ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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インド75~パラマハンサ・ヨガナンダ

2020-04-29 13:15:28 | 心と宗教
●パラマハンサ・ヨガナンダ

 パラマハンサ・ヨガナンダは、1893年にインド北東部のゴーラクプルに生まれた。本名はムクンダ・ラル・ゴーシュという。
 17歳の時に、ヨーガ行者スリ・ユクテスワギリと出会い、弟子入りしてクリヤー・ヨーガを学んだ。カルカッタ大学を卒業後、僧侶として正式な誓いを立て、ヨガナンダという名前を授かった。
 1920年、米国のボストンで開催された宗教指導者国際会議に、インド代表として参加して講演を行って、聴衆に感銘を与えた。その後、東海岸を中心に講演し、続いて大陸横断の講演旅行を行った。1925年に古代インドの科学、ヨーガの哲学、瞑想の伝統を広めるために、ロサンゼルスに自己実現同志会(the Self-Realization Fellowship)の国際本部を設立した。続いて、1927年に姉妹団体の全宗教自己実現教会(Self-Realization Church of All Religions)を設立した。これらの団体は、ヨガナンダの指導の下で活動し、その思想を広めた。彼の活動に関する報道に関心を持ったカルビン・クーリッジ大統領から、公式に大統領官邸に招かれた。
 当時、彼の弟子になった者には、ジャガイモの品種改良で有名な植物学者ルーサー・バーバンク、イーストマン・コダック社の創業者ジョージ・イーストマン、社会派の詩人エドウィン・マーカム、人気指揮者のレオポルド・ストコフスキーなど科学・経済・芸術等の分野の著名人が多くいた。イギリスの植民地から来た宗教家に、西洋の知識人が帰依したのである。
 ヨガナンダは、諸宗教の根源的な共通性を強調し、誰でも実践できる直接、個人的に神を経験するための方法を説いた。さらに真剣に学ぼうとする者には、クリヤ―・ヨーガの行法を伝授した。
 クリヤー・ヨーガは、「神の理解と内なる平安の達成のための科学的技法」とされる。ヨガナンダによると、クリヤー・ヨーガによって、身体に大量の酸素を取り込まれ、これが「生命の流れ」に変わり、脳と脊髄が活性化される。実践者は、カルマから解き放たれ、心身の衰えが止まり、心の平安を達成し、神とその愛を会得することができる。ヨガナンダは、クリヤー・ヨーガを西洋に広めることが使命であると信じて活動した。
 ヨガナンダは、次のように説いている。「瞑想によって、脳の周囲を認識する領域が弱まる。壁が取り除かれる」「行動を繰り返せば、心にパターンができる。脳にわずかな電気の道が作られるのだ。レコードのような溝だ。自分で作った溝をたどって生きるのが人生である。それに沿って生きていくようになる。ヨーガはその溝をつくり直す、思考・行動のパターンを変えるものである」
 1946年にヨガナンダの生涯を描いた『あるヨギの自叙伝』が出版された。ロング・セラーとなり、歌手のエルヴィス・プレスリー、ビートルズのジョージ・ハリソン、アップル社の共同創業者の一人、スティーヴ・ジョブズらの座右の書となった。18の言語に翻訳され、20世紀屈指の宗教書となっている。
 ヨガナンダは、1952年3月7日に死去した。遺体は埋葬まで20日間安置されたが、その遺体が腐敗しなかったという。ロサンゼルスのフォレスト・ローン墓地の遺体仮安置所の所長ハリー・ローは、次のように証言している。「彼の肉体は死後20日に及んでもまったく分解の色が見えなかった。死体がこのように長い間、完全な状態を保持した例は、この遺体安置所が始まって以来、類例のないことである」と。
 遺体が長い日数、腐敗しないという状態は、大安楽往生の現象の一つである。ただし、その一事のみを以って、大安楽往生とは認定できない。大安楽往生は、腐敗しないということの他に、死後硬直がない、体温が冷めない、死斑がない等を特徴とする。ヨガナンダの場合、腐敗がなかったとすれば死臭はなかったと考えられるが、それ以外の点は不明である。仮にヨガナンダ自身は、自分一人が大安楽往生をして、解脱できたとしても、他の多くの弟子や信者をも大安楽往生させ得たという報告はない。その点が、大塚寛一先生とは格段の違いである。
 現在、ヨガナンダが設立した自己実現同志会は、世界各国に500以上の施設があり、175以上の国に会員がいるとされる。

 次回に続く。

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