カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

進駐軍が恐れた復讐劇

2019-12-20 | culture

 僕は忠臣蔵が好きではない。それはもちろん僕の基本的なひねくれた精神を表していると思われるが、母が討ち入りの日の生まれ(実際は旧暦だから違う日のはずだが)ということで、小さいころから聞かされていたこともあるかもしれない。ただでさえ年末は繰り返し忠臣蔵が演じられたり、テレビ放送が盛んなんだが、それに輪をかけて聞かされるわけだ。嫌にならないほうがどうかしているのではないか。
 ところで戦後しばらくは、米軍はこの忠臣蔵を上映禁止にしていたらしい。確かにこれは復讐劇で、こういう話で日本国民が盛り上がるのは、ちょっと都合が悪いというか、なんとなく恐ろしさも感じられたのかもしれない。しかしながらこれは、米国と戦うはるか前の江戸時代からの流行が定着したものだから、的外れだったはずなんだが…。まあ、忠臣蔵に限らず復讐劇は自重させられたそうだから、滑稽でいい話である。当時の日本人がどう思ったかよく知らないが、なんだ米国の人は、あんがい気が小さいな、と思ったのではないか。それでも何度も陳情してやっと解禁にこぎつけたともいわれていて、やっぱり日本人の多くは、なんだか変でもある。僕にとっては、という感覚ではあるけれど。
 忠臣蔵は史実をもとに作られたフィクションだが、つまるところテロリズムである。やり方も極めてやくざなものだと感じる。切腹するからいいじゃないか、というわけにもいかないと思う。もちろん、そうしたからこそ人の心を打ったのだろうけど、そうだからこそ、テロなのである。そういう意味では、実に歴史的に大成功したテロの記録なのかもしれない。
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