コードネームUNCLE/ガイ・リッチー監督
冷戦下、アメリカとロシアが何故か協力してスパイ活動を行うという、アクション・コメディ。ドイツの核兵器科学者の亡命先をめぐって、その娘を先に東ドイツから亡命させる。父親に接近させるためで、疑似恋人同士に扮して敵の組織に潜入していくのだったが…。
スタイリッシュに行動するために、妙なギャグが多い。人が死んだり拷問が行われたりするが、基本的にはギャグである。時折リアルに決めるので、いわゆるかっこよく仕上がる。凸凹コンビも性格の違いが大きく、しかしなんとなく友情もあるという設定。何かのテレビドラマだったらしく、連作がきくアイディアと設定だろうと思う。
冷戦下のスパイ活動なので、実際のところお互いは敵同士で、いくら相手を取り持つ英国の思惑があろうとも、難しいものではないかとは考えられる。ダブルスパイというのはいたらしいが、裏切りはたいへんに恐ろしい迫害を受けるだろうことから、非常に危ない橋である。まあ、そういう映画の方が多いということかもしれないが。
ということで娯楽作なのである。これに乗れるかどうかで面白さを感じられるかどうかがかかっている。ある程度は乗り切れるものとは思われるが、恋愛がちょっと弱いのと、手癖が悪くて要領がよすぎる割に、こんな組織に属している不条理など、いくつか突っ込みたくなるのも人情である。もちろん、面白さに目をつぶったほうがいいのであるが。