思う。
 サスペンス風なんだけど、確かにサスペンスではあるんだけど、基本的には心理ドラマである。不幸な事件が起こるが、まわりの人間に翻弄された女性が犠牲になる可哀そうな話という気がする。それぞれに勝手に相手をどうにかしようと思っている。それは極めて政治的な人間の仕業なのだが、その思惑の方向が、それぞれに違う方向へ物事を運んでいくような気がする。いろんなことが明らかにされていくのだけれど、最初から欲もまあみんなホントのことをこれほど知らずに普通に付き合っていたものだという感じだ。日本の村社会とは違う閉鎖性と、そうして実はオープンな社会である。もっとイスラムは特殊ではないかというのは偏見で、アジア的なものとヨーロッパ的なものが、見事の違和感なく融和している。若者はどこの社会でも若者だし、男女間はどこの社会でも男女間の思惑で動く。当然と言えば当然で、しかし同時になんだか不思議だ。
 物語の組み立て方が上手いので、普通ならこれほど興味が引っ張られないような内容にもかかわらず見せられることになる。後の作品は生まれるべくして生まれたということがよく分かる。残念ながら今一つの作品なのだけど、そういう片鱗が随所に見られる実験的な映画なのではなかろうか。
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