ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

平沼「国家経営志士議員連盟」とは

2012-04-03 08:40:27 | 時事
 3月29日、たちあがれ日本の平沼赳夫代表らが、超党派の「国家経営志士議員連盟」を発足させた。民主、自民、みんなの党などの衆参国会議員約30人が設立総会に出席した。
 設立趣意書は「戦後日本社会で伝統文化は軽んじられ、領土問題、拉致問題等の国家的課題を解決する気概が失われつつある。このままでは日本人の美徳は失われ、戦後追求してきた経済発展も水泡に帰す」と国難を強調し、「国家をより強く機能的に経営する」を理念に掲げ、憲法、歴史、教育問題への取り組みに加え、統治機構改革や国家会計への複式簿記導入による財政再建、経済成長戦略などもテーマに掲げているという。
 この議員連盟の設立に先立って、産経新聞は24日、「平沼氏が東京都の石原慎太郎知事とともに進める新党構想への布石」とみられると書いた。ところが、議員連盟側は「事実に反する報道」だとして、衆参両院の議員に向けて声明を発表した。「あくまでも、理念を共有する議員有志とともに、政策を研究、推進することを目的として設立しようとするものであり、報道されているように新党を目的としたものではまったくなく、ましてや本議員連盟設立に関して石原慎太郎氏と協議したことも接触したこともありません。また、消費増税に関して論議を目的とはしておりません。新党などの他意はまったくないことを改めて表明いたします」と言う。設立総会でも、平沼氏は「新しい政党をつくるとか、政局とは全く関係ない。そういう面は慎しみ、この国のために立派な活動をしていきたい」と断言した。
 この発表が事実を述べるものなのか、一種の政治的な駆け引きなのか、断定はできない。政治家の社会は、常に流動的で、目まぐるしく集合離散を繰り返す。今後の推移を見守りたい。

 ところで、私は議員連盟が産経の報道を否定する声明を、一般社団法人「志士経営者倶楽部」のサイト上で読んだ。そこで、議員連盟とこの法人に関係があることを知った。
 「志士経営者倶楽部」については、その会員だという知人からパンフレットをもらって、読んだことがある。この団体は「国家経営志士議員連盟」を「全面的に支援している」という。名称から見ると「国家経営志士」と「志士経営者」は似ており、互いに共感するところがあるのだろう。
 私が注目するのは、「志士経営者倶楽部」が、政府貨幣発行に関する法案を中心とした「三位一体ゴールデン法案」の実現を目指していることである。政府貨幣発行論の元祖・丹羽春喜氏が理事に名を連ね、丹羽理論を一貫して支持している加瀬英明氏が名誉理事を務めている。政治家とのつながりの程度は、まだまだのようで、「国家経営志士議員連盟」の呼びかけ人のうち「志士経営者倶楽部」の役員や参加者に加わっている人はいないようである。
 「国家経営志士議員連盟」が「石原新党の布石」となるのか、政策研究推進の集団なのかは別として、財政金融政策に関する限り、石原慎太郎氏は増税不可避論であり、議員連盟を「全面的に支援」するという「志士経営者倶楽部」は増税反対で政府貨幣発行論だから、石原氏との主張の隔たりは大きい。「国家経営志士議員連盟」の設立総会に参加した政治家たちも、この点で意見は一致していないようである。経済理論に基づく、徹底した研究と議論が必要だろう。今後の展開に注目したい。
 以下は関連する記事と資料。
 
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●産経新聞 平成24年3月24日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120324/stt12032401310001-n1.htm
 
平沼氏ら29日に保守系超党派議連設立へ 「石原新党」へ布石
2012.3.24 01:30

 たちあがれ日本の平沼赳夫代表が超党派の「国家経営志士議員連盟」を発足させることが23日、分かった。海江田万里元経済産業相ら民主、自民、みんなの党などの首都圏選出議員らが設立呼びかけ人に名を連ね、29日に国会内で設立総会を開く。平沼氏が東京都の石原慎太郎知事とともに進める新党構想への布石とみられ、消費税増税にからむ野田佳彦政権の迷走を受け、与野党を巻き込んで動きが加速する公算が大きい。(略

●国家経営志士議員連盟の声明

http://www.shishikeieishaclub.jp/event1.html

3月24日の産経新聞報道について

 去る24日の土曜日に、産経新聞紙上で、当倶楽部が全面的に支援している「国家経営志士議員連盟」について、悪意に満ちた報道がされました。
 これに対して同議員連盟は、衆参国会議員に対して下記の声明を発表しました。
 私どもの意のあるところをお汲み取り頂き、引き続き「国家経営志士議員連盟」の活動へご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 一般社団法人 志士経営者倶楽部・事務局

衆参両院議員の皆様へ

 去る3月24日、産経新聞紙上で、私たちが設立を進めている「国家経営志士議員連盟」について、「石原新党への布石」などと報道されました。
 私たちは、あくまでも、理念を共有する議員有志とともに、政策を研究、推進することを目的として設立しようとするものであり、報道されているように新党を目的としたものではまったくなく、ましてや本議員連盟設立に関して石原慎太郎氏と協議したことも接触したこともありません。また、消費増税に関して論議を目的とはしておりません。
 新党などの他意はまったくないことを改めて表明いたします。
 各位におかれては、どうか事実に反する報道に惑わされることなく、私たちの議員連盟の設立にかける理念と目的に改めてご理解を賜り、ご参加くださいますようお願い申し上げます。

平成24年3月27日

国家経営志士議員連盟
呼びかけ人一同
 平沼赳夫、園田博之、海江田万里、下村博文、馳 浩、
 笠 浩史、加藤勝信、城内 実、柿沢未途、鷲尾英一郎、
 藤井孝男、金子洋一、森田 高、桜内文城(連絡先略)

●産経新聞 平成24年3月29日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120329/stt12032923090017-n1.htm
平沼氏の超党派議連発足 政界再編の受け皿か 平沼氏は全否定
2012.3.29 23:06

 (略) 議連会長に就任した平沼氏は設立総会後の記者会見で「新しい政党をつくるとか、政局とは全く関係ない。そういう面は慎しみ、この国のために立派な活動をしていきたい」と述べた。設立総会への参加を呼びかけた文書でも「政策研究が目的」「新党などの他意はない」と強調した。
 平沼氏が新党との関係を否定したのは、消費税増税関連法案の衆院採決をめぐり、衆院解散・総選挙もささやかれる中で、参加者たちが新党問題に神経質になっているためだ。(略)
ただ、議連の活動方針に盛り込まれた憲法問題への取り組みは平沼氏の持論である自主憲法制定と符合する。二院制や選挙制度の見直し、経済成長戦略は平沼氏や石原氏が進める新党の基本政策に沿った格好だ。
 29日の議連設立総会出席者の中には、首都圏選出で支持基盤の弱い議員も目立つ。「石原新党結成に向けた動きとの臆測が広がったことで、参加を希望した議員もいる」(関係者)という。
 議連幹部も「石原新党と別の枠組みを模索する意味もある。このメンバーがごっそり新党に来るとは考えていないが、いろいろ可能性はある」として、平沼氏が目指す新党との関係を否定しなかった。

●読売新聞 平成24年3月29日

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120329-OYT1T00898.htm
国家経営志士議連の設立総会に出席の主な議員

 国家経営志士議連の設立総会に出席した主な議員は次の通り。(敬称略)

◆衆院◆
 【民主党】網屋信介、石津政雄、勝又恒一郎、木内孝胤、玉木雄一郎、中津川博郷、中林美恵子、長尾敬、福島伸享、森本和義、谷田川元、笠浩史、鷲尾英一郎  【自民党】稲田朋美、加藤勝信、下村博文、馳浩、町村信孝  【みんなの党】柿沢未途 【たちあがれ日本】園田博之、平沼赳夫  【無所属】城内実、横粂勝仁
◆参院◆
 【自民党】衛藤晟一  【みんなの党】桜内文城  【たちあがれ日本】藤井孝男(2012年3月29日19時59分 読売新聞)

●一般社団法人 志士経営者倶楽部のサイト

http://www.shishikeieishaclub.jp/index.html

<主旨>
 日本は今、明治維新と同じ時代を迎えています。
 維新の時の国難は西洋列強の武力による植民地支配の脅威に対したものでしたが、現代は地方自治体並びに国の財政が破綻に瀕し、このままゆけば、日本が立ち行かなくなる危機に直面しています。
 武力侵略の脅威に対し武士が「志士」となった維新に対して、現代は、経済に対して経営者(企業家)が「志士」となり、国難に立ち向かう時を迎えています。
 志士経営者倶楽部は、国難に立ち向かう経営者の集まりです。

<ゴールデン法案>
 私たち志士経営者倶楽部は、現在の閉塞した状況を打開するため、
 具体的な政策を提案します。
 それが、「三位一体ゴールデン法案」です。
 いま日本に必要なのは…
 財政不安解消による国の未来をつくること。
 東日本震災復興による新たな街と暮らしをつくること。
 景気の拡大による国民生活を守ること。
 経済力回復による国力を向上させること。
 これらを同時に実現するには、三位一体ゴールデン法案の実行以外にありません。
 三つの法案とは

 <貨幣発行特例法><戦略的産業振興支援法><国民生涯雇用法>

 この3つの法案は、三位一体を是とし、この3つが同時に進行することで日本経済の復活と国力の再浮上につなげていきます。
 巷では増税論議が盛んですが、今の経済状況社会状況の中で、増税を行うことは、低迷する現在の日本経済の力をさらに弱め、国力の低下を招くことは間違いありません。
 大震災などの復興に巨額の資金を必要とする今の日本には、増税ではなく、投資が必要です。政府通貨発行を増資と捉え、政府通過(註 ママ)の発行を中心とする三位一体ゴールデン法案をもって国家の財政と経済に貢献します。
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関連掲示
・拙稿「『救国の秘策』がある!~丹羽春喜氏1」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13j.htm
・拙稿「救国の経済学~丹羽春喜氏2」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13n.htm

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